ヨーロッパは最高気温更新中<フランス編>


 1994年7月31日。私にとっては最後の伊丹空港からの出国。小さな空港で、いつも混でて、着陸時にはヒヤヒヤさせてくれる空港だったが、空港使用料は要らない、家から近いなどとメリットの多い空港だった。秋からは関西新空港になるし、一寸ばかり感傷的になりいざチェックイン。

 シャルル・ドゴール空港7:00、毎度おなじみシンガポール航空で、20時間以上かけてやってきました花の都パリ。パリは初めてであり気分は完全にお上りさん。

空港の建物といい案内板一つのデザインからも「う〜むフランスだ」と妙な感心をしてRERでパリ市内へ、とりあえずはパリ北駅界隈で宿を探すことに方針を決定。目指すは1泊150フラン(約3,000円)トイレ・シャワー付き屋根裏部屋可、という虫のいい条件。果たして見つかるか!

その前にカフェでクロワッサンとエスプレッソで朝食を。やはりヨーロッパでカフェで一息つくことが楽しみの一つである。これがなくて何がヨーロッパだと声を大にして力説したい。(^^)

話はホテル探しに戻すと、前述のような条件は・・・7,8件あたったが・・・なかった。やっぱりパリは都会だ、シャワーなしで200フランが精一杯。4連泊するからという条件で700フランまで値切ることに成功。ともかく屋根裏部屋を確保して、気分はもう「巴里のアメリカ人」ってとこですか。だが、これが災難の元凶となることは予想だにしていなかった。

パリの街をウロウロしてはカフェで一息つき、ビールを飲む、そしてメトロに乗る。いつものことながら、ただフラフラとしているだけである。

それで、充分楽しい。夕方は「北ホテル」の建つ運河の川岸のマロニエの木陰でビールを飲んでいた。そして夜、ワイン酒場に潜り込んでボルドーワインとタルタルステーキで優雅な夕食。さて、21:00頃ホテルへ戻る。この時悲劇は待っていた。

 部屋に入ると「暑い」

 それがどうしたと思われるかもしれないが、ヨーロッパのホテル全般に言えることだが、中級以下のホテルにはエアコンがない。そして、扇風機もない。一般家庭でも扇風機の無い家は珍しくない。なぜか。夜は涼しいから。単純な理屈である。湿度が低いため陽が落ちると急激に涼しくなる。夏場でも夜になると長袖がほしくなるときもあるぐらいである。

 そのパリが夜になっても気温が下がらない・・・大変だ!窓を開けはなしても「暑い」!窓から手をだして壁を触ってみる「あったかい!」「ここは京都じゃないんだ」といっても暑いモノは暑い!
 マダムに「扇風機シルヴプレ!」と言っても、答えは「ノン」・・・

 翌朝、シーツはぐっしょり、頭の中は霞がかかっている、しかし、部屋にいても暑いだけ、外にいくしかない。ともかくルーブル美術館へ、ギリシャ・ローマ神話や北欧神話をモチーフにした彫刻、絵画を中心に館内をウロウロしていた。さすが世界に誇るルーブルである、気がついたら5時間も居座っていた。エアコンもきいているし、いや〜満足、満足(^^)

モンマルトルではアルジェリアから出稼ぎにきた土産物売りを手伝い、芸術家たちの作品に感心していた。

ノミの市ではクラシックカメラがほしくて交渉し・・・しかし値段が折り合わず決裂.

市場でカキを立ち食いし(夏でも生で食べられるカキがあることを初めて知った)、疲れたらカフェで休憩。

 公園の水辺で涼み、お昼寝。

 しかし、夜になっても相変わらず気温は下がらず・・・日に日にばてていく・・・洗濯物だけはすぐ乾く・・・パリ留学中の日本人と知り合い教えてもらったところ一言。「異常気象」あれっ?簡単にいえばいつもの夏より異常に暑いということらしい。日本と同じだ。

 郊外に行ったら少しは涼しいだろうと思いパリ脱出を計画。最初はボルドーへ行ってワインを飲むかコニャックへ行ってコニャックを飲むかと考えたが、ボクはFrankfurt Out のチケットなので逆方向は避けたい。その条件で行くとランス(Reims)が出てきた。日帰りでいけるしシャンパンの産地だし・・・・よし決定!

 パリから2時間ランスに到着。
オモチャのような観光列車(自動車?)に乗って市内観光。その後

15フラン払ってTAITINGER社の見学ツアーに潜り込み地下の貯蔵庫へ、涼しい・・貯蔵庫には何万本ものシャンパンが眠っていた。でも、私の頭の中は最後の試飲のことしか頭になかった。そして、見学も終わり案内のキレーなお姉さんが製品の販売をアナウンスして、次はいよいよと思ったら、それでおしまい。ツアーご一行はシャンパンの一杯にもありつけず、すごすごと帰ることになってしまった。

 さてパリに戻り、運河のほとりのベンチで休んで、「そろそろパリを離れる時期かな」。
次の目的はドイツのケルンだが、まっすぐ行くのも芸がない。

 アルザス回りも魅力的だったが、うまいビールがたくさんあるベルギー経由に決定。


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