竹富島
〜琉球の色をのこす小さな島〜

オフ日に石垣島から船で15分ほどの竹富島に渡った。
港に到着すると、数台のバンが停まっていて船の客は思い思いの車に乗車している。
車は次々と走り去っていく。
私は一人港に取り残されていた。
最後まで残っていたバンが島内のバス代わりだと知ったのはだいぶ後の事だった。
といっても困ったわけではない。
周囲8kmほどの小さな島で中心部まで1kmほどなので、歩いてもしれている。
港から村の中心部へ続く一本道をボクはゆっくりと歩き始めた。

天気は小雨まじりの曇りになった、「せっかくここまで来たのに晴れてほしい」という気持ちがあったが、しかたがない。
しかし最近の旅は雨ばかりだなと、しみじみ思う。
97年の香港、昨年の香港、アイルランド&スコットランド、雨の日のほうが多い旅ばかりである。
10分も歩くと中心部についた。

日本人が抱く「琉球」というイメージがそのまま残っている島である。
石積みの壁、しっくいで固めた琉球瓦、屋根に乗るシーサー、ハイビスカスなどがそのまま保存されている。
家並みが切れ、熱帯林の中を珊瑚の道が続いている。

植物相が熱帯である。春浅き桜が満開の本土からやってきた旅人にとって、昼顔が咲き乱れ濃いグリーンに支配されている様は新鮮である。
廃車のトラックも植物に取り込まれていっている、いずれ朽ち果てていくのであろう。

道を歩いていると観光客を乗せたバンが何台も追い抜いていく。
ときおりレンタサイクルも追い抜いて行く。
30分ほど歩いて、緑の回廊を抜けると「星砂海岸」にたどりついた。
私を追い抜いていった人たちが「星砂」を捜していた。
星砂って海岸一面に広がっているのものだと思っていたが、砂の中から捜しだすものだった。むぅ〜、この手のことは根気がないから端から放棄した。
海岸縁にはちゃんと土産物屋が開店していて、買い物客が集まっていた。
売るほうがのんびりしていてなんかアジア的な雰囲気がしている。

そして団体客がいなくなり、ボクもまた緑の回廊を歩き始めた。
次に向かったのはコンドイビーチだった。
こちらは遠浅のほんとにきれいは浜辺である。
でもどんよりと曇っているため、せっかくの美しい海が冴えない色となっている。
快晴ならほんとに美しい光景なんだろう。

小さな島とはいえ、ここまで2時間ほど歩きづくめだった。さすがに疲れたのと、喉が乾いたので砂浜に座ってオリオンビールを飲んだ。
ハハハ、やっぱり美味しい。
苦みが少なく、どこかタラタラした味でサンミゲールやアンカービールに共通の「東南アジア」の香りがする。勿論、関西で飲んだことはあるが、やっぱり現地で飲むのが一番美味しいという原則は変わらない。
海の向こうには西表島が見えている。

「西表ヤマネコ」は知っているが、何か遠い南の島のイメージがあった。
その島が目の前にある。
ほんと南にきたんだなと思う。、

また中心部にもどり、八重山ソバを食べて一息ついた。
観光客以外はほとんど人を見かけない。
観光客を乗せた牛車が島内をまわっている。

どこからか子供達の声が聞こえてくる。

静かな島だ。

村の中心部にある展望台から、島を見渡すと原生林におおわれている、日本ではなく、マレーシアあたりの島にいるような気分である。

今度来るときは島の宿に泊り、空を見上げていたい。
港で船を待っていると雨が強く降り出してきた。
森が黒く濡れている。

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