トスカーナの古都へ


8時54分ミラノ行きのESに乗るべく。30分ほど前に駅へ向かう。

と言ってもホテルから1分の距離であるが。

ちょうど通勤時間帯。

異国の朝の雑踏風景は観光名所より面白い。

移動のため荷物があるのであちこち動き回ることはできないが、朝の斜光線の中、写真を撮っていた。

列車を降りた客を見ているとくわえタバコの人が多いこと。

女性でも当たり前のようにくわえタバコで歩いている人が多い。

日本より喫煙率が高そうである。

そうこうするうちにESの発車番線の表示され、列車が入線してきた。
私が乗る1st classの一号車は先頭車両である。
櫛形のホームのため、私は12両連結の一番先頭まで歩くことになった。
目的の車両まで5分ぐらいかかった。
ホームに横付けではないのと入線ホームがよく変更になるので、ギリギリまで櫛
の根っこのところで待機することになる。

日本の新幹線と違い主要駅では乗降のための時間ロスを含んでダイヤを組んでいるのである。
1st classは個人客やビジネス客ばかりで団体客は見当たらない、シートは1+2列とゆったりしている。

途中、飲み物やお菓子、新聞のサービスがあり2時間弱でフィレンツェ サンタ・マリア・ノヴェッラ駅に到着。


駅周辺で2つ星のHOTELに見当つけてあたるが、今一つという感じで3軒目のホテルへ。クラシックなエレベーターで4階へ。

カウンターには中国系の女性が1人。

「シングルの部屋で3泊ありますか」
「シャワー・トイレ付きで1泊80EUR、シャワー・トイレ共同で1泊55EUR・・・
日本の方ですか」
「ハイ」
「ガイドブックをお持ちですか」
と・・・「えっ?」と思ったが、ガイドブックを見せると彼女はページをめくりはじめた。
とホテルリストにこのホテルが載っていて、「3連泊以上は15%引き」という記述があった。こりゃラッキー。ということは、それぞれ68EUR、46EURとなる。

ローマもそうだったが、日本円に対してユーロ高というのもあるがホテルの相場が高い。
2つ星ホテルでも1万円超えるところばかりである。

さてシャワー・トイレ有りか無しだが、1泊で22EURの差額である、約3,000円×3日と1人旅で殆ど部屋にいないことを考えると「無」で問題なし・・・ということで46EURの部屋で決定。

まだチェックインできる時間ではないので荷物を預かってもらい、市内へ。
地図を見る限り5分もあれば中心部へ行けそうだ。

天気はローマは晴れだったがフィレンツェは曇り。

まずはドゥオーモ(サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂)へ。

この聖堂はフィレンツェの象徴として必ず出てくる場所である。

となりは洗礼堂。

その前には「天国の扉」がある。旧約聖書をモチーフとした美しい扉である。

中に入ると、目的の彫像が無い・・・本来あるべき場所には写真が飾ってあり、説明文には「この彫刻は美術館に展示してある」と記述してある。

礼拝堂を出て向かいの美術館へ。

階段を上がり中二階にミケランジェロの未完の彫刻「ピエタ」があった。

なんと言うか未完で鑿後など残っているのに動きだしそうな雰囲気、そして伝わってくる悲しみ。
「これがピエタか・・・」
しばらく呆けたように像を見ていた。

実物の1/10の印象も伝わらないだろうと思いつつもシャッターを切った。

「この像は人工灯の下で見るのではなく洗礼堂の元の場所で堂内にこぼれてくる光で見るべきものではないだろうか。」というのが素直な感想である。

気がつけば昼をかなりまわっている。

トラットリアやピザテリアが並ぶ通りに行き、2往復ぐらいして一番古そうな店に入った。

お昼のピークを過ぎているためかテーブル席には何組かの客がいるが
カウンターには誰もいない。

薪の竈の正面のカウンター席に座った。
ピッツアを注文したら、テーブル席の家族連れとタイミングが一緒だったため、複数のピッツアを私の目の前で作り始めた。
「こいつは面白い」とカメラを取り出し、主人に「撮ってもいいか?」とカメラ
を見せた。

主人は黙ってうなずいた。
雰囲気を壊したくないのでストロボを使わないことにした。
まず寝かせてあった生地を一枚一枚広げていく・・・鮮やかなもんだ。

次にトマトソース、チーズ・・・そして注文に応じたトッピング。

隣に座った常連客だろうか「写真撮られてるぞ・・・」のような事を言って主人
を冷やかしている。
そして一枚づつ竈へ。

待つこと数分・・・できあがり。
パリッとして美味しいのだが一枚は量が多い・・・食べ過ぎだってば。

さて午後からは何処へ行こうか。

ルネッサンスの残像


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