プロローグ


10月23日(土)オフシーズンにもかかわらず満席のルフトハンザ・ドイツ航空フランクフルト行きエアバス340は関空を離陸した。


2004年の夏はほんとに忙しかった。10月2日のイベントの準備に奔走して夏が過ぎていった。
すべての後始末も終わり、やっとこの日から「遅い夏休み」となった。
イベント終了後やっと気分も落ち着き何処へ行こうかといくつか候補をあげて航空券を探し始めたら思うようなチケットが出てこない・・・なんとか条件にあったのがローマ便であった。


実はイタリアは初めてである。
あれだけ欧州に行っているのに、不思議と縁が無かった国である。
12時間かかってフランクフルト到着・・・「おお、フランクフルトも10年ぶり」と滑走路の見えるカウンターでビールを一杯飲んで・・・1時間ほどの好接続でローマ便へ。

一転してガラガラのエアバスはアルプス上空を飛び定刻どおり18時にローマ・フェウミチーオ空港に到着。

そこからレオナルド・エクスプレスでローマ・テルミニ駅着は19時・・・関空を離陸してから17時間かかって到着・・・いつも欧州につくたびに「遠いなあ」と実感し、2日間ほど時差ボケに悩まされることは同じである。

駅前にある2つ星ホテルにチェックインした。

時差ボケに弱いので本来ならこのまま寝てしまいたいところだが、ここで無理して起きていないと明日以降きついのでとりあえず街に出てみた。

まず感じたことは「HOTEL」や「TORATTORIA」「BAR」などの地味なネオンサインはあるが派手な広告看板が無い。

ちゃんと光と闇が共存している街である・・・なにもかも光でのっぺりしているのは日本の都市だけなのかもしれない。
2年ぶりの欧州なのに「来た」という高揚感が無い。
ましてローマは初めての街。

以前なら石畳の道と闇で・・・高揚感があったのに・・・これは自分でも意外であった。答えは「慣れ」かもしれない。
欧州にそうとう来ているので、欧州の文化・風景に慣れてしまったのかもしれない。
なんかアジア行く感覚と同じになってきたなぁ〜、ちょっと寂しい。

一軒のBAR(バール)に入った。
カウンターでハウスワインを頼んだ。
BARの並酒は驚くほど美味しいというものではないが、オリーブやイカリングフライを肴に飲んでいると気分が出てくるものである。

2杯目を頼んだときBARのオヤジが
「おまえはナカタか?」
「俺はナカタではない、ついでに言うとナカムラでもない。ナカタは友人だ。」

サッカーの中田選手がASローマに在籍したこともありローマでは一番有名な日本人かもしれない。
オヤジも洒落で訊いているのに真に受けるとバカを見るだけ・・・ここは適当なことを言って流してしまおう。
欧州ではBARやPUBなど気軽に飲めるポイントが街中随所にあり、一人でも気軽に酒やコーヒーが安く飲めるのと時間をつぶすことができるので一人旅の夜にはありがたい存在である。
適当な時間になったので欠伸しながらホテルへ。


この日(23日)、日本では新潟中越地震が発生。しかし私がそのニュースを知ったのは26日のことである。


永遠の都

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