土産物屋と絨毯屋のボヤキ


街を歩いていると土産物屋や絨毯屋から声がかかる。

以前に比べておとなしくなったように感じるが、それでもアチコチから声が飛んでくる。私が通ると、まず「アンニョン」、次に「コンニチハ」、最後が「ニイ・ハオ」の順番で声がかかる。

ということは韓国人の観光客のほうが、日本人の観光客よりお得意さまということである。
アヤ・ソフィアの裏側の土産物通りを歩いていたら、「Welcome, My Friend!」と声がかかってきた。
ウヘヘヘ、ひさしぶり、このフレーズ。
私は「I'm not Friend」と言い返した。
一瞬、場が静まり返った・・・ヤバッ。

そのとたん、彼の周りの店の人達が爆笑した。
「I'm not Freindだってよ。」
「こりゃ、良いわ。」
言われた当人も頭をかきながら笑っている。
まぁ、せっかくだし小物を買うことにした。

「日本人か?」
「そうだ。」
「最近、日本人は買わなくなったよ、昔はたくさん買ってくれたのに。」
「韓国人のほうが買うのかい?」

「そうだ、今は韓国人のほうがたくさん買ってくれる。日本人にもっと買うように言ってくれ。」
やっぱりと思いつつ。

「あんまり、ボルと来なくなるよ、ホドホドに。」
と笑いながら店を出た。


イスタンブール名物。
絨毯屋の客引き。
特にスルタン・アフメット・ジャーミィ前の客引きはしつこいことで有名である。

私のホテルの周辺にも絨毯屋があり、声をかけてくる。

ある店の前で声をかけられて、例によって無視して行こうとしたら。
彼は「最近、日本人ずるいな。」と日本語でつぶやいた。
ウン・・・!?
「どうして私が日本人だとわかったのか?何がずるい?」
と尋ねると。

彼は、英語で一気にまくし立てた。
「このごろ日本人は絨毯を買ってくれない。韓国人や中国人のほうが買ってくれる。声をかけても無視してしまうか、チャイを飲みながら話しても『高い』と言って買ってくれない。昔はたくさん買ってくれた。」
「それはね、質の悪い絨毯を高く売るから、日本人の間で『イスタンブールで絨毯を買うときは気をつけよう。質の良いトルコ絨毯はやっぱり高いものだ。』という認識になってきたからだよ。」
「そんなの、見る目が無いだけじゃないか。」
「そのとおりだけど、今の日本人は『安い』だけでは絨毯は買わないよ。」
しばらく彼は腕を組んで黙っていた。
そして一言。

「おにいさん、絨毯いらないか、安くしておくよ。」


街歩きを楽しむ

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