14年前においてきたもの


年明け、ブログで「旅の断片」というテーマで過去の旅行の写真をスキャンして、メインサイトでアップしていない写真をアップするということをしていた。

1992年のイスタンブールのネガをチェックしていると、11コマ目のAという場所で撮ったカットと12コマ目のBという場所で撮ったカットの、その間の移動手段とか、コマによっては撮った場所がわからないというカットもあり頭を抱えてしまった。


どんなに古い写真でもルートとかを覚えているのに撮った場所を覚えていないカットがあるなんて、後にも先にもこのイスタンブールの数日間だけである。

1992年8月、シンガポール航空で早朝イスタンブール到着。
空港を出ようとした時、
「あの〜、両替できるところ知っていますか? 市内にいかれるなら一緒にいきませんか」と声がかかってきた。
振り向くと小柄な女性だった。
空港についていきなりだったのでハッキリと記憶に残っている。
彼女の名前はY、結局、同じホテルのドミトリーにして、彼女はガイドブックを読んで、もれなく見てまわるタイプだったので、なんとなく一緒に行動することになった。
ガラタ橋、アヤ・ソフィア、スルタン・アフメット・ジャーミィ、トプカピ宮殿・・・ついでに絨毯屋まで付き合ったが、私はついていっただけなので写真はあっても記憶に無い。
彼女は4日目の夜、夜行バスでエフェスに向かった。


ネガをチェックしていたら、そんなことを思い出してしまった。
数本のネガの中に一コマだけYが写っていた。
カメラに向かってアッカン・ベーをしているカットである。
Yとは帰国後も飲み行ったりしていたが、ある日、留学すると言って日本を飛び出してからパッタリと連絡がなくなった・・・元気にしているだろうか。

一度行っている土地なのに、記憶が断片的なのはもどかしい。
やはり、自分で歩かないとダメだな。
14年前においてきたものを取りにいかなくては。

イスタンブール・ケマル・アタチュルク空港。
改装されて大きくなっている、地下鉄も乗り入れて便利になっている。
今日は、さすがに誰も声をかけてこない。

今回、イスタンブールに関してはネットで下調べを全くしなかった。
たぶん調べたら、現地在住の邦人の方と連絡をとり情報をもらうとか会うことも可能だったであろう。
現に、最近の旅では在留邦人の方にお世話になっていることが多い。
また宿もネットで予約したりして、安く楽に手配できるようになった。
それを一切やめておこう。
効率が悪くなるのはわかっていたが、現地についてから歩きながら考えよう。


もうひとつ、イスタンブール以外の街に行くかどうか。
ドーハの30時間のトランジットは、それはそれで良いのだが、トルコでの滞在日数が6日間であり到着日と帰国日を引くと4日間しかない。
トルコはバスなどの交通網が発達しているが、国土が広いのでバスの移動だとかなりの時間が必要となってくる、結局それも現地についてから考えようと決めた。


地下鉄からトラムに乗り換えて「スルタン・アフメット」で下車。
目の前にはスルタン・アフメット・ジャーミィ(ブルー・モスク)とアヤ・ソフィアが見えている。
「ひさしぶり。」
さて宿探しだが、前回泊まった宿に行こうとしたが、宿の名前も忘れていたし、見当をつけた場所に行ってもなかった。
4泊もしたのに、覚えていないとは情けない。
そろそろ夕方の遅い時刻になろうとしていた。

その後2件断られ、近くの一ツ星ホテルに飛び込んだ。
とりあえず1泊で1階の部屋を確保できた。
部屋に入ると妙に暗い。
窓を開けると、でかい空調機と物置が置かれている。
部屋を替えてもらおうと思ったが、どうせ寝るだけだし。
ツインのシングルユースでもあるから、まっ、いっか。


荷物を置いてカメラバックを持ってホテルの屋上に出てみた。
屋上はBARになっている。
夕陽に染まったアヤ・ソフィアやボスポラス海峡を見ながら生ビールを注文。
ふぅ〜、美味し。


ドーハからのイスタンブール便には、ビールを積んでいたがハイネケンのみだったので、ちょっと切なくなり結局飲まなかった。
なので2日ぶりのビールである。


日没まで屋上にいて、晩ゴハンを食べに出た。


シルケジ駅に向かって歩いていくと、ちゃんと飲み屋があるじゃないか。


地元の人が楽しそうに飲んでいる。
いい雰囲気だ。


食後、地面にはいつくばって夜景など撮っていたら、通りがかりの人から声をかけられた。

「いい写真撮れそうかい! そのTシャツの文字は日本語か?」
私が着ていたのは、昨年、ミャンマーで買ったビルマ語のTシャツだった。
まぁ、いいさ。良い気分だ。


ホテルに戻り、さて寝ようかとすると、室外機の作動音がウヮーンと不快な音をだしているし、物置に人が出入りしているのか、ガチャガチャ音がして寝られない。
やっぱり明日はホテルを変わろう。


Hotel Poemにて

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