Spring holiday     
 ご飯を食べ終わって、食器を片付けるのは自分がやろうと流しに立った。
 そういえば、と朝言ったことを思い出した。
「ねぇ、高校の制服、見せてよ。待ってるから、着替えてきてね」
 にっこり笑って言うと、部長は始めしかめ面をしてみせたが、仕方がないとばかりにため息をついて荷物を
置いている部屋に向かった。
 食器を洗っている間に着替え終わったのか、部長が戻ってくる。
「何だか、凄く恥ずかしいものだな。これでいいか?」
 照れ笑いをして、俯いている部長だったけど、俺は一瞬答えられなかった。高校の制服はブレザーだった
んだけど、ネクタイがまた格好良くて、凄く似合っていて、・・・・ようは、惚れ直してしまったというか。
「うん、凄くカッコイイよ、部長・・・・あーあ、またファンが増えちゃうんだね、きっと」
 濡れた手をタオルで拭きながら、ちょっと悔しくなって下を向いた。俺は見れない部長の姿を、毎日見れる
部長の同級生に嫉妬してしまう。
 すると、部長が近付いてきて、両腕でそっと抱き寄せられた。
「そんな顔するな・・・・俺の気持ちは、判っているんだろう?でも、最初に見てもらえて、良かったかもな」
 新しい服の匂いに包まれて、頬に当たるブレザーの感触に、こうしてもらえるのは自分だけなんだからと、
気を取り直して。背中に腕を回して、ぎゅっと抱き締めた。
「うん・・・・ここは、俺だけの場所だからね」
 髪を撫でられて、俺は心地好さに目を閉じた。
 もう着替えてくるからと言う部長に、ちょっと残念と思いながら、風呂へ入る仕度をしに自分の部屋へ上がっ
た。着替えを取って来て、階段を降り部長のいる部屋に向かう。
 部長は脱いだ制服をたたみ直して箱の中にしまっている。
「ねぇ、お風呂、一緒に入ろうか?」
 せっかく二人きりなんだし、と思ってそう言うと、部長はびっくりした顔をする。
「え・・・・いいのか?」
「何で?」
 おかしかったかな?と首をかしげる俺に、部長は少し慌てて言った。
「いや、別に・・・・何でもない。そうだな、入ろうか」
 でも脱衣所二人で使うのはちょっと狭いかな、と思って。
「じゃあ、俺先に入ってるから。早く来てね」
 そう言って、お風呂場に向かった。
 服を脱いで、風呂場に入る。脱衣所が寒いのがこの家の欠点だと思いながら。
 濡れるのは嫌いなくせに人のいる暖かい風呂場には興味があるカルピンが、俺の気配に気付いて寄って
きた。お前は駄目、と追い出して、扉を閉めた。
 ざっと身体を流していると、脱衣所に部長が来た。さっきまでは何とも思ってなかったのに、急に気恥ずか
しくなってきた。まさか、そんなここで手を出してきたりは・・・・しないよね?
「入るぞ」
 一応声を掛けてくれるのに、どうぞと答えて、洗い場を空けた。二人で入るのにそんなに狭いって訳じゃな
いけど、部長が入ってきたら、急に狭く感じた。手足が長いからかな、と思って見ていると。
「何、見てるんだ」
 もしかして、部長も照れているのかな。裸見るの、初めてじゃないのにね。
「だって、やっぱり部長大きいなって思って・・・・あの、手足がね。後で背中流してあげる」
 言ってから、自分で地雷を踏んでしまったような気がして、俺は慌てて湯船に入った。
 湯船は結構大きかったから、二人で入っても充分な広さがあった。
 お風呂につかっていると、やっぱり気持ち良い。向かい合わせに入った部長と目が合って、笑った。
 膝とか足とかお互いが触れる所から、より心地好さが伝わってくる気がする。手を伸ばすと、腕ごと掴みな
がら指を滑らせて、辿り着く指先を絡めて、握り締めてくれる。
「先に、髪洗っちゃうね」
 いつもならもっと長くつかっているのに、何だかのぼせてしまいそうで、俺は先に湯船を出た。
 シャワーで流してからシャンプーをつけて洗い始める。何か視線を感じる、けど。
「ねぇ、今どのくらい見えてるの?」
 眼鏡をかけてない部長は、視力は幾つくらいなのかと思って聞いてみた。
「そうだな・・・・顔が判らないくらいかな、残念ながら」
「そうなんだ・・・・残念って、何?」
 笑いながら、シャワーを出して流していると、部長が湯船を出てきた。
 スポンジタオルにボディソープをつけて、泡を立てて。
 俺の背中から、洗い始めた。
 最初はくすぐったくて、クスクス笑ってしまう。部長は、まるで親が子供を洗うように、丁寧にタオルをこすり
つけていく。右腕、左腕、そして胸から腹へ。
「も、いいよ・・・・自分でやるから」
「いいから。ほら、こっち向いて」
 両足も上から下まで、残すところ無く部長の手が動いていく。されるままになって身体を投げ出しているの
に、段々自分も感覚が麻痺してきたみたいな気がする。いや、そうじゃなくて。所々触れられて、自分のもの
が変化してきて、立ち上がりかけてるのは、部長も判っているはずなのに。
 足の指まで洗ったくせに、肝心の部分には触れずに、足りない所は自分でやれとばかりにタオルを渡され
る。自分も頭を洗い始めた部長に、俺は少し助かったと思いながら、手早く身体を洗ってシャワーで流した。
 お返しとばかりに、俺もタオルを泡立てて、部長の背中にこすりつける。親父の背中を流したことはないけ
ど、もしかしてこんな風に、広いと思うものなんだろうか。加減が判らず、聞いてみた。
「痛くない?もっと強い方が良い?」
「ああ、今くらいでいい」
 考えてみればこんなにじっくりと体を見たことはなかったから。腕についた筋肉とか、俺とは違う体のあちこ
ちを、ついじっくりと観察しながら、タオルを動かして行くと。
「もういいから。ありがとう」
「え、ずるいよ、自分ばっかり」
 苦笑しながらタオルを取り上げられた。湯船につかってろ、と言われたけど。
「だって、泡ついちゃったもん」
 と、腕を出して見せたら、振り向いて部長が手を伸ばし。
「あ、胸にもついてしまったな。仕方がない」
 腕を掴まれて、引き寄せられた。部長の足の上に座らされて、腕の中に抱き込まれる。
「我慢してたのに。さっさと逃げないから」
「何言ってんの・・・・――――や、滑る・・・・」
 泡のついた腕が、体にぬめる。そればかりか、抱き込まれた胸と座らされた太腿と、直に触れる所から俺
の体にも石鹸がついて、肌の滑る感触が快感を刺激する。
 頼りない姿勢に部長の肩にしがみ付くしかなくて。近付いた顔に、部長は微かな笑みを口元に浮かべて、
口付けてきた。いつもより熱い身体に、部長の舌も熱くて、余計感度が増しているみたいだった。
 俺はキスだけでイってしまいそうになって、慌てて身を捩った。
「気持ちいいか・・・・?リョーマ・・・・」
 そこで名前を呼ぶのは反則ー!と思いながら、俺はただ部長にしがみ付くしか出来なくて。
 部長の前に膝立ちになって、身体を合わせるように抱き込まれる。全身を包み込まれて、滑る肌の感触に
息が上がる。部長の指が、背中から下りて後ろの谷間に潜り込んできて、蕾みをひっかくように刺激した。
 びくりと身体が反応するのに、俺は頬が熱くなるのを感じた。でも部長はそれ以上深くは求めずに、自分の
高まりを押し付けるようにして、俺自身を刺激した。こすり合わされる感触に、俺はあっけなく果ててしまって、
部長もその後すぐに、俺の腹に白いものを放った。
 二人してシャワーで泡とソレを流しながら、部長はもう一度唇に優しい口付けをくれた。
 それからもう一度湯船につかって、一緒に風呂を出た。
 洗った髪が撫で付けられて、何だか部長がいつも以上に大人っぽく見える。そう思って言うと。
「呼び方が部長に戻ってるぞ」
「あ、そうだった・・・・ごめんね、国光」
「別に無理に呼ばなくていいんだが」
 そう言った部長は可愛くて、俺は笑ってしまった。
02.04.13.  波崎とんび
そしてこれからが本番。ところで。
越前家の居間が和室だった(アニメ)という事に、
どうしようと思いましたがこのままでいきます。
続き待ってる人いるのかちょっと不安になりつつ。
小心者なので・・・・こんなんでいいんでしょうか。