Spring holiday     
 風呂上りのファンタを冷蔵庫から取り出して。自分の分をコップについでから、部長はどうするのか
なと思って、まだ洗面所でドライヤーを使っている部長の所に顔を出した。
「ねぇ、ファンタ飲む?それとも、他に何か作ろうか」
「ん・・・・じゃあ、同じのもらおうか。髪、まだ濡れてるぞ」
 部長は自分の肩に掛けていたタオルを持って、俺の頭に巻きつけてガシガシとこすってくる。
「いいよー、すぐ乾くから・・・・痛いって」
「風邪ひくなよ。もう少しして行くから、待っててくれ」
「はーい」
 俺は台所に戻って、部長の分もファンタをついで、居間に移動した。ソファに座って、さっき放り出した
ままになっていた電話を取り上げる。取り扱い説明書は、一応広げてみたけど、余りの分厚さに全然
内容が頭に入ってこなくて、ペラペラとめくっただけで閉じてしまう。
 普通に電話するだけなら一緒だろうと思い、家の電話番号を打ち込んで、通話ボタンを押す。
 少しの間を置いて鳴り始めた電話に、おお、と思って電話を切った。
「どうした、電話・・・・?ああ、それか」
 髪を乾かし終えた部長が入ってきて、俺の手の携帯を見て言った。
「番号、登録してよ」
「ああ」
 ソファに並んで腰を下ろして、部長に携帯を手渡す。部長は手早くボタンを押して行き、自分の番号
とメルアドを登録していった。電話帳を登録したり変更するのはここから、とか説明もしてくれるけど、
何となくいじってれば判るかな、と思った。
「メールは?どうやって打つの」
「それは、ここからだな。この新規でメールを作って・・・・」
 二人で覗き込んでいるのが気になるのか、カルピンがやってきて俺の膝に乗ってきた。相手にしない
でいると、部長の膝の方に移って、丸くなる。
「大体判ったか?すぐ慣れるだろうけどな。あと、アラーム機能も付いてるぞ。目覚まし一つで起きられ
ないなら、これも使うんだな」
「う・・・・考えとく。多分これで使えると思うよ。サンキュ、国光」
 部長の肩に腕を回して、頬にチュ、と音を立てて口付けた。俺を受け止めて腕を回した部長の膝で、
カルピンが抗議の声を上げる。
「カルピン、そこ俺の場所だからね。お前はこっち」
 抱き上げて、ソファの隅に置いてあるクッションの上に降ろす。怒った彼はソファから降りて行ってし
まったけど、別に気にしない。だって部長は、俺の・・・・なんだから。
 すると部長が俺の身体を持ち上げて、膝の上に抱え上げてくれる。
「リョーマ・・・・明日は普通に部活か?」
「うん。交流戦は明後日だよ。明日は午後だけ・・・・」
 部長の手が、まだ半乾きの髪を梳くように頭を撫でていく。少し目を細めて俺を見つめる表情に、何
だかドキリとして、俺は視線から逃れるように部長の首に抱き付いた。
「もう、寝るか・・・・」
 そう言うと、部長は立ち上がりながら、そのまま俺の身体を横抱きにして持ち上げてしまった。
「うわ・・・・凄いね。重くない?」
「お前は軽いから・・・・このまま部屋まで連れて行こうか」
「え?いいよ・・・・は、恥ずかしいって」
「いいから」
 緊張しつつ縋り付いていると、居間を出て廊下を過ぎ、階段を登って行く。俺の部屋の前で立ち止まっ
て、一度抱え直されて。
 そうか、と思って、片手を伸ばしてドアのノブを回した。そして部屋の電気をつける。
「ありがとう」「どういたしまして」
 何とか部屋の中に入って、ベッドの上にゆっくり降ろされる。ふう、と息をつくのに、流石に大変だった
だろうと思って、ごめんね、と言うと。
「いや、これぐらい出来ないとな。それに、これから付き合わせるのに、悪いから」
「え?」
「まだ、寝かさないからな・・・・」
 戸締りをしてくるからと言って、部長は部屋を出て行った。
 どんな顔して待っていればいいって言うんだ。変にドキドキして落ち着かない心臓を持て余して、俺は
ベッドの上に身体を投げ出して、枕に顔を埋めた。
 たっぷり5分くらい経ってから、部長は戻ってきた。俺はうつ伏せのまま待っていて。部長がベッドに
上がって来てスプリングが沈むのに、少し身体をずらして、抱き締めてくる腕を迎えた。
 いきなり深く口付けられて、腕を回す余裕もなく強く抱き締められる。絡め取られて、吸い上げられた
舌が痛いほど吸われるのに、眉を顰めて声を上げてしまう。やっと背中に回した手で、それでも無意識
に部長のパジャマを握り締めていた。
 ようやく解放されて、一つ大きく息を取るのに、見下ろしてくる部長の視線を感じて、顔が熱くなる。
 眼鏡を外して置き、俺のパジャマのボタンを外していく。上着を脱ぐのに俺は一度起き上がって、その
ままお返しに部長のボタンを外そうと手を伸ばす。お互いに素肌を重ねて、再び口付けられながらベッ
ドの上に押し倒された。
 実は、俺はこうしているのが一番好きだった。素肌が重なって、部長の体温と身体の重みを感じなが
ら抱き締められている時。何だか泣きたくなるほどの、安堵感に包まれて、幸せだなって思う。だから、
その先のことはおまけみたいなものなんだけど・・・・そうも言ってはいられない。
 部長の唇と指が、胸の左右の乳首を愛撫する。舌でそっと転がされると、どうしてそんなに感じるの
か不思議なほどの疼きが、胸から身体の奥に快感を伝えてしまう。
 今日はゆっくりとあちこちに唇を這わせていくから、優しくしてくれてるんだと思うけど、自分の身体が
快感を訴えてくるのをどうしていいのか判らなくて、困ってしまう。何か、変な顔になってるような気がす
るし、そんな顔を見られるのが凄く恥ずかしいのに、部長は部屋の明かりを消す気はないらしくて、時々
目を細めて見ている気配に気付く。
「ヤダ・・・・そんな、見るなよ・・・・」
「どうしてだ。もっと、見ていたい・・・・もっと、見せてくれ」
 下着まで下ろされて、もう立ち上がっていたものを舐め上げられて。思わず跳ね上がる足も難なく押
さえつけられて、より深く唇を這わされる為に広げられるのに、首を捻って堪える。
 二つの袋を交互に転がすように口に含まれ、そこからくすぐるように辿る舌の動きに、先端から溢れ
ているだろう透明な液を舐め広げられて、堪え切れずに声が出てしまう。
 更に膝を折り曲げて腰を浮かせるように持ち上げられ、後ろの窪みにまで舌を這わされて。柔らかな
舌が襞をくすぐる感触に、おなかから力が抜けるような頼りなさと何とも言えない感覚を覚えて、手に触
れたシーツを握り締めていた。
「・・・・ヤ、やだ・・・・んっ・・・・」
 しつこく差し込まれて、唾液を馴染ませるように蠢く舌を、思わず自分が締め付けた感触に気付いて、
更に身の置き場をなくすような感覚に陥る。そこから指が差し入れられて、受け入れられるように慣らさ
れていくのが判る。
 2本に増やされた指が深く抉るのに、自分の身体が既に快感を覚えていることに、気付いた。
 部長も自分の屹立したものに、ゴムを着けながらオイルを取り出して、準備を済ませた。
「・・・・リョーマ・・・・いいか?」
「あっ・・・・うん・・・・」
 一瞬冷やりとした感触とともに、大きなものが後ろに当てられて、膝を持ち上げられながらグッと押し
込まれる。
「う・・・・ああっ!・・・・はっ・・・・」
 思ったよりすんなりと、部長のすべてを呑み込んでしまったのに、頭の隅で驚きながら身体は快感を
追い求める。覚えているのだ、昨日の感覚を・・・・いつもは多少痛みを覚えるはずのそれに、心地好さ
しか感じなくて、痺れるような快感が全身を突き抜けた。
「・・・・大丈夫か?」
「うんっ・・・・平気、だから・・・・」
 部長が腰を動かして、より深く突き上げられるのに、思いがけず強く感じるポイントを突かれて、自分
でも思わぬ声が出てしまって。自分がどうにかなってしまいそうな程、気持ち良過ぎて、あっという間に
達してしまいそうになる。
「はぁ・・・・ん、もぅ・・・・ダメ――――あ、ヤ・・・・ああ!」
「リョーマ・・・・んっ!――――っ!!」
 激しさを増した突き上げに、部長も感じているのが判るから・・・・身体がぶつかって立てる音にも、頭
が真っ白になっていき。大きく引き出されて再び強く深く捩じ込まれたものが、俺の身体を満たすのを
感じて。何度もイイ所を突き上げられて、俺は堪らずにイってしまい・・・・部長も何度か身体を強張らせ
て、俺の中で分身を震わせて果てた。
 はぁー、と大きく息を吐いて、身体を重ねて脱力する。俺の上で喘いだ息を整えている部長に、やっぱ
り安堵のような愛情を覚えて、力の抜けた腕を回して、汗の浮いた背を抱き締めた。
 身体を起こして、微笑みを浮かべた部長が、顔を見下ろしてくる。一つ口付けて起き上がり、腹の上に
飛ばしてしまったものをティッシュで拭き取ってくれる。
「リョーマ・・・・痛くなかったか」
「う、うん・・・・平気だったよ」
「じゃあ・・・・ヨカッタ?」
「きっ・・・・聞くなよっ」
 照れ臭くて背を向けるのに、後ろから抱きすくめられた。
「まだ、平気か?」
 耳元で囁かれて、一瞬びくりと肩を震わせてしまう。後ろから回された手が有無を言わさずに俺のモノ
を包み込み、快感を引き出していく。
「ダメって言ったら、止めてくれんの?」
 クスクス笑いながらそう言うと。
「いや・・・・もう止まらないな」
 再び熱を持った声で、頬に口付けてくるのに、俺もすぐに煽られながら、部長の頭に腕を回して、その
髪に指をくぐらせた。
     
02.05.02.UP   波崎とんび
とりあえず、この辺で・・・
まだまだ春休みは続きますが、一応。
そのうちお初物も書きたいですね(^^;ゞ
一人称はやはり苦手です〜。
ていうか、「まだまだだね」ですね・・・
出直して参ります(−−;
お粗末様でした。