テキスト ボックス: 森で一番古い木に、森で一番年寄りのフクロウが住んでいます。
クロネコはするするっと木をのぼって
「お手紙だよー」とフクロウを起こしました。
やっぱりネコにぴったりの仕事ですね。

「くまさんの名前が見つからないの」
クロネコがいいました。
フクロウが穴から出てきて、くまさんを見ました
「名前ってさ、しょっちゅう呼んでやんなきゃならないんだ」
そういって、ぐるりぐるりと顔をまわしました。
「それにさ、たくさんの名前と仲よくするのが好きなのさ」
ぐるりぐるりと顔をもとに返しました。
    
 日がかたむいて森の影が長くなりました。
クロネコはもう町の郵便局にかえる時間です。
ふたりはくまさんの家の前にもどってきました。

「またあした、ね」
片足を自転車にのっけてバイバイします。
その小さな手を、くまさんの手がつつみました。
「ありがとう・・。
あたしは今まで、名前がいやがることばかりしてたのね」

                      
                     
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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