テキスト ボックス: その夜眠る前に、くまさんはたったひとつ大事にしまってあった
名前をつぶやきました。
「マロン・マロン・・」
亡くなっただんなさんの名前です。

なんていい天気
森は黄みどりいろ
木もれ日が水玉のよう・・
森の奥で働いているだんなさんに
お弁当をもっていくの
コンコンと 木の音
あっちにいるの?
コーンコーン
むこうにいるの?

そのとき、なつかしい声が聞こえました。
「ローズマリー、こっちだよー」

     
目がさめたとき、
くまさんの心はたくさんの名前でいっぱいでした。
フクロウさんにアナグマさん。おながざるの兄弟に鹿のお母さん。
みんなの名前をつぎつぎに小さい声で呼びました。
夢の中の幸せな気持ちがいつまでも続きます。
                      


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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