愛から始まる物語


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愛から始まる物語10




「文緒は、後悔しない?」

 俺は一応、最終確認のつもりで聞いた。

「もう後悔した後だよ」

 とぶっきらぼうに答えられた。

「やさしくして。柊哉、痛かった」

 文緒の言葉に心が痛む。あんの馬鹿。次に会ったら一発殴る。
 俺は文緒を抱き寄せ、唇を重ねる。何度もしたキスだけど、キスをする度に新しい発見がある。
 文緒は俺の腰に腕を回してきた。最近の若い子は積極的だねぇ。
 感想がおっさんなのは、許せ。
 文緒をベッドに腰掛けさせ、深く口づけると、向こうから舌を入れてきた。
 何と申しますか。おっさんはたじたじですよ、正直。負けらんねぇ。
 文緒の肩に手をかけ、唇をむさぼるようにキスをする。文緒は慣れないなりにも俺に応えようとしてくれる。
 その初々しさに俺の心は熱くなる。やばいもう俺、駄目かもしれない。
 やさしくして、と言われていたのに、気持ちと裏腹に身体は文緒を激しく求めていく。
 相当我慢していたらしい、とようやく気がつく。だからどこまで俺はにぶいんだ。
 それでも文緒を極力怖がらせたくなかったから、あせる心に言い聞かせながらひとつずつ段階を踏んでいく。
 俺の手のひらに収まってしまうほど小さな胸も。折れてしまいそうな細い腰も。白いうなじに浮き出ている鎖骨さえもすべてが愛おしい。
 俺が加える愛撫の手に合わせて文緒の口から甘い吐息が漏れる。
 たまに思い出すのか、不安そうな表情をすることがあったけど、俺が忘れさせてやる。経験だけは柊哉よりあるはずだ、たぶん。
 あちこちに愛撫を加え、文緒の弱いところを探る。どうやら首筋が弱いらしく、唇を這わすと息を荒くして俺にしがみついてくる。それがものすごくかわいくて、思わずしつこくせめてしまった。

「睦貴、苦しい」

 荒い息の下、文緒はようやく絞りだしたような声で俺に伝えてきた。

「私、おかしくなっちゃうよ」

 それでもやめない俺に文緒は身をよじって逃れようとしている。

「気持ちいいならいいじゃないか」

 俺は今、相当意地悪な顔をしている自覚がある。好きな子をいじめたくなるのは本能ゆえだよな。その紅潮した表情が扇情的すぎて、止めることができない。

「嫌って言われても最後まで行くからな」
「うん、いいよ」

 積極的な返事に、俺の欲望はヒートアップ。
 チェンジ・プリキュア、ヒートアップ!
 ……って引くこと言うな?
 柊哉がつけた赤い印の上からさらに印をつける。文緒は俺のものなんだ。もうだれにも渡さない。
 ……自分にこんなにも強い執着心があったのを知り、自分に驚いた。
 兄貴がさっき、柊哉に言っていたっけ。『文緒はものじゃない』って。そうだよな。それは頭ではものすごく分かっているんだけど、俺の心はそうは思っていないらしい。
 文緒のパジャマのズボンに手をかけた時、やっぱり激しく拒絶の反応を示した。

「無理ならやめるよ」

 もう気持ちを止めることができないのは知っていたけど、文緒が嫌がるのならそこで止めて文緒の前でひとりでやる自信があった。そんなことしたら嫌われるのが分かっていたけど、文緒を傷つけるくらいなら嫌われた方がいいかな。……どれだけ変態思考なんだ、俺。
 ズボンから手を離したら、文緒に抱きつかれた。

「ごめん、大丈夫。睦貴なら平気だと思う」

 その涙ぐましい努力になんか変な液が出そうだった、下半身から。いやもう、さっきから透明な液ならとどまることなく出てたんだけど、そうじゃなくて白い奴。
 どれだけ俺、早漏なんだよ、ありえないだろう。
 文緒に下半身の熱くたぎった憎いあいつをわざと押しつけた。文緒は驚いて俺を見ていたけど、嫌がっている様子はなさそうだ。この様子なら、大丈夫かな……?
 再度、ズボンを脱がせることにチャレンジする。今度はそれほど抵抗なく脱がすことに成功した。
 白い素肌が眩しい。
 白い肌に白のパンツ……ってこれ、蓮さんセレクト、だよな?こうなることをあらかじめ予想していたみたいなかわいらしいパンツで、気がききすぎる蓮さんが憎いっ!
 いきなり脱がすのも乙なんだけど、じわじわと脱がす方がいいかな。
 太ももにいきなりタッチすることをためらわれるほど白くて、ゆっくりと下からにした。
 文緒は初めての感覚なのか、俺の動きに合わせてその度にびくり、と身体をはねさせる。
 ゆっくりと下から上に上がり、太ももの内側にキスを落とす。

「ひゃっ」

 文緒の口から変な声が漏れた。予想外の感覚だったらしい。俺はそのまま内側を攻める。その度に文緒の身体ははねる。そしてゆっくりと文緒の中心部に近づく。すでにそこはしっとりと濡れていて、急に心臓がどきどき言い始める。
 赤ん坊のころ、何度も見ただろう、俺。なにを今更、躊躇してるんだ。
 まだ直接見ぬその先は、明らかに十数年前の記憶のものとは違うというのが分かり、さらに下半身に血が集まるのを自覚した。
 やべえ。
 なんだか開けてはいけないものをあけちゃいそうだ、俺。
 ゆっくりと顔を近づけ、布越しにキスをする。

「や、やだ!」

 文緒が俺の頭をぐい、と押さえてきた。
 俺は一度顔をあげて、文緒の顔の前に自分の顔を移動させる。

「恥ずかしいの?」

 文緒は顔を真っ赤にしてうなずく。この反応がかわいいなぁ。文緒をギュッと抱きしめ、下半身を文緒の大切な場所に押しつける。

「本当にこの先、進んでいいの?」

 俺の熱い塊を感じて、文緒の表情はかたくなる。

「文緒は痛いと思うけど、それでもいいの?」

 少し間があって、文緒はこくりとうなずく。

「さっきの嫌なこと思い出すかもしれないけど、それでもいいの?」

 我ながらかなり意地悪な質問だよな、と思ったけど、嫌だって泣き叫ばれたら俺、当分立ち上がれないかも。自衛の意味と文緒を傷つけないための二重の意味で確認をとる。

「いつかは経験することでしょう?」

 まあ、ねぇ。一生処女を貫く、というのなら話は別だろうけど。

「やっぱり、痛いの?」

 文緒のその質問に、俺は疑問に思う。

「え……。柊哉」

 柊哉とやったんじゃなかったのか?股に血がついていたのは、あれはなんだ?俺の質問に文緒は答えにくそうにしていたけど、ようやく重い口を開いて俺の疑問に答えてくれた。

「ゆ、指は入れられたけど、柊哉……私に入れる前に、その」

 なんとなくわかった。奴はチェリーくんだったのか。文緒に入れる前に暴発した、と思っていいんだな? 勝った……! よかった、文緒の初めてはまだ奪われてなかったんだ!
 優越感に浸る俺は、大人げないという自覚はあった。だけどこれだけは譲れない。俺は文緒の最初で最後の男になる、と決めたんだから。
 文緒に嫌われるのは嫌だけど、俺は文緒のことを嫌いにはなれない。こんなに愛しているのに、嫌いになるなんて、あり得ない。それこそ、生まれた瞬間からのお付き合いなのだ。
 文緒だって人間だ。嫌なところもたくさんある。だけど、俺はそれを含めてすべての『文緒』という女のことを愛している。文緒が同じ気持ちでいてくれているかは知らないけど、同じ気持ちでいてくれるとうれしいな。

「俺がおまえを女にしてやる」

 舌を入れて口づけをしながら、俺は文緒の大切な部分に指を這わせる。文緒はかなり身体をこわばらせていたけど、俺の愛撫に少しずつ身体の緊張をほぐしてくれた。
 そういえばゴムを準備していなかった、ということに気がついてしまい、もうここまできてないからおしまいな、と言えないことが分かり、どうしようと少し焦っていたら、ふと文緒の荷物が目に入って別の意味であせった。
 先ほど蓮さんが持ってきてくれたかばんの一番上に、俺が求めてやまないものが入っていて、蓮さんのその気の回しように俺は激しく恥ずかしくなった。俺の行動、読まれまくりかよ! なんだよ、あんなにしぶっていたのに! それで俺の顔、見ようとしなかったのか!? あまりにもかわいいその行動に、苦笑するしかなかった。
 というかだ。文緒、かばんの上に見えるように置いてるって、その気満々なのかよっ!最近の女子高生は積極的でいかん。おっさんが教育してやるっ! そこで服を脱いで正座しろ。
 ……あ、もう脱がせた後だった、そう言えば。








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