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世界遺産イタリア・ポルトベーネレ・サン・ピエトロ教会  copy right reserved by Akihiko Murazumi

All on 4  Case 1   before & after

下顎無歯顎症例



即時荷重を実施するためには・・・

1.抜歯順番は・・・

2.サージカルステントの製作・・・

抜歯をこれから行わなければならない症例では「十分な下拵え」が重要になります。いわゆる基礎工事です。

抜歯を行わなければならないと診断された歯は、「歯周病が進んでいる」・「歯が割れている」・「歯の根端部に大きな病巣がある」などです。「歯周病が進んでいる」とは、細菌感染した歯の根面に接触している周辺骨組織がなくなっている状態・「歯が割れている」とは、割れ目に沿って細菌感染があり、隣接している骨組織が感染により吸収している。

「歯の根端部に大きな病巣がある」とは、根端周辺の骨組織が細菌感染によりなくなっている。


感染している組織周辺にある骨組織にインプラントを埋めていくわけですから、十分時間をかけての下拵えが重要になっていくわけです。


この症例の術前口腔内写真




この症例の術前パノラマ写真



このパノラマ写真に向かって右側(患者さんにとって左側)下あごに大きな骨欠損が

ありますが、20年ほど前に北大で口腔癌・顎骨内腫瘍の手術により切除されています。

現在も左側下顎皮膚は「痺れている。」とのこと。

その切除されて隣接している残存歯は根端部にいたるまでの大きな歯周病

による骨欠損があります。

また下顎正中部(中央部)に残存している4本の切歯根端部には根尖病巣が存在してい

るために骨組織の吸収像があります。まずこれら5本の歯は早期に抜歯が必要です。

抜歯することで、骨組織の再生が起こり、病巣内の細菌数も減らすことができます。

きれいな骨組織にインプラントを埋めていく方が安全なのです。

リスクを減らしていくことが、インプラント治療の下拵え・根回しなのです。

右側犬歯と左側犬歯・第一小臼歯の残存状態として既存義歯を改造後使用していただ

き、インプラント手術前まで使用していただくことにした。この状況でラジオグラフィック

ガイドおよびサージカルステントを製作して、オペの準備を行いました。

AlphardVegaによる術前CT画像


口腔癌により摘出された組織の周辺に解剖学的な変化は起こっているのか。
もともとの解剖学的指標でインプラント手術におけるリスク・ファクターは存在するのか。
上図左下の水平断面に表示されている下顎骨体に三本の黒い線が入っているのが

わかりますね。左右両サイドにあるのがオトガイ下動脈で、中央が舌下動脈です。

下顎骨体内部の下顎動脈と吻合するようになっています。

この血管が損傷を受け、顎骨内で出血する場合は特に問題が起こりません。

顎骨というかなり硬い組織内で発生した出血に関しては、自然に止血してしま

います。

問題は口腔底という比較的疎な組織隙が豊富にある空間で出血がおこる場合、

その疎な空間を血液で充満してしまうと呼吸するために確保されるべき気道が

閉鎖してしまうことがあります。


本症例の場合、下顎のオールオン4により、上顎の残存歯のうち、特に前歯部が咬合力増大により唇側に傾斜移動してしまう可能性がある。このような状況になった時に磁性アタッチメントによる可撤式ブリッジが必要になると予想されるが、術前に患者さんへのコンセンサスが得られているか。


手術直前のAlphardVegaによるCT画像



サージカル・ステントの適合について、残存前歯を抜歯した直後にサージカル

ステントをアンカーピンで顎骨に固定して状態で、最終CT撮影を行い、

オトガイ下動脈・舌下動脈の顎骨への入り口とインプラント埋入位置を最終確認

の後にオペを行いました。

オペ室のすぐ横に世界最高レベル歯科用CT AlphardVegaがあるので、

このようなことが確実に行えるわけです。

All On 4 による即時加重暫間補綴物装着後のパノラマ写真



インプラント治療前の説明通りに上顎前歯部に負担がかかってきたので、

患者さんに対して再カウンセリングを行い、上顎前歯部のアタッチメント・

コーヌスクローネ・デンチャーによる修復を開始する。

Panadent咬合器にFacebow Transferを用いてCR-Check biteでマウントすることで、

患者さんの顔貌・顎関節の中心位を考慮して、顎運動を解析していきます。



存歯の冠根比の改善を目的として、

磁性アタッチメント・コーヌステレスコープ・デンチャーを製作。





下顎の最終補綴物を製作する。



ゴシックアーチ法により中心位を探し、Panadent咬合器に再度

マウントします。





最終CT撮影によるTMJ確認





2010/03/14 食事は現在、特に不自由がない。何でも食べられるとのこと。

たこ・イカは気をつけている。かきもちが食べられて、うれしかったとの事です。


Time Schedule

初診 2008/06/30     
術前CT撮影 2008/09/07    
インプラント外科手術 2008/10/15     
最終補綴物装着後 2009/12/13   最終CT撮影によるTMJ確認  



札幌のインプラント治療・審美歯科なら札幌の〈うめや歯科クリニック〉

お知らせ
  • All On 4症例をアップしました。
  • 術前・術後という単純なわかりやすいものにすべきか、それとも舞台裏を含めたフランクなものにするか・・・・
  • 迷ったのですが、患者さんにとって「安易な気持ちになって受診されたのでは、不利益をもたらす結果になるのではないか・・・。」との思いで率直に、このすばらしい治療法を紹介してみたいと思います。
  • まずは下顎オールオン4症例です。