FESTIVAL D'AVIGNON

アヴィニヨン演劇祭公式ガイド 24


■アヴィニヨン演劇祭2004IN

 アヴィニヨン演劇祭のディレクトゥールを途中の中断があったものの3期16年間にわたって勤め、このフェスティヴァルの顔とでもいうべきベルナール・フェーヴル=ダルシエ(BFA)退陣のあとを継いで、今年の第58回目からオルテンス・アルシャンボとヴァンサン・ボードリエールという若い男女のカップルが就任するが発表されたのは一昨年2002年の秋のことである


 BFAの退任時期は、後任の人選とともに、いつかからさまざまな憶測がとびかい、とくにBFAの片腕として事務局で働いてきたこの若い男女のカップルの名前は、一種スキャンダラスであるともいわれかねない報道のされかただった。そして翌年(2003年)のBFA最後のフェスティヴァルが、その歴史上はじめて中止という憂き目にあってしまった。

 そして、彼らのとりあえずの任期中の4年間(ここでも慣例的な5年間の任期からBFAの延長分が差し引かれたのだろうか)に、毎年交代で芸術監督というべきアーティストの名前が、それも4年分まとめて同時に明らかにされた。ドイツベルリンのシャウビューネの若きディレクトゥールとして活躍する演出家トーマス・オスターマイヤー(2004年)をはじめに、コンセプチュアルな造形作家として知られながら2001年に教皇庁中庭で先鋭的な舞台を創造したベルギーのヤン・ファーブル(2005年)、フェスティヴァル常連ともいえるハンガリー出身の前衛ダンスの振付家ヨゼフ・ナジ(2006年)、それに地元フランスの演出家フレデリック ・フィスバック(2007年)というこのフェスティヴァルではすでにお馴染みの顔ぶれが並んでいる。これらのアーティストは、一応新しいディレクトゥールが招請したことになっている。

 そしてこの2月、例年より1カ月以上も早く今年のフェスティヴァルのプログラムが発表された。二人のディレクトゥールとT・オスターマイヤーがアヴァン・プログラムの発表とともにオデオン劇場アトリエ・ベルチエでインタヴュに応じた。

 まず目に着くのはアーティスティック・ディレクターであるオスターマイヤー自身関連の演目が、3週間ちょっと(7月3日〜27日)のフェスティヴァル期間中べ ったりと並んでいることである。まるでシャウビューネがベルリンから引っ越してきたようなありさまである。失われたフェスティヴァルに代わる1年遅れのエリゼ協定40周年記念といったところであろう。

 それではオスターマイヤー演出作品から。教皇庁中庭でのフェスティヴァル開幕作品はG.ビュヒナーの『ヴォイツェック』(8〜11日)。一応新ヴァージョン ・フランス初演。つづいてサン=ジョゼフ高校体育館でのエンダ・ヴァルシュの『ディスコ・ピッグス』(13〜16日)をはさんで、昨年のプログラムである話題の新訳イプセンの『人形の家(ノラ)』(16〜22日、18日除く)が伝統的イタリア様式の市立劇場で予定されている。そして最後には『コンセール・ア・ラ・カルト』(21〜25日)と題されたサン=ジョゼフ高校礼拝堂での1時間の短い作品。演出家が見事なフランス語をあやつるとしても、これらの公演はもちろんドイツ語上演。

 ほかにもサン=ルイ回廊中庭では、オスターマイヤーが選んだ現代作家の10作品程度のテクストが朗読によってフランスへの紹介される。恒例のジャン・ヴ ィラールの家での展覧会はオスターマイヤーとシャウビューネにまつわる内容をテーマとして取り上げる。

 このほかオスターマイヤー公演のヴィデオを撮影してきたユーリアン・ルーゼフェルトがインスタレーション『アシュラム』(セレスタン教会、3〜2『バスティヨン・ヨーロッパ』(3〜27日)というヴィデオパフォーマンスを行う。
またフランス・キュルチュールの放送局が特別番組を、「オルタナチヴ・テアトラル」誌がフェスティヴァル事務局とともにドイツ演劇特集を組む。
 
 これらのオスターマイヤー自身の演出作品のほかに、彼が招待した公演も組まれる。シャウビューネとともにベルリンを代表する劇場であるフォルクスビューネからフランク・カストロフがピティグリリ原作の『コカイン』(7〜9日)を郊外のシャトブランで公演する。同時期にルネ ・ポレシュが自作の『プリジュニックのパブロ』(8〜10日)をサン=ジョゼフ体育館で初演する。そしてスイスのチューリッヒからは、オスターマイヤーに先だ って市立劇場でクリストフ・マルタラーが『グルーディング、希望についてのヴ ァリエーション』をもってくる。これらもドイツ語上演。

 ダンスでは、シャウビューネのダンス部門のディレクトリスのサッシャ・ヴァルツが『アンプロンプチュ』(9〜15日、14日除く)をサン・ジョゼフ高校中庭で公演し、コンスタンツア・マクラスとドルキィ・パルクが『バック・トゥ・ザ・プレザント』(9〜14日、12日除く)をオバネル高校体育館で振付ける。

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