詰将棋は全体がパズルともいえそうですが、その中でもパズル感が強いものをパズル詰将棋と呼んでいます。
パズルにも知恵の輪、迷路、箱詰めパズル、入れ替えパズル、ペンシルパズルなど様々なジャンルがありますね。
本作は迷路のような詰将棋です。
といっても、早く抜ける迷路ではなく、なるべく長くさまようちょっと変わった迷路。
詰将棋は受け方が最長に逃げるので、そうなるのですね。
少し進めてみると逃げ方がいろいろあるのがわかります。
どっちが長いか、すぐにはわからないので、いろいろ試して迷路の全体像を把握しましょう。
赤い線が玉が通れるところ。
このルートから外れると簡単に詰んでしまいます。
このようにルートがループしているので、やみくもに龍で追いかけても無限ループに陥ります。
それを断ち切るのが赤字で表示された3枚の歩。
歩が残るとそこにはもう行けないので、だんだん行き止まりが増えて、最後はこのルートの外に追い出されて詰むというのが本作のストーリーです。
持駒の歩は2枚しかありませんが、もう1枚86に落ちているので大丈夫。
また、37歩や77歩を打った時角を取られてはダメなので、龍で角にひもがついている状態で打つ必要があります。
では、手順を見ていきましょう。
いろいろ逃げ方はありますが、まずは作意順を並べて、歩打ちの順番と何手めかを確認します。
67龍、同玉、64龍、58玉、68龍、47玉、48龍、36玉、
46龍、25玉、26龍、34玉、24龍、45玉、44龍、56玉、
46龍、65玉、66龍、74玉、64龍、85玉、84龍、76玉、
86龍、65玉、66龍、74玉、64龍、85玉、84龍、76玉、
77歩(33手目)、67玉、64龍、58玉、68龍、47玉、48龍、36玉、
46龍、25玉、26龍、34玉、24龍、45玉、44龍、56玉、
46龍、65玉、66龍、54玉、55歩(53手目)、45玉、46龍、34玉、
44龍、25玉、24龍、36玉、37歩(61手目)、47玉、44龍、56玉、
46龍、65玉、66龍、74玉、64龍、85玉、84龍、96玉、
86龍 まで73手
初手47龍は、同玉、44龍、37玉で36歩が邪魔で詰みません。
最初うまく逃げ回ることで、77歩を打つのを33手目まで延ばしています(25手目77歩は67玉で1歩不足で不詰)。
ほかの逃げ方だと、いずれももっと早く77歩か37歩あるいは55歩を打たれて早いわけです。
例えば、4手目58玉で56玉は、66龍、45玉、46龍、34玉、44龍、25玉、24龍、36玉、37歩(13手目)以下55手。
4手目76玉は、66龍以下一周して86歩を取ってから56玉で同様(21手目に37歩)で61手。
8手目36玉で56玉は、46龍、65玉、66龍以下一周して86歩を取って、66龍、74玉、64龍、85玉、84龍、76玉、77歩(25手目)以下65手。
20手目74玉で54玉は、55歩(21手目)以下61手。
28手目74玉で54玉は、55歩(29手目)以下63手。
77歩を打ったあとの逃げ方も注意が必要で、40手目36玉で56玉は、46龍、65玉、66龍、54玉、55歩(45手目)以下65手。
具体的な手順が気になる方は棋譜の分岐でご確認ください。
作者 「龍追いによる迷路脱出のパズルです。
比較的簡潔な駒配置の作図ですが、歩3枚でどの迷路をいつ塞ぐかが鍵になっています。」
自由に行き来できる循環路が、だんだん通行止めが増えて、最後は追い出されてしまうおもしろいパズル詰将棋でした。
それでは、みなさんの感想を。
- 山下誠さん:
- 歩を打つ適切なタイミングをはかるシンプルなパズル。
86龍まで75手解。
数え間違いかなということで正解としましたが、迂回手順などあるようでしたらご連絡ください。
- おかもとさん:
- 37、55、77の歩を設置するパズルですね。
- ootanowatasi68さん:
- 歩を打つタイミングの難しさ、面白さ
- 占魚亭さん:
- 龍追いパズル。
歩打ちのタイミングが分かりやすく、面白かったです。
- 小山邦明さん:
- 20手目54玉は55歩から早詰。龍がぐるぐる回って目が回りそうです。
- たくぼんさん:
- 手数にしては簡素な配置駒で実によくくるくる回る。
まさにくるくる作品ですね
これをくるくるレベルで解けるとは流石です。
- 池田俊哉さん:
- 大迷路、迷路(相馬氏)に次ぐ「小迷路」と言って良いくらいややこしい作品で、
最長手数探しが厄介だが、解けてみれば手順は理詰めと感じられるくらいすっきりしている。 好作
- 空貴人さん:
- 駒が散らばった初形。
6段目の歩の非対称性が、さあ、解いてみませんかと誘ってきますが、遠くのと金や、70手台ともなれば、とてもとても手も足も出ません。
しょうがないので、江口伸治さんの飛角図式詰将棋作品集の随想を読んでいたところ、作者の本間晨一さんのお名前を発見してうれしくなったところです。
- S.Kimuraさん:
- どうしてこの順番で回るのか理解できませんでした.
歩を打たれる時期をできるだけ遅らせる逃げ方ですね。
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