|  二枚飛車のパズルは昔から良く作られていて、おもちゃ箱でも、くるくる展示室やパズル展示室で何作か出題されています。
    本作は15・35・75・95が空いているので、逃げ方がちょっと複雑化しています。
    持駒に桂が2枚あって、1筋から9筋まで八段目はどこからでも打てる形ですが、はたしてどこで使うのが正解でしょうか。 
 初形の47歩の配置に注目しましょう。
    この歩がなぜ配置されているのか考えると、もしないとしたら、77飛、67飛、57飛と右に追っていったとき46玉に58桂と打って玉の移動範囲を右3筋だけに限定できることがわかります。
    実際には47歩があるので、47飛と取らざるを得ないのですが、行ったり来たりする中で同じ形(57飛、46玉)が作れれば、今度こそ58桂が打てるわけです。
 
 注意が必要なのは、57飛、66玉、58桂でも同じように左3筋に限定できるのですが、こちらは詰まないこと。
    それは、右なら17飛37飛26玉の形が作れれば18桂まで詰みですが、97飛77飛86玉では78桂も98桂も銀に取られてしまうからです。
 
 それを踏まえて、手順を進めていきましょう。
    いつも左右に逃げ道があるわけですが、基本は2枚の飛に挟まれないようにぎりぎりまで逃げるということ。
    微妙なときだけしっかり読みましょう。
 
 77飛、66玉、67飛、56玉、57飛、46玉、47飛、35玉、
 36歩、同玉、37飛、26玉、27飛、35玉、
 
 36歩に26玉と逃げるのは作意順に短絡。
    27飛まで行くと、15玉では16歩、同玉、28桂、15玉、17飛、26玉、18桂以下。
    35玉と逃げざるを得ず、ここで左の飛が登場して方向転換です。
 
 36歩、同玉、37飛左、46玉、47飛、56玉、57飛、66玉、
 67飛、75玉、76歩、86玉、
 
 この76歩も同玉の方が手数が長くなりそうですが、77飛、86玉の形が78桂〜98桂の筋があって詰むため77飛には66玉と逃げざるを得ず、かえって早く折り返すことになります。
 
 87飛、95玉、96歩、同玉、97飛、86玉、87飛右、76玉、
 
 この折り返した局面、持駒は桂桂歩歩と減っていますが、盤面は初形から47歩を消去した形になっています。
    ということは、もうお分かりですね。
 
 77飛、66玉、67飛、56玉、57飛、46玉、58桂、35玉、
 
 待望の58桂が打てて、あとは右側で詰めるだけです。
 
 36歩、同玉、37飛、26玉、27飛、15玉、16歩、同玉、
 17飛、26玉、27飛左、35玉、
 
 ここで歩があれば叩いて詰みですが、もう残っていません。 しかし、直接37飛とすれば、歩合などでは47桂から27飛左。 角銀は品切れで金合をせざるを得ず、取って収束します。
 
 37飛、36金合、同飛、同玉、37金、35玉、47桂 まで61手
 
 作者 「本図も2枚飛車のパズルで、持駒桂の打ち場所がカギとなるあたり、くる展No.34と似た印象かも知れません。
    1往復して47歩を消去すると58桂が打てるようになり、収束に至ります。」
 
 変化読みは大変なものの、本線のロジックはすっきりとしたパズル作品でした。
 
 それでは、みなさんの感想を。
    解答到着順です。
 
      小山邦明さん:
      こちらは飛と桂馬の組合せ。最後に金合を強制させて巧みな収束でした。
     
      占魚亭さん:  
      飛車を金に換える収束に「なるほど」。
     
      山下誠さん:
      34手掛けて4七歩を消去し、最初の飛車の位置に戻る。うまい構成のパズルで楽しめました。
     
      隅の老人Bさん:
      好きに加えて今日も暇。根気もあって王を追う。右往左往で変化読み、こうして今日も暮れて行きます。
 
      池田俊哉さん:
      桂で楔を打ち込んで往復を止める、と思いきや意表の金合が飛び出す。うまく合駒制限されている
 
      S.Kimuraさん:
      こちらの問題は一往復目と二往復目で共通しているところがあったので,何とか理解することができましたが,34に打った歩は取らなくてはならなくて,76に打った歩は取ってはいけないなど,ややこしかったです.
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