詰将棋自体、パズルの一種といえますが、その中でも、知恵の輪趣向とか、実際のパズルを連想させるようなパズル的な作品群があります。
パズル展示室はそんな詰将棋を出題するコーナーです。
本作、きれいな飛香歩全駒図式で、一見くるくる風ですが、歩たたきに常に取る手、逃げる手があって、かなり複雑です。
ここは、作者に解説していただきましょう。
大まかなストーリーは以下の通りです。
- 一見取っ付きにくい配置ながら、攻方龍を8段目に上げた方が詰めやすいのは明らかです
(特に38龍/26玉の形なら歩2枚で簡単)。
一方、左右の端など打歩詰には要注意で、以上を念頭に置いて攻めることになります。
- まず右辺で折り返した後の11手目、単に28飛では後々歩が不足します。
29龍なら受方は手数延ばしに飛車を呼ぶ28歩合を打たざるを得ず、1歩稼げます。
- 以下左辺に移動、変化の多い手順が続きます。
27手目68龍と上がりたいところは打歩詰のため我慢。
- 左辺で折り返した後の35手目、88飛はぎりぎり逃れます。
39手目再び龍を8段目に上げるチャンスですが、これも我慢します。
- その後は、7段目に残った歩により玉の包囲網が急に狭まります。
ようやく38龍が実現し収束。
つまり、龍をなんとか8段目に上げたいわけですが、うかつに上げると打歩詰になるので、タイミングが重要です。
37歩、同玉、39龍、26玉、27歩、16玉、17歩、同玉、
19龍、27玉、29龍、28歩合、同飛、36玉、
歩たたきに横に逃げると、どんどん歩をたたいて、いつかはx7玉と歩を取らざるを得なくなります。
そこでx9龍から龍を8段目に上げる手があってだいたいは早い。
龍が8段目に上がれないのは、28龍のように上がると打歩詰になるとき。
序では受け方はそこを狙って、19龍に27玉と歩を取ります。
このとき29龍が1歩稼ぐ巧妙な手段。
29龍に46玉と逃げるのは、最初と同様歩をたたいて行って詰み。
9筋の飛をずらすための28歩合が必然で1歩入手できるのです。
37歩、46玉、47歩、56玉、57歩、同玉、59龍、66玉、
67歩、76玉、77歩、同玉、79龍、86玉、
37歩や47歩を取るのは38龍で早く、かといって7段目の歩が全部残っていると早いので、57歩に同玉といったん取るのが最長の受け手。
77歩、同玉に79龍で右辺と似た形になります。
ここ、79龍の代わりに急いで68龍とするのは、87玉、88龍、96玉で打歩詰で失敗。
87歩、96玉、97歩、同玉、99龍、87玉、89龍、76玉、
左辺でも先ほどと同じように89龍が好手。
ここ、88飛で詰みそうなんですが、きわどく逃れています。
89龍に88歩合は7段目の歩の関係で同飛以下早く、今度は76玉と逃げるのが最長です。
77歩、67玉、69龍、56玉、
67玉にやっと78龍ができるかと思いきや、これもワナ。
なかなか8段目に上がれません。
57歩、同玉、58飛、47玉、49龍、37玉、38龍、26玉、
やっと8段龍が実現。
ここまでくればあと1歩です。
46玉は48飛以下53手駒余り。
26玉で歩を使わせるのが正解です。
27歩、16玉、17歩、同玉、18龍 まで53手
きれいな顔をして、とても難しいパズル詰将棋。
解答者のみなさん、お疲れ様でした。
それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。
- 山下誠さん:
- どう逃げても詰みそうそうで、玉方の最善手を読むのは結構大変。
- 小山邦明さん:
- 持駒は歩だけだが、2枚飛車は強力。ただし龍が8段目にくるまでが大変。この形で綺麗にまとまっているのはすばらしい。
- Pathfinderさん:
- 自力では解けなかったのでPCソフトと協力して解きました。
歩中合が入りここまで長手数になるとは意外です。
- 小林巧さん:
- 余り深く考えずに、歩を打って、飛回って、歩を打って、龍回って、、、とやっていくと打歩詰めまで出てきて結構難しい。これはもう、盤駒取り出してペタペタと玉と歩の妙味を味わうのみ。
- 占魚亭さん:
- 竜を八段目に上げるまでに苦労しました。
- 金少桂さん:
- すみません、ギブアップさせてくださいorz
盤上で飛と龍が右往左往するどころか頭の中でも思考が右往左往してしまった。
虱潰しにやろうとすると変化紛れが膨大で人間の手に負えなくなりそうだから、何か解図の鍵を見つけたかったんだけど・・・。
- 池田俊哉さん:
- 八段目に龍を上げたいが、玉方は上げてはマズい形の時だけOKと言ってくる、その駆け引きが面白い。序盤で28歩の捨て合が入ったのは素晴らしい
- S.Kimuraさん:
- 解けそうになかったので,柿木将棋の解答を鑑賞するにとどめたのですが,私の棋力では,理解するには難しすぎました.4枚の香車の意味も良く分かりませんでした.
例えば15香が金や銀だと、11手目29龍のところで18龍で早いなど、4枚とも早詰防止の駒です。
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