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詰将棋おもちゃ箱くるくるおもちゃ箱

くるくる展示室 No.498 菅野哲郎さん

くるくるおもちゃ箱
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棋譜ファイル(柿木将棋kif形式)

出題時のコメント:
4+12×4+α 60手台

くるくる展示室No.498 菅野哲郎

と金がいっぱいのきれいな初形。 よく見ると貧乏図式というだけでなく飛桂香歩全駒の四色図式になっており、菅野さんの遊び心が伝わってきます。

見ての通り斜め送り趣向が予想される配置です。
「4+12×4+α」の出題コメントからすると、序が4手、1サイクル12手の趣向が4回、そして収束という流れでしょう。

初手は98龍と龍を切るしかなく、もう1枚の龍がでてきたところで舞台は完成です。

  98龍、同玉、58龍、87玉、

龍の斜め送りの場合、99角や11角など角でヒモを付けるのがよくあるパターン。 有名な伊藤看寿の煙詰(図巧99番)もそうでしたね。 本作では角のヒモはなく、79にあると金が龍と一緒に斜めに移動していくことで、龍を支えるようになっています。

  88龍、76玉、77歩、75玉、67桂、同と、76歩、同玉、
  67と、同玉、68と、66玉、

この12手で、右上にひとつ移動させることができました。 それでは、あと3回続けて楽しみましょう。

  77龍、65玉、66歩、64玉、56桂、同と、65歩、同玉、
  56と、同玉、57と、55玉、
  66龍、54玉、55歩、53玉、45桂、同と、54歩、同玉、
  45と、同玉、46と、44玉、
  55龍、43玉、44歩、42玉、34桂、同と、43歩成、同玉、
  34と、同玉、35と、33玉、

ここからは桂やと金の斜めの配置はもうないので、簡略化したサイクルでそのまま収束します。

  44龍、32玉、23と、同玉、24と、22玉、
  33龍、11玉、12歩、同玉、13龍 まで63手

龍とと金での2枚追いをベースにした12サイクルの斜め送り趣向。 駒がどんどん捌けていくので気持ちいいですね。

本作は2014年3月の投稿作品。 菅野さんからはたくさんの作品が投稿されていて、なかなか出題できなかったのですが、 本作の場合、作者は趣向を更に複雑化して、詰パラ2017年8月号大学院で発表しました。

くる展498参考図

それもあって保留にしていましたが、おもしろい趣向なのでくるくるで紹介したいのと、 詰パラ発表図の創作過程がわかるのも良いかと思い、今回出題させていただきました。

棋譜ファイルも置いておきますので、本作を鑑賞したあとにでも、こちらもぜひご鑑賞ください。

「天国への階段」では成銀を捨てて歩打ちで戻す4手が付け加えられ、16手サイクルになっています。 更に99玉の全駒配置から詰め上がりは11玉で4枚の準煙と更に様式美が追及されています。

それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。

蛇塚の坂本さん:
と金と龍が、見事に斜め右上へ綺麗に捌けて攻め駒と金と龍のみの収束スッキリしてスマートな作品だと思う。
山下誠さん:
龍とと金が仲良く鋸を引く。 菅野さんらしい愉快な趣向。
松崎一郎さん:
数式のようなヒントと規則性のある初形から 序盤(4手)、中盤(12手x4サイクル)、終盤(α=11手)と楽しく手が進みました。
小山邦明さん:
手数は長いが、わかりやすい繰り返し手順(桂と香の配置がうまい)で一気に詰ませられました。
川越敏司さん:
貧乏図式から、時計仕掛けのように12手1組の手順を4回繰り返しながら端玉をゆったりと龍追いしていくのが面白い。 最後、玉が1一で詰んでいれば、玉の端から端への移動にもなっていましたね。
おかもとさん:
「大ナダレ」は囲碁だけど、そんな感じの名前をつけたい作品でした。
池田俊哉さん:
12手1サイクルの斜め追いで、サイクルごとに桂と香が消えていくのが楽しい。 詰め上がり図がすっきりキレイなのも解後感を高めている
占魚亭さん:
きれいな捌き。打った歩を突き捨てる味が良いですね。
おしいれの大冒険さん:
楽しい繰り返し手順。
S.Kimuraさん:
詰め上がりはほとんどの駒がなくなって,清々しいです.

くるくる展示室No.498 解答:10名 全員正解

  池田俊哉さん  S.Kimuraさん  おかもとさん  おしいれの大冒険さん
  川越敏司さん  小山邦明さん  占魚亭さん  蛇塚の坂本
  松崎一郎さん  山下誠さん

当選者は、展示室で発表しています。