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詰将棋おもちゃ箱くるくるおもちゃ箱

くるくる展示室 No.478 松下拓矢さん

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棋譜ファイル(柿木将棋kif形式)

出題時のコメント:
「寿」の入門に 50手台

くるくる展示室No.478 松下拓矢

これはひと目、54龍から龍追いの形ですね。 龍追いは江戸時代からポピュラーな趣向で、舞台がシンプルなことからほかの趣向と組み合わせた複合趣向も創作しやすく、 そうした複合趣向として伊藤看寿の将棋図巧第100番「寿」が有名です。 龍追いに持駒変換とはがし趣向を複合した三重の趣向で611手と当時の最長手数を実現した名作です。

その伊藤看寿も最初は本作のような作品から創作して技術を磨いていったのではないかと思われるような龍追いのくるくる作品。 実際に手順を進めてみましょう。

  54龍、35玉、45龍、26玉、36龍、17玉、

26龍は24香がガードをしているので、ここで歩をたたいて局面を打開します。

  18歩、同玉、38龍、17玉、

これによって18龍以下、また龍追いができるようになります。 「寿」でも使われている折り返し手法です。

  18龍、26玉、27龍、35玉、36龍、44玉、45龍、53玉、
  54龍、62玉、63龍、同桂、

最後の63龍は桂で取られてしまいますが、81の飛が控えているので大丈夫。 今度はこっちの飛車を使って更に龍追いを続けます。

  61飛成、53玉、63龍、44玉、54龍、35玉、45龍、26玉、
  36龍、17玉、18歩、同玉、38龍、17玉、

今度も18歩から折り返して、まだ龍追いが続きます。

  18龍、26玉、27龍、35玉、36龍、44玉、45龍、53玉、
  54龍、62玉、63龍、71玉、61龍、82玉、81龍、93玉、

最後は桂でと金を動かして収束します。

  85桂、同と、83龍(83角成) まで55手

龍追いで斜め2往復。 シンプルな舞台で2往復もできていることからわかるように、 他の趣向とも複合しやすいことが作家にとっては魅力で、現在でも龍追い作品は発展しています。 「寿」を未見の方はぜひ一度こちらから並べてご鑑賞ください。

それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。

蛇塚の坂本さん:
6三龍が1往復8一飛の龍が又上下間1往復これは、メデタイ龍の躍動だ。
松崎一郎さん:
盃を傾けながら二枚の龍凧を揚げる。
川石隆志さん:
手数は長いが、今回、No. 474の次に解答時間が短かった作品。
山下誠さん:
2枚目の龍にバトンタッチすることで龍追い2往復をシンプルに表現。
小山邦明さん:
右下の歩を使った龍の折り返しのしくみは大変シンプル。 「壽」の作品手順の方もあらためて見直しました。
S.Kimuraさん:
最後に9筋から逃したかと焦りました.
占魚亭さん:
龍追いの入門にぴったりな作品。
池田俊哉さん:
これはさすがに習作の域か...。 利波氏の古図式趣向詰撰集に載っていてもおかしくない図
inokosatoshiさん:
簡素な形で龍追い趣向を実現。長編作への入門としてぴったりの作品。

くるくる展示室No.478 解答:9名 全員正解

  池田俊哉さん  inokosatoshiさん  S.Kimuraさん  川石隆志さん
  小山邦明さん  占魚亭さん  蛇塚の坂本さん  松崎一郎さん
  山下誠さん

当選者は、展示室で発表しています。