82香成から72歩成、62歩成と三段目の歩を成っていく横送りがまず考えられる初形。
82金から72金、62金と金を寄っていっても1筋まで追うことができます。
成っていく方がと金がたくさんできて有利そうに見えますが、さて、どちらが正解か。
両方試してみましょう。
1) 82香成・・・22歩成、13玉
2) 82金・・・22金、13玉
いずれにしても14歩と飛車を取る一手。
12飛とすれば、後手の持駒は歩しかなく歩合は二歩でできないので25玉と逃げるしかありません。
続いて26香、35玉、15飛成としても25歩で切れ模様。
持駒に香がたくさんあるので、32飛成と飛を縦の王手に使えれば、45玉、46香という感じで横送りの趣向ができそうです。
しかし、1)では32とと22と、2)では22金と33歩が邪魔をして、32飛成とすることはできません。
ここが考えどころですね。
まず、12飛ではなく11飛と打てば22と(金)はあっても大丈夫。
そして、成る・寄るの選択は毎回可能なので、33歩も32とも残さない選択は可能か。
そこに思い至れば、32歩成から22とという、成って寄る手でこれが実現できることに気づくでしょう。 つまり
3) 82金、61玉、72歩成、51玉、62と、41玉・・・32歩成、12玉、22と、13玉
と寄ると成るを交互に繰り返すのが正解でした。
82金、61玉、
72歩成、51玉、62と、41玉、
52歩成、31玉、42と、21玉、
32歩成、12玉、22と、13玉、
これで3筋5筋7筋9筋の二段目、三段目に駒を残さず1筋まで送ることができました。
では予定通り飛車を取って、次の趣向を楽しみましょう。
14歩、同玉、
11飛、25玉、26香、35玉、
31飛成、45玉、46香、55玉、
51龍、65玉、66香、75玉、
71龍、85玉、97桂、84玉、85歩、93玉、
91龍 まで35手
4回目のサイクルがちょっと手順が変っていますが、10五銀を配置できないので仕方ないところ。
初形で一見よくある単純な横送りに見えて、実は次のメインの趣向のため成ってから寄る4手サイクルの趣向だったという、おもしろい趣向詰でした。
作者 「手拍子で歩(香)を全て成っては詰まず、一路おきに空けておくのが面白いと思います。」
それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。
- 山下誠さん:
- 序はと金を量産すればよい、とはいかなかった。
- S.Kimuraさん:
- 龍で王手するために歩の壁に穴を開ける発想が浮かびませんでした.
- 占魚亭さん:
- 打歩詰回避の伏線となっている初手が見事。 流石です。
初手82香成としてしまうと、91龍と回れない以前に84歩が打歩詰で打てないのですね。
- 小山邦明さん:
- 歩は成って寄ってとして、縦方向の風通しを良くするのが、後からの飛車の移動の王手のために必要でした。
- おかもとさん:
- 全部成ってベルト追いかと思ったら、、、なるほどです。
- 池田俊哉さん:
- 後の飛打に備えて奇数筋だけを開けていく。
趣向がすべて伏線チックになっているのが良い。
余計なものを置かない完成形かと
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