39枚の全駒配置と出題コメントでピーンときた方も多いでしょう。 そう、本作はくるくる展示室初の煙詰です。 全駒の煙では、39枚から3枚まで盤面の駒を減らさなければいけないので、くるくるでは難しそう。
本作は、題名から想像されるように、3つの趣向を含む煙詰。 それぞれの趣向で最大限の駒を消去することで、煙詰を実現しました。 それでは手順をみていきましょう。
プロローグ
88角、同龍、同銀、89玉、79飛、88玉、78飛打、87玉、
86金、同玉、89飛、97玉、
88銀と安い駒からいきたくなりますが、それでは同龍、同角、89玉、79飛に98玉と逃げられて失敗。
そこさえ気をつければ、89飛まで一直線。
さあ、最初の趣向の始まりです。
第一幕
96金、同玉、98飛、97歩合、
最初の趣向は金(と金)を捨てながら飛で送ります。
95と、同玉、97飛、96歩合、
94と、同玉、96飛、95歩合、
93と、同玉、95飛、94歩合、
92金、同玉、94飛、81玉、
最後は、93合は歩が品切れなので、91成桂以下、その合駒を取って簡単。
81玉と逃げます。
第二幕
ここからは、二段目に並ぶと金・成香を消していきます。
82歩、同と、同桂成、同玉、84飛左、同と、同飛、71玉、
最初だけは73とが余分についていますが、飛も2枚あるので大丈夫。
するどい方は84同飛に83歩という捨て合があることに気がついたかもしれません。
同飛成なら91玉で打歩詰で逃れようという手。
同桂成以下詰むのですが、かなり大変(棋譜ファイルでご確認ください)。
でも、71玉なら72歩以下次のサイクルに入れることがわかれば、これは変化だろうと読み飛ばせるのがくるくるのいいところ。
では続けて楽しみましょう。
72歩、同と、同成桂、同玉、83飛成、61玉、
62歩、同成香、同成香、同玉、63桂成、51玉、
52香、同成香、同成桂、同玉、53歩成、41玉、
42香、同と、同と、同玉、43歩成、31玉、
32歩、同と、同と、同玉、43龍、21玉、
幕間
駒がどんどん消えて煙詰らしくなってきました。
メインの趣向が終わって、最後の趣向に入る前にちょっと一休み。
12銀不成、同玉、23と、同成銀、13歩成、同成銀、同龍、同玉、
うっかり12銀成とすると、31玉で打歩詰。 これまで活躍した龍もここで退場です。
第三幕
14と、同玉、15歩、同玉、16歩、同玉、17歩、同玉、
最後の趣向は歩連打からの銀歩送りと、おなじみの趣向。
持駒のたくさんの歩がどんどん消えていきます。
26銀打、同と、同銀、16玉、17歩、同金、
25銀、15玉、16歩、同金、
24銀、14玉、15歩、同金、
23銀、13玉、14歩、同金、
22銀、12玉、13歩、同金、
21銀、11玉、12歩、同金、
エピローグ
同銀成、同玉、23金、21(11)玉、22金 まで107手
作者 「易しい全駒趣向煙です。
上段でのはがし送りがメインで、これは黒川一郎氏「落花」と似ていますが、一段竜の手を許すことで銀ではなく歩ではがす構成にしたものです。
その後は銀歩送りの収束に繋がり、前で歩を稼ぐ飛送りを入れて三段趣向煙になりました。
もうひとつのテーマは「易しさ」です。手順の大部分がワンパターン趣向の為、変化を読み飛ばせばあっという間に解けてしまうと思います。
今どきの煙らしくないですが、これはこれで取り柄だと思いますので、ということでくるくる展示室に投稿しました。」
変化・紛れ
初手▲88角・・・▲88銀では△同竜▲同角△89玉▲79飛△98玉で詰みません。
銀の方を残す▲88角が正解で、6手目で△98玉には▲99銀で詰みます。
32手目△81玉・・・合駒をする手は角金銀しか持っていないため、例えば△93角合では▲91成桂△同玉▲93飛成△92合▲82角△81玉▲92竜△同玉▲99飛で詰みます。
40手目△71玉・・・△83歩合の捨合が厄介で▲同竜では△91玉で打歩詰です。
しかしここでは玉方は安い香歩を切らしており、▲同桂成△71玉▲82成桂△61玉▲72成桂寄△51玉▲81飛成以下、
1)△61桂(飛・金)合は▲52成桂△同成香▲61成桂△同と▲63桂(41飛・金)以下。
2)△61角・銀合は▲62成桂寄△41玉▲61竜△51合▲42成香△同と▲52成桂上以下。
いずれも合駒の悪さを突いて詰ますことが出来ます。
48手目△62同成香・・・△71玉は▲63桂不成△同成香▲61歩成△同玉▲63竜で詰みます。
64手目△31玉・・・△51玉は▲52歩△61玉▲62歩△同玉▲63歩△61玉▲81竜以下送って詰みます。
71手目▲12銀不成・・・不成限定で、成では△31玉で打歩詰です。
78手目△13同玉・・・△21玉は▲34と△29金▲22銀△32玉▲43と△41玉▲11竜まで。
趣向の楽しさ満載で、煙詰入門にぴったりのくるくる煙。
煙詰を解いたことがない方も、ぜひ並べてお楽しみください。
それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。
- 本間瑞生さん:
- 取りためた歩をどこで使うのかなと思っていたが、なるほど
- 山下誠さん:
- このような易しい煙詰は嬉しい。
恐らく、くるくる初登場では?
- S.Kimuraさん:
- くるくるで煙詰が出題されるとは思いませんでした.
最初と玉を1・2段目で追うところは難しかったですが,9筋と1筋で追うところはまさにくるくるですね.
- 波多野賢太郎さん:
- 通常だとこの手数は難しいですが、「くるくる」ならと思い解いてみました。
まさに題名の通りで、しかも煙詰、そこまで難しくなく楽しめて良かったです。
- 嵐田保夫さん:
- 内藤九段ではないが当に「ベンハー」を髣髴させる仕上がり。
先ず周回コースに入る序の入りが巧みで、次いで8三歩合を無効にして上手く8四飛を成立させているのは見事。
以下細かい攻めで手順に堅陣を崩して行き、決め手の1三龍以下水の流れが如く綺麗に纏めたのは詰してスッキリ、サッパリの傑作でした。
途中9三歩合でなかなか詰まないと思ったのはご愛敬。
- 小山邦明さん:
- ひょっとして煙詰と思って解き始めたが、わかり易い手順で見事に煙る。
今までの煙詰作品とは違った味わいがあり、歴史に残る作品だと思いました。
- 津久井康雄さん:
- 左辺→上辺→右辺それぞれでくるくるして煙る。
お見事。
- おかもとさん:
- 見事な煙詰。
趣向もいいけど、71手目の12銀生限定もいい感じ。
- マイマイさん:
- ヒントを見て何か予感を感じ挑戦してみました。
自信は無いですが、一応煙になったのでどうでしょうか。
全駒煙が解けたのは人生2度目です。
序盤手こずりましたが、すらすら駒が消えていき最後は楽しい趣向ですね。
またこれからも爽快な作品を楽しみにしております。
- 占魚亭さん:
- 序盤・中盤・終盤、それぞれに趣向手順を織り込んだ煙詰。
素晴らしい作品!
- たくぼんさん:
- これぞ煙詰という手順。一筆書きの様に流れる爽快さに心安らぎます。
Triple Delightとは何ぞやと検索してみたら美味しそうな画像がたくさん出てきます。
ますます謎ですね。
99で始まり11(希望限定ですけど)で終わるのも洒落ていますね
Triple Delightで検索すると、いろいろでてきて楽しいですね。
みなさんも試してみては。
- ぬさん:
- 予想通りの煙詰でした。
- 池田俊哉さん:
- くるくる初の煙詰か。
縦追い-横追い-銀歩送りの三趣向のみで構成されているのが面白く、特に三つの趣向の切り替え機構がすごい。
序は作者の思惑通り角を残して攻めて悩み、33手目84飛上がるとして悩む。
こう言った煙もあって良いと思う
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