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詰将棋おもちゃ箱くるくるおもちゃ箱

くるくる展示室 No.387 山崎健さん

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棋譜ファイル(柿木将棋kif形式)

出題時のコメント:
歩を取りに行く 160手台

くるくる展示室No.387 山崎健

2枚の馬が斜めに追う趣向を予感させる配置。 でも、「歩を取りに行く」の意味は? 斜めに並んだ歩は取れそうにありません。

実はこれ、18歩のことなんです。 この形で18歩を取りに行くということは・・・ そう、47の龍が38、37、28、17、18と龍ノコで取りに行けそうですね。 38龍とするためには、玉を8段目に移動させなければなりません。 なんとなく構想が見えたところで、手順を進めて行きましょう。

初手は75馬の一手。 これに対し、77玉か55玉の二択。 77玉としてくれれば、86馬左、88玉で38龍が実現します。 受方の持駒は歩しかなく、歩合は二歩でできないので、58とと移動合しますが、 あれ、66馬で簡単に詰んでしまいますね (98玉なら87銀、同桂成、同馬まで、79玉なら68馬、同と、同龍まで)。

この対角線に馬を引く筋を避けるには、馬を31まで移動させるしかありません。 22馬なら同銀と取れますね。 ということで、軽快な馬追い趣向が始まります。

  75馬、55玉、64馬、44玉、53馬、33玉、42馬、22玉、
  31馬、33玉、

折り返したら、今度は右の馬で追い戻します。 途中で戻る変化はいずれも2枚馬の連携で5手か7手で詰みます。

  42馬左、同玉、53馬、55玉、64馬、66玉、75馬、77玉、
  86馬、88玉、

やっと待望の38龍が実現します。

  38龍、58と、

97馬、77玉で37龍と急ぐと57銀不成とされて身動きが取れなくなります。 この変化を詰ますには、馬を75に据えることが必要、というわけで、またまた馬追いで1往復。

  97馬、77玉、
  馬往復手順 「86馬右、66玉、75馬・・・33玉、42馬左・・・77玉、」

この77玉型から馬追いで往復して再び77玉まで戻ってくる手順を「馬往復手順」と呼びましょう。

こうしてから27龍とすれば、57銀には同龍と切って簡単。 57との一手です。

  37龍、57と、

86馬、88玉(66玉は75馬右、55玉、64馬以下)、となれば、続けて28龍とできますね。

  86馬、88玉、28龍、58と、

18歩までもう一歩です。

  97馬、77玉、「馬往復手順」
  17龍、57と、86馬、88玉、18龍、58と、

ついに歩を取ることができました。 この歩は67歩、同銀と銀を動かすために使うのですが、そのあと36龍と王手したいので、また38龍型に戻すことが必要になります。

  97馬、77玉、「馬往復手順」
  17龍、57と、86馬、88玉、28龍、58と、
  97馬、77玉、「馬往復手順」
  37龍、57と、86馬、88玉、38龍、58と、

龍を38に据えることができたので、67歩から36龍を目指して進めていきましょう。

  97馬、77玉、86馬右、66玉、67歩、同銀不成、36龍、56銀成、

67歩を同銀不成と取るのが大事なところ。 これにより56銀成(不成も可)の移動合が可能になります。
以下、67桂で龍筋を通せば、6段目に戻れなくなるので、馬追いで収束します。

  75馬、55玉、67桂、同成銀、
  64馬、44玉、53馬、33玉、42馬、22玉、31馬、33玉、
  42馬左、44玉、53馬、55玉、64馬、44玉、
  53馬右、33玉、55馬、32玉、31金 まで165手

二枚馬追い×龍ノコをシンプルに実現した好作。 以前、坂東仁市さんに二枚飛追い×馬ノコの作品(坂東仁市 311手) がありましたが、その双対のような作品ですね。

作者 「二馬追いに龍ノコをかけたものです。 139手目の歩打ちは、もう一度馬を上に回した状態でも成立してしまいますが、この簡易な収束を維持したまま修正するのは難しいので、 キズということでご容赦いただけないでしょうか。 なお、龍ノコを7段目に振るタイミングは、馬が75に居るときに限定されています。」

それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。

山下誠さん:
二枚馬で対角線上を素朴に追いながらの龍鋸。 1歩取ってすぐに6七歩からの収束もシンプルでよい。
S.Kimuraさん:
くるくるにしては,ちょっと難しかった気がしました.
馬を往復させるのも一苦労でした.

常に戻る変化があるので、きちんと読むと煩わしいかも。 くるくるではほとんどワナはないので、変化とばしして作意らしい順を見つけるのも一法です。

米澤歩登さん:
長手数ですがくるくるは簡単ですね。
津久井康雄さん:
一歩手に入れるまでは好調だが、その歩を使う場所とタイミングにしばし悩む。
馬の行き来で手数を数え間違えてるかもしれません・・・

大丈夫。 正解です。

占魚亭さん:
2枚馬+竜の見事なコンビネーション。
小山邦明さん:
馬追いと龍ノコのミックス手順がすばらしい。 銀の成/不成は142手目だけが非限定?

はい、そうです。

おかもとさん:
2枚馬追い+龍ノコ。 これはややこしい。 頭の中が「くるくる」ならぬ「ぐるぐる」です。
池田俊哉さん:
二枚馬追い+複式龍鋸。 馬追いを途中で折り返させない工夫がうまい
収束へのキーは逆に途中で折り返して幕、というシンプルさもくるくるらしい

くるくる展示室No.387 解答:8名 全員正解

  池田俊哉さん  S.Kimuraさん  おかもとさん  小山邦明さん
  占魚亭さん  津久井康雄さん  山下誠さん  米澤歩登さん

当選者は、展示室で発表しています。