山口成夫さん、おもちゃ箱では初登場ですが、古くから活躍されているベテラン。
楽しい詰将棋の世界で代表的な作品を見ることができます。
最近では詰将棋より詰中将棋の作家として有名かもしれません。
楽しい詰中将棋の世界で数々のユニークな作品を発表しています。
「最近普通の詰将棋が何故か作りたくなりまして」ということで本作を投稿いただきました。
作者「四金追戻詰。 初形、持ち駒が金四枚。
それらを全て打って、1枚ずつ消去していく趣向。
変化紛れは殆どない。
危ない筋としては15手目6八金とする紛れ。
取ると作意に戻るので、4七玉とかわすが、以下5八金 同玉 4九竜 6七玉 7八金 5七玉 6八金 同玉 5九竜 7七玉 8八金 6七玉 7八金 同玉 6九竜 7七玉 で不詰。」
往路で4枚の桂を打っていき、復路でそれを全部消してしまう「四桂追戻詰」は図巧第64番(詰将棋博物館)など江戸時代から作られています。
本作は桂ならぬ金4枚を使う「四金追戻詰」を狙ったもの。
まずは4枚の金を打っていきます。
98金、89玉、88金打、79玉、78金打、69玉、68金打、59玉、
続いて48銀と捨てて龍の活用を図ります。
48銀、同玉、39龍、47玉、
打歩詰で困ったかに見えますが、58金捨てが好手。
ここから金を捨てながら龍で追い詰める復路の趣向が始まります。
58金、同玉、49龍、57玉、
68金、同玉、59龍、67玉、
78金、同玉、69龍、77玉、
88金、同玉、79龍、97玉、
見事、最初に打った4枚の金がすべて消えました。
98歩、同玉、99龍 まで31手
最後も趣向の延長のようなパターンでそのまま収束するのがいい感じですね。
くるくるらしく、繋ぎの手も最小限に、「四金追戻詰」を実現。
打った金が全部消えるのが気持ちよく、解答者にも好評でした。
作者「作ってみて、類作が気になって調べたら、七條兼三氏の将棋墨酔拾遺集46番が類似していました。
但し、それは序盤金を打つのではなくと金を引く構成になっております。
易しい作品ほど、類作に遭遇しやすいものですね。」
七條兼三氏の将棋墨酔拾遺集第46番は右図。
(近代将棋1984年3月発表時は墨江酔人名義)
前半が金打ではなくと金引きなので、「四金追戻詰」とはいえませんが、趣向はほぼ同様。
飛香歩だけのシンプルな初形から詰上りわずか4枚になるところ、さすがの構成力です。
棋譜ファイルを載せておきますので、あわせてご鑑賞ください。
くるくる展示室No.325参考図 墨江酔人 棋譜ファイル
それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。
- 小山邦明さん:
- 打った金を打歩詰防止のため全部捨てるという高級なアイデアでした。
- 蛇塚の坂本さん:
- 打って行った金が、綺麗に消えて行くのが気持ち良い。
- 占魚亭さん:
- 58金からの金の消去手順がいいですね。
- 市橋宗士さん:
- 「打ち歩」模様のところで、はたっと手が止まってしまいましたが、ヒントを見て先が見えてきました。
盤に並べ直して確認しましたが、やはり詰んでいる、間違いない。
ベタっベタっと打った金が横へスライドしながら消えていく、いつもながらこの展示室では、マジックを見ている感じです。
また、歩と「と」の配置だけで余詰め防止なんて。
例えば、中央の3枚の「と」は、歩だと隅の飛が出てきちゃうんですね、いや、良くできています。
紛れをすべて読み切れているか自信はありませんので、来月の解説にて確認させて頂きます。
作者の言葉にもあるように危ない筋もあって、余詰防ぎに苦労したことが配置からもうかがえます。
でも、解答者は苦労する必要はないので、作意らしい順が見えたら紛れは気にしなくてもいいような。
- 山下誠さん:
- 律儀に横這いを続ける龍の動きがユーモラスで楽しめました。
- 長谷繁蔵さん:
- 金に9筋で消えると思った。
- 隅の老人Bさん:
- 連打した4金が次々と消えて行く。
題して「よどみに浮ぶうたかた」、これでどうでしょう?
これは風流な題名ですね。
- 波多野賢太郎さん:
- 四連打した金がすべて消えていくのはやはり気持ちよいです。
手数こそ31手ですが、易しく楽しくて良かったです。
- ハマGさん:
- 結局、銀香が邪魔。
銀香がなければ39龍であっという間。
- 池田俊哉さん:
- 四金を打って舞台を作りそれを消して幕、と言う構成はシンプルではあるが、基本として楽しい
- 金少桂さん:
- 前半の趣向で打った金が後半の趣向で綺麗に消えるのは予想通りでもやはり気持ちが良い。
- S.Kimuraさん:
- 往路で打った金4枚が,復路で綺麗に消えて爽快ですね.
- 攻めダルマンさん:
- 易しくてリズムよくてまさにくるくる。
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