「飛をどかすには」という出題コメント、どういう意味でしょうか。 75の飛がなかったら31香成から35龍と成銀を取る筋がありそうですね。 ということは、飛は縦にどかすことになりますが、そのためには玉を6筋に呼んでくる必要がありそうです。
持駒に桂があるので、53桂、52玉、61桂成、同玉とかなれば、玉を6筋に呼べそうです。
受方も抵抗して53桂には42玉と逃げますが、もう1枚54桂と打てば予定通り6筋への移動に成功します。
53桂、42玉、54桂、52玉、62桂成、同玉、61桂成、同玉、
飛を動かすには73桂と捨てる手が考えられますが、あとのことを考えて桂は温存したいところ。
そう、桂を使わなくても71歩成とすれば、同玉は75龍があるので同飛の一手、飛をどかすことに成功しました。
71歩成、同飛、
さて、飛をどかしたところで、35龍と行くためには、また玉を41に戻さなければいけません。
ここはさっき学習済の手順がありますね。
53桂、62玉、54桂、52玉、42桂成、同玉、41桂成、同玉、
こうなれば、31香成から35龍とめでたく成銀が取れます。 32合は22銀で詰みそうですが、21玉とかわされたら? ここで決め手の31龍捨てが登場、以下はおなじみの収束になります。
31香成、同玉、35龍、21玉、31龍、同玉、22銀、41玉、
42歩、同玉、33と、41玉、31銀成、同玉、22歩成、41玉、
32と まで35手
香の利きをまたいで桂で玉を移動させる趣向は「またぎ捨て」と呼ばれていて、くるくる展示室でもNo.50(老花現象さん)などいくつか出題しています。
普通は桂1枚で移動させるのですが、桂2枚使って移動させるようにしたのが本作の工夫。
桂は4枚しかないので2回しか繰り返せないのが残念ですが、それを41−61の往復で飛を移動させるというパズル仕立てにしたおもしろい作品でした。
作者 「2枚の桂馬を連打した後に連成り捨てで玉を2筋動かす。
これをもう一度逆方向に行い、玉を初期位置に戻し収束に入る。
収束は私が見つけた短いものの中から、さばけるものを選んだ。」
ただ、本作、くるくるらしからぬという評も。 繰り返しが2回だけ、収束がちょっと長いことに加えて、2回の53桂に52玉の変化(棋譜ファイル参照)が中合があったりして、きちんと読むと大変なことが原因でしょうか。
「詰パラ読者の半分以上が暗算で解ける」というくるくるの目標水準からすれば、ちょっと難しかったかもしれません。
それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。
- 山下誠さん:
- 桂馬を4枚使って飛車を7一へ原形移動?する。ここが素晴らしいです。
- 蛇塚の坂本さん:
- 桂2枚のコンビが玉を左へ右へと翻弄する所が面白い。
42成銀まで33手の解。 収束で間違えたのかな。 惜しい。
- 占魚亭さん:
- 桂使いがとても上手い。
- 波多野賢太郎さん:
- 桂馬の使い方が巧みで、連打して成捨てるのがリズム感があって心地よかったです。最後は龍捨ても入り着地も決まって良かったです。
- 小山邦明さん:
- 35成銀配置が質駒に見えるので、飛の移動を考えて解きました。
- Pathfinderさん:
- 桂二枚を打って捨てることで凹の字に玉が動く。行き帰りの桂の打ち場所と玉の軌跡が同じところが上手いと思いました。
- 渡辺さん:
- くるくるでない難度。くり返しもない本問がくるくるに入っているのは疑問。18手使い飛をどかした初形を作る。その後の17手も手なりですが龍の横利きを通すという目的を持って解かないと手なりでは解けない。
61に移動して、また同様の手順で41に移動するのが繰り返しという解釈です。
難易度はちょっと反省点ですね。
- S.Kimuraさん:
- 2手目に,玉をどちらに逃げるか悩みましたが,くるくるなので,桂馬を多く使わせるように真っ直ぐ逃げてみたら,それが正解でした.
- 長谷繁蔵さん:
- 35龍で旨く捌ける。
- 金少桂さん:
- 香のラインを反復横飛び。なんでもないような手順でも2回繰り返すと趣向手順に見えてくる。
- 隅の老人Bさん:
- これがくるくる? 2手目の応手が難しい。
易しく、楽しく、これがくるくる。
作意らしい順が見つかったら変化とばしという手もあるかも。 とはいえ、やはりくるくるでは変化は簡明な方がいいですね。
- 池田俊哉さん:
- 二桂連打連捨で5筋をまたがせて75飛を移動させ、再度二桂連打連捨てで元に戻す。初形と18手目の対比が良い
- 攻めダルマンさん:
- 桂馬2枚捨てるのをもう1回やるのがいいね。
- 嵐田保夫さん:
- 手なりで詰む解りやすさがくるくる展示室の持ち味か。
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