菅野哲郎さんの「鞍馬」（詰パラ２０１０年５月）は、持駒なしの京都府（香と歩）全駒図式から馬ノコが飛び出すユニークな作品でした。
本作の「鞍馬II」という名前は、使用駒の趣向ではなく、なんと
作者「「香、と、歩」の合駒が入る馬ノコ」
という、１サイクルに京都府の合駒がはいる馬ノコです。
合駒が３種類も入ると複雑そうですが、受方持駒が香しかなく、ほかの合駒の余地はないので大丈夫。
実際に手順を進めてみましょう。
９３（９４）香、９２香合、同香成、同玉、
玉を９２に吊り上げて、さっそく馬ノコが始まります。
９４香、９３香合、７４馬、９１玉、９２歩、同と、６４馬、８２と、
９３香不成、９２歩合、同香成、同玉、
これで１サイクル。 確かに香、と、歩の合駒が順に登場しますね。 では、この京都府手順を繰り返して、２８の歩を取ってきましょう。
９４香、９３香合、６５馬、９１玉、９２歩、同と、５５馬、８２と、
９３香不成、９２歩合、同香成、同玉、
９４香、９３香合、５６馬、９１玉、９２歩、同と、４６馬、８２と、
９３香不成、９２歩合、同香成、同玉、
９４香、９３香合、４７馬、９１玉、９２歩、同と、３７馬、８２と、
９３香不成、９２歩合、同香成、同玉、
９４香、９３香合、３８馬、９１玉、９２歩、同と、２８馬、８２と、
９３香不成、９２歩合、同香成、同玉、
９４香、９３香合、３８馬、９１玉、９２歩、同と、３７馬、８２と、
９３香不成、９２歩合、同香成、同玉、
９４香、９３香合、４７馬、９１玉、９２歩、同と、４６馬、８２と、
９３香不成、９２歩合、同香成、同玉、
９４香、９３香合、５６馬、９１玉、９２歩、同と、５５馬、８２と、
９３香不成、９２歩合、同香成、同玉、
９４香、９３香合、６５馬、９１玉、９２歩、同と、６４馬、８２と、
９３香不成、９２歩合、同香成、同玉、
２８歩を取って、馬が６４まで戻ってきました。 歩が入手できたので、収束に入れます。
９４香、９３香合、７４馬、９１玉、９３香不成、同と、８１と、同玉、
７１歩成、同玉、７３香、６１玉、６２歩、５１玉、５２歩、４２玉、
７５馬、５２玉、５３馬、５１玉、６１歩成、同玉、７１馬、５１玉、
５２歩、同玉、５３と、５１玉、６２馬 まで１４１手
ほぼ一本道の収束ですが、かなり長いので暗算では厳しい。 盤駒を使ってじっくり解きましょう。
７５馬で歩を稼ぐのが重要なところで、暗算だとうっかりしがち。
角香歩の使用駒だけで１４１手もの楽しい手順を創りだしたのはすばらしいですね。
記録に挑戦！の項目にはありませんが、おそらくこの条件の長手数記録作です。
それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。
- 小山邦明さん：
- 28歩と手数から馬ノコと予想して、そのメカニズムを考えましたが、実にうまくできている事に感心しました。
- 山下誠さん：
- まるで鏡に写したようにきれいに折り返す、一味違う馬鋸。
- 占魚亭さん：
- 二歩欲しい。玉座で詰むとは。
- 永島勝利さん：
- 軽めの収束付きの馬鋸。お正月向きの出題ですね。
＊これは一種のフェアリーですか、それとも普通棋なのでしょうか？
おもちゃ箱では普通の詰将棋として扱っていますが、初めての人も混乱しないように出題コメントで明記するようにしています。
- ぬさん：
- この枚数で12手1サイクルの往復馬鋸とは、よくできてますね。
- 隅の老人Ｂさん：
- 「花咲かば告げんといひし山里の、使いは来たり馬に鞍。」
何となく、こんな文句を謡いたい作品です。
巧妙な趣向で馬を1段1段と動かしますね。
収束、75歩を取るのに気付かず、苦戦しました。
- S.Kimuraさん：
- 馬鋸は想像できましたが，その手順を自力で見付けることはできませんでした．
- 竹中健一さん：
- こういう趣向(持駒制限)も面白いですね！
- 池田俊哉さん：
- と金移動用の歩を入手するために香打香合が必要となる複式馬鋸
12手目と108手目の局面を比べると面白い
香と歩で馬なんで鞍馬、でしたね
- キリギリスさん：
- 収束で不足する一歩が28に落ちていた。
- 嵐田保夫さん：
- ２八歩の配置から馬鋸の筋なのは明白だが、切り札の８一とに入るタイミングが難しく収束に梃子摺った。
- やまかんさん：
- うまい仕組みですね。
- 広瀬稔さん：
- 今回の作品の中で一番面白いと思いました。
１サイクルで持ち駒が不変になっている点等、うまく出来ているなと感じました。
- 西野かなさん：
- ・・・ 74馬、91玉、92歩、同と、73馬、82と、93香生、92歩合、同香、同玉、以下分かりません。
惜しい。ちょっと近寄りすぎました。
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