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くるくる展示室 No.216 菅野哲郎さん「SAND CASTLE」
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棋譜ファイル(柿木将棋kif形式)

出題時のコメント:
波で崩れる砂の城 50手台

くるくる展示室No.216 菅野哲郎

詰パラで同人作家間近の菅野さん、展示室でも最も投稿作品の多い作家です。 本作は中央の塔を中心に左右に張り出したお城の形。 はたしてどんな手順が飛び出すのでしょうか。

いきなり64とと金を取るのは広すぎてダメ。 まずは52とですが、52と右、43玉、42銀成は33玉で切れ筋、52金左が正解です。

  52と左、63玉、62銀成、74玉、

こうしてから64ととすれば、同玉に63金として続きそうです(64とに83玉は93金、84玉、95とまで)。

  64と、同玉、63金、74玉、

74玉と手数稼ぎ。 73桂成で危なそうですが、84玉、95と、93玉で逃れています。

  73金、64玉、63成銀、54玉、53と、44玉、43と引、35玉、

最初2段目にできたと金と成銀の天井が3段目に下がって来ました。 ここまで来ると趣向が少し見えて来ますね。 続けて楽しみましょう。

  45と、同玉、44金、35玉、
  34金、45玉、44と、55玉、54と引、65玉、64成銀、76玉、
  66と、同玉、65金、76玉、
  75金、66玉、65成銀、56玉、55と、46玉、45と引、37玉、
  47と、同玉、46金、37玉、
  36金、47玉、46と、57玉、56と引、67玉、66成銀、78玉、

天井は6段目まで下がり、ついに入玉してしまいました。

  69と、89玉、79と、99玉、89と まで57手

最後は9段目のと金追いで雪隠詰。

金鎖手順は趣向詰では良く使われますが、普通は同じ段で動くだけです。 複数の段で金鎖手順を行う作品としては、鮎川まどかさんに3段目、4段目、5段目と3つの段にわたって金鎖手順を行う作品(詰パラ1993年8月大学院、早詰あり)があります。 しかし本作のように2段目から6段目まで5つもの段にわたって金鎖手順を行うのは初めて。 砂の城が何回も波にさらわれて、中央の塔がすっかり崩れてしまいました。 第1回看寿賞に輝いた北村研一さんの「槍襖」全日本詰将棋連盟より)を上下逆にしたようなユニークな作品です。

作者:
易しいですが、「後方から小駒で王手をかけ、自陣側に玉を追い落とす」という趣向手順はちょっと珍しいと思います。

金鎖手順ではありませんが、橋本孝治さんに銀4枚と大駒の連携で銀を4段目から8段目まで動かす作品があります。 これもとてもおもしろい手順なので、よければご鑑賞ください(橋本孝治 普通詰将棋作品集 第1番)。

それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。

やまかんさん:
このような手順は何となく妄想したことがあるが不可能だと思って作図しようとは思わなかった。すごいです。
凡骨生さん:
砂丘の城ですか、ピッタリの命名ですね。
三輪勝昭さん:
金を打った時に一旦玉が戻る。
当然そちらが作意と思っても、そうすると金類が詰方に有利な位置に行く。単に逃げても同じように詰む事を暗算で確認するのは大変でした。
巧く出来ていますね。
長谷繁蔵さん:
意外な所で詰む
長谷川琴さん:
何時もながらに、良く出来ています。
きたさん:
徹底した尻金。
S.Kimuraさん:
54手目は88玉でも89玉でもどちらでも良い?

どちらでもかまいません。

池田俊哉さん:
横「槍衾」のように右往左往する玉。初形がクリスマスツリーのようにも見えるので来月でもよかったかも?

確かに、金と桂で飾られて頭に銀の星、ツリーにも見えますね。

隅の老人Bさん:
右往左往、こんな4字熟語がありました。
貧乏爺さん、こんな作品には身に詰まされる。
キリギリスさん:
題名(とヒント)が非常に良く作品を表していると思います。
名城健太郎さん:
下がる知恵の輪。
小林巧さん:
二枚の金の残り方が気になった。
菅野氏の名前からすると、物足りない感は否めない。今回は残念ながら、官能しませんでした。
占魚亭さん:
叙情的な作品。

くるくる展示室No.216 解答:13名 全員正解

  池田俊哉さん  S.Kimuraさん  きたさん  キリギリスさん  小林巧さん
  隅の老人Bさん  占魚亭さん  長谷川琴さん  長谷繁蔵さん  凡骨生さん
  三輪勝昭さん  名城健太郎さん  やまかんさん

当選者は、展示室で発表しています。