ぱっと見て香の連捨て趣向に見える初形。 実際、その通りなのですが、それだけではありません。
初手64角成に84玉と逃げるのは85銀、同玉、75馬まで。 72玉と下がります。
83と、同玉となれば、香を連捨てできてうれしいけど、83とに同龍でアウト。
ほかに手もなさそうですが・・・ ここがじつは本作の最大の山場。
そっと54馬と寄るのがさりげない妙手。 63歩と合駒されて全然詰まないように見えるので指しにくい手です。
ところが、同馬と切って69龍と回ると・・・ 何と、どこに逃げても簡単に詰んでしまうんです。
といって、71玉では53馬、72玉、62馬の3手詰。 54馬には73玉と戻るしかありません。
また64馬では72玉で千日手コース。 ここはちょっと飛躍した発想が求められます。
69龍以下の変化では1歩必要。 逆に持駒に1歩あれば、54馬ではなく63馬、同玉、69龍として詰むわけです。
この形で歩を入手するには・・・ 18歩が怪しい・・・ そうだ馬ノコだ!
64角成、72玉、54馬、73玉、55馬、72玉、45馬、73玉、
46馬、72玉、36馬、73玉、37馬、72玉、27馬、73玉、
28馬に72玉と逃げてくれれば予定通り18馬で歩が入手できるのですが、ここで意地悪く84玉!
それなら83とで香が連捨てできると思うと、83とには74玉。 これには64馬と戻るしかありません。
28馬、84玉、83と、74玉、64馬、83玉、93歩成、72玉、
しかし、93歩成として、ようやく1枚消去することに成功しました。
よく見ると、94歩が消えただけで、あとは2手目と全く同じ局面です。
ということは、この手順を繰り返せば、9筋の香を連捨てできる!
54馬、73玉、55馬 ・・・ 28馬、84玉、83と、74玉、64馬、83玉、93香成、72玉、
54馬、73玉、55馬 ・・・ 28馬、84玉、83成香、74玉、64馬、83玉、93香成、72玉、
54馬、73玉、55馬 ・・・ 28馬、84玉、83成香、74玉、64馬、83玉、93香成、72玉、
54馬、73玉、55馬 ・・・ 28馬、84玉、83成香、74玉、64馬、83玉、93香成、72玉、
54馬、73玉、55馬 ・・・ 28馬、72玉、
龍筋が通ると、28馬に84玉では、75銀、同龍、94龍まで。 やむを得ず72玉ですが、これで待望の18歩入手が実現します。
18馬、73玉、28馬、72玉 ・・・ 54馬、73玉、64馬、72玉、
63馬、同玉、69龍、52玉、53歩、同玉、64龍、52玉、44桂 まで157手
1歩入手できたので、再び馬ノコで64馬まで戻れば、最初に考えた63馬が成立して、大団円です。
香の連捨ての1サイクルごとに馬ノコが入ることにより、150手を超える大長編になりました。
- 作者:
- 詰パラ2009年7月発表の自作の趣向部分を抽出したものです。 使用駒をできるだけ少なくする方針で作りました。
最近になって、「3段馬ノコ×香連捨て」や「往復馬ノコ×香連捨て」に発展できないかやってみましたが、結局実現できませんでした。どなたかが発表されることを期待します。
最後に、193手の原図の作図にあたり、高橋農園の掲示板の高橋恭嗣さんの感想や名無しさん(後に近藤真一さんと判明しました) の改良案が大変参考になりました。この場を借りてお礼申し上げます。
原図は作者の詰パラ初入選作品。オールAの満点というすばらしい評価を得た作品です。 こちらもあわせてご鑑賞ください。
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