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詰将棋おもちゃ箱くるくるおもちゃ箱
くるくる展示室 No.135 吉田京平さん
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出題時のコメント:

1歩取るのもおおしごと。150手台


ぱっと見て香の連捨て趣向に見える初形。 実際、その通りなのですが、それだけではありません。

初手64角成に84玉と逃げるのは85銀、同玉、75馬まで。 72玉と下がります。
83と、同玉となれば、香を連捨てできてうれしいけど、83とに同龍でアウト。
ほかに手もなさそうですが・・・ ここがじつは本作の最大の山場。
そっと54馬と寄るのがさりげない妙手。 63歩と合駒されて全然詰まないように見えるので指しにくい手です。
ところが、同馬と切って69龍と回ると・・・ 何と、どこに逃げても簡単に詰んでしまうんです。
といって、71玉では53馬、72玉、62馬の3手詰。 54馬には73玉と戻るしかありません。
また64馬では72玉で千日手コース。 ここはちょっと飛躍した発想が求められます。
69龍以下の変化では1歩必要。 逆に持駒に1歩あれば、54馬ではなく63馬、同玉、69龍として詰むわけです。
この形で歩を入手するには・・・ 18歩が怪しい・・・ そうだ馬ノコだ!

  64角成、72玉、54馬、73玉、55馬、72玉、45馬、73玉、
  46馬、72玉、36馬、73玉、37馬、72玉、27馬、73玉、

28馬に72玉と逃げてくれれば予定通り18馬で歩が入手できるのですが、ここで意地悪く84玉!
それなら83とで香が連捨てできると思うと、83とには74玉。 これには64馬と戻るしかありません。

  28馬、84玉、83と、74玉、64馬、83玉、93歩成、72玉、

しかし、93歩成として、ようやく1枚消去することに成功しました。
よく見ると、94歩が消えただけで、あとは2手目と全く同じ局面です。
ということは、この手順を繰り返せば、9筋の香を連捨てできる!

  54馬、73玉、55馬 ・・・ 28馬、84玉、83と、74玉、64馬、83玉、93香成、72玉、
  54馬、73玉、55馬 ・・・ 28馬、84玉、83成香、74玉、64馬、83玉、93香成、72玉、
  54馬、73玉、55馬 ・・・ 28馬、84玉、83成香、74玉、64馬、83玉、93香成、72玉、
  54馬、73玉、55馬 ・・・ 28馬、84玉、83成香、74玉、64馬、83玉、93香成、72玉、
  54馬、73玉、55馬 ・・・ 28馬、72玉

龍筋が通ると、28馬に84玉では、75銀、同龍、94龍まで。 やむを得ず72玉ですが、これで待望の18歩入手が実現します。

  18馬、73玉、28馬、72玉 ・・・ 54馬、73玉、64馬、72玉、
  63馬、同玉、69龍、52玉、53歩、同玉、64龍、52玉、44桂 まで157手

1歩入手できたので、再び馬ノコで64馬まで戻れば、最初に考えた63馬が成立して、大団円です。
香の連捨ての1サイクルごとに馬ノコが入ることにより、150手を超える大長編になりました。

作者:
詰パラ2009年7月発表の自作の趣向部分を抽出したものです。 使用駒をできるだけ少なくする方針で作りました。
最近になって、「3段馬ノコ×香連捨て」や「往復馬ノコ×香連捨て」に発展できないかやってみましたが、結局実現できませんでした。どなたかが発表されることを期待します。
最後に、193手の原図の作図にあたり、高橋農園の掲示板の高橋恭嗣さんの感想や名無しさん(後に近藤真一さんと判明しました) の改良案が大変参考になりました。この場を借りてお礼申し上げます。

原図は作者の詰パラ初入選作品。オールAの満点というすばらしい評価を得た作品です。 こちらもあわせてご鑑賞ください。

それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。

凡骨生さん:
今や馬鋸も、くるくるですかねー。
長谷繁蔵さん:
18歩にあと1歩と歩み寄ったら74玉と逃げるとは・・・イジワル
28馬に84玉でなく74玉でも、64馬、84玉、83と、同玉、93歩成、72玉となれば同じですが、74玉には64馬、84玉、85銀、同玉、75馬まで。 ここの逃げ方は限定されています。
w masakiさん:
歩を取ろうとした時に玉がひょっこっと飛び出すところが面白いです
やまかんさん:
玉方の最善の頑張りという印象。
中澤照夫さん:
と金と成香の連捨てと馬鋸の組み合わせ。
極めてシンプルな舞台でこの趣向が成立しているのは驚き。
池田俊哉さん:
連捨て+馬鋸の巧妙な趣向作。最後の馬鋸が往復となったことと、99龍が活用できて完成品となりました
上田大輔さん:
6四の地点からじぐざぐじぐざぐ2八まで行き、びょーんと飛んで6四まで戻ってくる馬と、一歩を得ると飛ぶことなく少しずつ玉との距離をつめていく馬、そのふたつの姿がよかったです。
隅の老人Bさん:
竜は横にも動けます。ハイ、そうでした。
馬鋸+邪魔駒消去=上手。
はやしさん:
はじめは歩を取る意味が分からなかった。
嵐田保夫さん:
8四玉のタイミングの取り方が一苦労で手数ヒントに大いに助けられた(苦笑)。それにしても馬鋸と登竜の見事なコラボレーションを成立させる絶妙な配置。
S.Kimuraさん:
折角18歩の隣まで来たのに,何度も呼び戻されてしまう可哀想な馬

くるくる展示室No.135 解答:12名 全員正解

  嵐田保夫さん  池田俊哉さん  上田大輔さん  S.Kimuraさん  螽斯さん
  隅の老人Bさん  w masakiさん  中澤照夫さん  長谷繁蔵さん  はやしさん
  凡骨生さん  やまかんさん

当選者は、展示室で発表しています。