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詰将棋おもちゃ箱くるくるおもちゃ箱
くるくる展示室 No.115 菅野哲郎さん
くるくるおもちゃ箱
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出題時のコメント:

とどめは桂馬。30手台


詰将棋パラダイス誌などでも活躍されている菅野さん。 現在、Problem Paradiseの若島さんを中心に菅野さんの詰将棋作品集の製作が進められています(詳しくは菅野哲郎作品集「箱庭」製作中をごらんください)。 完成が楽しみですね。
その菅野さんからたくさんの趣向詰がおもちゃ箱に投稿されました。 本作はその第1弾。 順次出題していきますので、こちらもお楽しみに。

本作はズバリ、馬ノコ(馬鋸、馬が鋸型に接近したり遠ざかったりする趣向)です。
馬ノコについては、くるくるおもちゃ箱でも第7章で取り上げる予定(近日連載開始)ですが、くるくる展示室では、くるくる展示室No.8(猫田いわしさん)の三段馬ノコなど、馬ノコのバリエーションが既に登場していますね。

馬ノコ作品を見たことがない方は、まず、本作で後手47歩を置いた図を考えてみましょう。
27に逃げられてはダメそうなので、初手は81角成。 46玉に45馬は18角が利いているので失敗。82馬と引きます。
36玉に72馬と寄って、また46玉。 何も変わってないようですが、81馬が72に移動しています。
この手順を繰り返して81の馬を72、63、54、45と近づけていけば46玉ができなくなって詰み。 持駒の金4枚を使わずに詰んでしまいました。
これが馬ノコの基本形。 馬の動きが鋸の歯に似ているので、馬ノコと呼ばれるわけです。

本作では玉が47に行けるので、ひと工夫必要になります。 それは47玉の時46に呼び寄せる46金の捨駒。
馬が一つ近づくごとに毎回46金捨てがはいります。

  81角成、47玉、46金、同玉、82馬、36玉、
  72馬、47玉、46金、同玉、73馬、36玉、
  63馬、47玉、46金、同玉、64馬、36玉、
  54馬、47玉、46金、同玉、55馬、36玉、

金はなくなってしまいましたが、近づいた効果で56桂が取れるようになったので、これで「とどめは桂」の収束が実現します。

  45馬、47玉、56馬、36玉、45馬、47玉、59桂 まで31手

基本形の馬ノコは玉は2つのマスを行ったり来たりするだけですが、本作は3つのマスを移動します。
3マス移動の馬ノコの第1号は九代大橋宗桂の舞玉77番。 その後もいろいろ作られていますが、ほとんどは玉の移動に歩打ちを使うもので、金打ちで移動させるのは本作が初めてです。
持駒金4枚は余詰の危険性が大きいところ、双玉で逆王手の逃れを入れることで、比較的すっきりした形でまとめました。

それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。

中澤照夫さん:
シンプルな近づくための馬鋸。
凡骨生さん:
馬鋸や龍鋸はくるくるの源なんだ。
渡辺さん:
金を消費しながらの馬鋸で馬を桂に届かせる訳ですね。
これは分かりやすかったです。
上田阿吽さん:
扉の外へ出ていこうとする人を呼びとめる誰かの姿が何度も浮かびました。
嵐田保夫さん:
初形から最終図が見えてしまう。
長谷繁蔵さん:
面白い優しい馬鋸
北岡正一さん:
なんとも豪華な馬のこ。45金で早詰と思ったが、19飛は最終手限定だけの意味ではなかった。
45同角が逆王手!
馬屋原さん:
馬鋸はいつ見ても楽しいものですね。
S.Kimuraさん:
5手目に金を打って簡単だと思ったら逆王手でした
隅の老人Bさん:
止めは桂とのヒントあり、何処に桂があるのかな?

くるくる展示室No.115 解答:12名 全員正解

  嵐田保夫さん  上田阿吽さん  馬屋原さん  S.Kimuraさん  北岡正一さん
  螽斯さん  隅の老人Bさん  躑躅さん  中澤照夫さん  長谷繁蔵さん
  凡骨生さん  渡辺さん   

当選者は、全題の解答発表のあと、展示室で発表します。