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詰将棋おもちゃ箱くるくるおもちゃ箱
くるくる展示室 No.36 凡骨生さん
くるくるおもちゃ箱
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出題時のコメント:

まずは打歩詰を解消して・・・ 壮大な伏線趣向。47手。


打歩詰の局面なので、まずは12角成と取るところ。 同歩に14歩、24歩と歩を打っていく手順が浮かびます。
64歩、74歩と7枚打って83玉。 持駒に香でもあれば84香の一発なんですが、あいにく持駒は角1枚。
94角と打ち込んだら? 同成桂、同銀、同玉、85金、83玉、95桂までぴったりの詰み?
いやいや、94同銀に74玉とかわす手がありそうです。 85金、73玉で、「お客さん、惜しかったね」
って大道詰将棋じゃないって。

形からいっても、この順が筋に見えるのですが、どこかで細工をする余地があったでしょうか。
12角成、同歩は必然。 ここで、68角!の遠打はどうだ。
おもしろそうだけど、57桂で逃れ。 35香合ぐらいでも詰みません。
24角は23玉でダメだから、14歩、23玉は必然。 次も24歩、33玉しかなさそうです。
33玉のとき、11角と打つ手は? 22香合とかしてくれればうれしいけど、22角合とされると、同角成、同歩で何も変わらない。 いや持駒は変わらないけど、21の歩が22に移動しました。
それがどうしたって? 34歩、43玉のとき、21角と打てるのですよ。
意味があるのかよく分かりませんが、とにかく手順を進めてみましょう。

  12角成、同歩、14歩、23玉、
  24歩、33玉、11角、22角合、同角成、同歩、
  34歩、43玉、21角、32角合、同角成、同歩、
  44歩、53玉、31角、42角合、同角成、同歩、
  54歩、63玉、41角、52角合、同角成、同歩、
  56歩、73玉、51角、62角合、同角成、同歩、
  74歩、83玉、61角、72角合、同角成、同歩、

単に歩を打っていったときと比べて、玉方の歩が7筋まで二段目にあがっています。
実は、この形だと、最初に読んだ94角、同成桂、同銀のとき、74玉と逃げられないんです。
そう、72飛成から85金で詰みますね。

  94角、同成桂、同銀、同玉、85金、83玉、95桂 まで47手

つまり、94銀のとき74玉と逃さないためには、71の歩を72に上げることが必要で、
そのためには、61の歩を62に上げることが必要で、
そのためには、51の歩を ・・・
ということで、角打角合を6回繰り返す、壮大な伏線趣向でした。
手が少ないので「くるくる」ですが、この壮大さは将棋図巧第1番を思い浮かべますね。

桂の配置は、桂合の防止と角の離し打ちを防ぐもの。 36成桂は35桂の方が形がいいと思ったら、35桂では17手目33歩成以下の余詰。 さすがに作者はよく読んでいます。

それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。

石原守さん:
歩をつり上げていって8四に玉が逃げたとき7二に飛が成れるようにすることがなかなか気がつきませんでした。
鈴木康夫さん:
「伏線趣向」と手数がヒントになって無意識に角打角合を入れていました。
手数はぴったりですが歩を吊り上げた意味が分からない。
盤に並べてようやく納得。せっかく暗算で解けたと思ったのに残念。
中澤照夫さん:
角を自陣から打つことを考えてしまう。11に打てばよいのだ。
コマンさん:
71歩を72にするために角打ち角合いを繰り返す面白い手順。
吉川慎耶さん:
変化の72龍を用意するために上げておく歩の関係が連鎖的で面白い。
隅の老人Bさん:
歩を連打、94銀に74玉、アレッ!。これで振り出しに戻る。
長谷繁蔵さん:
香合が出てくるかと思った
井上順一さん:
44手目の74玉の変化に72飛成を用意するための角打角合による歩の連続吊り上げ。遠大な構想。
いのてつさん:
この趣向を伏線の連なりと捉えると本当に壮大な作品ですね!
真・Tさん:
こういう直列的な伏線は一本の道が通っている感じで好きです。
涼秋さん:
尻から角で追いかけるのに一寸気が付きませんでした。面白い趣向ですね。
スラゴさん:
とにかく楽しい。収束もうまくまとまっている。
小五郎さん:
角打に角合。攻守の呼吸がぴったり合ったリズムの良いくるくるですね。
S.Kimuraさん:
1一角に気づかずに歩を並べていき,7四歩を取られて困りました.
あっちゃんさん:
これはこれで1つの完成品ですね。

くるくる展示室No.36 解答:17名 全員正解(下記)

 あっちゃんさん  石堂郁夫さん  石原守さん  井上順一さん  いのてつさん
 S.Kimuraさん  小五郎さん  コマンさん  鈴木康夫さん  隅の老人Bさん
 スラゴさん  躑躅さん  中澤照夫さん  長谷繁蔵さん  真・Tさん
 吉川慎耶さん  涼秋さん

当選者は、全題の解答発表のあと、展示室で発表します。