木目1

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第7章 ノコギリ趣向(2)
馬ノコ その2
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前回は玉に近づく馬ノコでしたが、馬ノコは逆の動きをすれば玉から遠ざかることもできます。
本作、持駒に歩があれば7手詰。 さて、その歩はどこに。 55手。

くるくる No.192

86の龍が強すぎて全然詰まないように見えますが、とりあえず77馬と王手してみると、同龍と取れません(89金で詰み)。
88に合駒も89金まで、となれば98玉とかわす一手ですね。
ここで、持駒に歩があれば、89金、同龍、99歩、同龍、87馬まで。
その歩は11に落ちているので、それを馬ノコで拾いにいきます。

  77馬、98玉、76馬、99玉、
  66馬、98玉、65馬、99玉、
  55馬、98玉、54馬、99玉、
  44馬、98玉、43馬、99玉、
  33馬、98玉、32馬、99玉、
  22馬、98玉、21馬、99玉、
  11馬、98玉、

歩を取っても、先ほどの手順は馬が77にいないと成立しません。 というわけで、今度は77まで戻ります。

           21馬、99玉、
  22馬、98玉、32馬、99玉、
  33馬、98玉、43馬、99玉、
  44馬、98玉、54馬、99玉、
  55馬、98玉、65馬、99玉、
  66馬、98玉、76馬、99玉、
  77馬、98玉、

盤面を良く見ると、2手目とほとんど同じで、11の歩が先手の持駒になっています。

  89金、同龍、99歩、同龍、87馬 まで55手

馬ノコの元祖作品象戯大矢数の百之外詰将棋博物館)は、この質駒を取りに行くタイプ。 このタイプの作品は、その後もたくさん作られています。 本作はシンプルな七色図式でまとめました。 先駆的な詰将棋サイトだった詰将棋の杜(現在は閉鎖))で、おおさきさんが2000年12月に発表された作品で、当時は七色図式の長手数記録作品でした。

なお、詰中将棋の作品集、今世作物の15番(作者不知)に奔王(チェスのクイーンの動きをする駒)のノコが登場します。 これは玉に接近することが目的の単純な奔王ノコですが、大矢数よりも前なので、ノコギリ作品全体の元祖かもしれません。

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