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詰将棋おもちゃ箱詰将棋研究室

研究展示室 No.10 eureka

詰将棋研究室
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棋譜ファイル(柿木将棋kif形式)

出題時のコメント:
角の打ち場所 10手台

研究展示室No.10 eureka

対角線両軸対称の双裸玉です。

詰将棋創作プログラミングで持駒サーチを開発した際、 11玉裸玉の全検を行い、裸玉全検の可能性 についても考察しました。 裸玉は柿木将棋で解けないような難解な作品が多く、完全な検討は無理との結論でした。

一応、比較的短時間で検討できる範囲(持駒15枚以内、解図時間5分)で、 2013年12月から2014年8月にかけて45箇所の全裸玉を持駒サーチしてみましたが、 新規の裸玉完全作を見つけることはできませんでした。 裸玉の開発はかなり進んでいるということを実感しました。

双裸玉も玉位置を決めれば持駒サーチで完全作を探すことができます。 双裸玉は双方の玉が81マスどこでも配置できるので、裸玉にくらべ単純計算でも70倍以上の組み合わせがあります。 ところが、完全作の発表数は裸玉にくらべ約1/3と少なく、まだまだおもしろい作品が創作できると考えられるので、 2016年5月に非常に軽く(持駒3種8枚以内、解図時間3秒)全検してみました。

検出された多数の完全作候補を精査し、TETSUが発表価値ありと判断したのが26作品。 本作もその一つです。 本作は参考図(44金、同玉で本作に)も成立し二色持駒になるのですが、対角線両軸対称の作品は初めてなので、 芸術の秋ということで44玉の図の方を出題しました。

なお、右の参考図は筆線愛好家Hal/94珈琲さんも創作されていたとのことです(Twitterに2018年5月掲載)。

さて、本作、出題コメントにあるように「角の打ち場所」がポイント。 といっても初手は55角と天王山に据える一手でしょう。 ここで逃げ方がいろいろありますが、45玉が最長です。

  • 43玉は44金以下7手
  • 53玉は44角以下9手
  • 54玉は72角以下9手
  • 34玉は43角以下9手
  • 35玉は44角、24玉、23金以下11手

45玉に46金と押さえるのは逃げられて駒不足。 54角の短打で引き戻すのが好手です。 ここ63角と離して打ちたくなりますが、35玉、36金、24玉で、25金打は13玉、46角は33玉で逃れ。 54角なら、35玉には36金、24玉、46角、34玉、35金以下15手。 46角に33玉でも32金でつかまります。 なお、54角に34玉は43角成で先ほどと同じです。

  55角、45玉、54角、同玉、

以下、44金と押さえれば、あとは習いある手順。 角と金が連携して追い詰めます。

  44金、63玉、64金、62玉、53金右、71玉、72金、同玉、
  73金、71玉、62金右、81玉、82金 まで17手

44金以下の手順はアートNo.20(塩野入清一さん)などで見ることができます。

66玉|44玉での持駒サーチで検出された完全作候補は、本作と持駒角金3銀銀の2作でした。 似たような手順ですが、持駒の美しさと54角の一手で本作を選択しました。

***** 持駒サーチ 完全作候補 *****

2016-05-17T10:11:27+09:00 持駒サーチ開始

  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|三
| ・ ・ ・ ・ ・v玉 ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ 玉 ・ ・ ・ ・ ・|六
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|七
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|九
+---------------------------+
持駒:なし

持駒枚数最大:8 持駒駒種最大:3 解図時間最大3秒

角二 金三 : 17手で詰みました(▲5五角、0:01)。
   余詰、非限定等は見つかりませんでした。
角 金三 銀二 : 19手で詰みました(▲5五角、0:02)。
   余詰、非限定等は見つかりませんでした。

2016-05-17T10:18:20+09:00 持駒サーチ終了

それでは皆さんの感想を(解答到着順)。

山下誠さん:
5五角の長い足を使って左右の金で地道に追う面白い手順。
原田雄二さん:
4手目35玉の変化(15手詰)が厄介だった。
占魚亭さん:
連続短打がポイント。
S.Kimuraさん:
見当がつかなかったので,柿木将棋に答えを教えてもらったのですが, 頭の3手が分かれば,後は自力で解けたかもしれないので,ちょっと残念なことをしました.
津久井康雄さん:
変化に好手あり。 63角〜54桂逆王手の筋と思い込みひとしきり悩みました。
小山邦明さん:
双裸玉で、手をかなり読まされるのかと思いましたが、54角捨から習いのある手順で助かりました。
おかもとさん:
きれいな初形。なるほど、凧金の形で詰むんですね。
鳥本敦史さん:
3手目がなかなか見えなかった。
池田俊哉さん:
初手はこれしかないが、二手目の変化〜四手目の確定までが山場。 金三枚の力は大きい
嵐田保夫さん:
簡単なようで、やはり手が広く一筋縄ではいかない。

研究展示室No.10  解答:11名 全員正解(下記)

  嵐田保夫さん  池田俊哉さん  S.Kimuraさん  おかもとさん
  小山邦明さん  占魚亭さん  津久井康雄さん  鳥本敦史さん
  原田雄二さん  山下数毅さん  山下誠さん  

当選者は、全題の解答発表のあと、展示室で発表します。