詰将棋おもちゃ箱詰将棋研究室
研究展示室 No.8 山崎健さん
詰将棋研究室
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棋譜ファイル(柿木将棋kif形式)

出題時のコメント:

300手台。詰将棋研究室では超長編、裸玉などいろいろ研究


研究展示室No.8 山崎健 詰将棋研究室では、「趣向詰の分類」 「裸玉の検証」 「超長編作品のプログラムによる解図と検討」 「双裸玉リスト」など、 いろいろな研究を掲載しています。 研究展示室では、それにちなんだ作品として、裸玉、双裸玉、超長編(300手以上)の作品を出題しています。

超長編作品は、一般に複数の趣向を組み合わせた構造になっています。 例えば、約200年間長手数記録だった、伊藤看寿の「寿」は、龍追いと持駒変換とと金はがしの3つの趣向が組み合わさり、 手数はその掛け算で611手という長手数を実現しています。

本作は300手台の超長編。 本作もまた3つの趣向を組み合わせています。

メインの趣向は7、8筋で繰り広げられる龍ノコ趣向ですが、龍を動かすには初形で58にいる角の位置が重要になってきます。

  • 龍で7筋から王手するには角が47にあることが必要
  • 龍で8筋から王手する(玉を83に呼ぶ)には角が58にあることが必要

そのため、龍ノコで龍が移動する毎に角位置変換の趣向を行うことになります。 角位置を変えるのは1筋の香を使って空き王手で位置を変えるのですが、そのためには玉をその近くまで呼ぶことが必要で、 それを実現するのが金鎖手順(金ベルト)と呼ばれる金による横送り趣向です。

この構造によって、次のように趣向が進展していきます。

  1. 金鎖手順で玉を23に移動
  2. 空き王手で角を47に移動
  3. 金鎖手順で玉を73に移動
  4. 7筋から龍の王手、74との移動合
  5. 金鎖手順で玉を23に移動
  6. 空き王手で角を58に移動
  7. 金鎖手順で玉を83に移動
  8. 8筋から龍の王手、84との移動合

これが1サイクルで、龍ノコが一つ進みます。 龍ノコの目的は78歩を取って戻ってくることです。 持駒に歩が1枚増えることで収束に入れます。

では実際の手順を見ていきましょう。

最初は趣向の舞台作り。

  15香、23玉、22と、33玉、
  32金、43玉、42金打、53玉、52金打、63玉、62金打、73玉、

4枚の金を据え付けて、準備完了。 ここから趣向に入ります。

  1. 金鎖手順で玉を23に移動
    (玉が83のときは、先に 82と右、73玉、
    72金、63玉、62金右、・・・ 32と、23玉、
  2. 空き王手で角を47に移動
    14角、13玉、47角、23玉、
  3. 金鎖手順で玉を73に移動
    22と、32玉、32金、・・・ 62金左、73玉、
  4. 7筋から龍の王手、74との移動合
    76龍、74と、
  5. 金鎖手順で玉を23に移動
    72金、63玉、62金右、・・・ 32と、23玉、
  6. 空き王手で角を58に移動
    14角、13玉、58角、23玉、
  7. 金鎖手順で玉を83に移動
    22と、32玉、32金、・・・ 72と、83玉、
  8. 8筋から龍の王手、84との移動合
    86龍、84と、

角位置を変えていた効果で、76龍に
  同角は72とまで
  74角は72金、63玉、74角以下
  74飛は72と、64玉、63金以下
また、76龍、74とのあと、角位置を変えないですぐに72ととすると、84玉で逃れ(72金に84玉なら86龍、85と、83と、同玉、85龍以下詰み)。 角を58に移動させてから72となら、84玉には86龍の1手詰。

このサイクルで龍が76龍、86龍と移動しました。 これを 龍ノコ手順(76龍、86龍と書くことにしましょう。

  龍ノコ手順(77龍、88龍
  龍ノコ手順(78龍、88龍
  龍ノコ手順(77龍、86龍

ここから収束に入るために、1〜3の手順でもう一度角を47に移動させます。

  82と右、73玉、72金、 ・・・ 32と、23玉、
  14角、13玉、47角、23玉、
  22と、32玉、32金、・・・ 72と、83玉、

これで65角を取れるようになったので、以下収束です。

  65角、同と、82と右、73玉、83と、同玉、72角、73玉、
  63金、同飛、同角成、同玉、83と、同玉、62飛、73玉、
  82飛成、64玉、84龍引、55玉、56と、同玉、54龍、同銀、
  57香、45玉、46歩、同玉、37銀、35玉、36銀、同玉、
  27と上、45玉、46歩、同玉、37と右、45玉、46歩、35玉、
  26と右 まで301手

作者「あまり新鮮味がありませんが、4月のガイダンス向けにいかがでしょうか?
(収束がダラっと長くすいません)
・角を47に移動しないと、龍を右側に振った際に74角と応じられた場合が詰みません。
・角を58に移動しないと、72とに対し84玉とされた場合が詰みません。」


新鮮味がないというのは、金鎖手順による角位置変換の構図が田島秀男さんの看寿賞作品519手と類似しているからと思いますが、 本作は角位置変換の必要性を龍ノコと組み合わせていて、田島作品よりロジックはずっとシンプルです。 ガイダンスにぴったりということで、ことば通り出題させていただきました。

それでは皆さんの感想を(解答到着順)。

山下誠さん:
角の位置を変えることで龍鋸が成立する。 1歩を入手して5六とからのきれいな収束に感心しました。
長谷繁蔵さん:
金4枚並べて考え中
小山邦明さん:
面白い龍ノコと角の移動と金の動き。
津久井康雄さん:
手数の数え間違い or サイクルのカウント漏れをしている自信があります。
いちおう解けたつもりなので応募してみます。収束の56とに気づかず苦戦しました。

自信は外れて、見事正解でした。

S.Kimuraさん:
金のベルトを作って,龍鋸までは分かったのですが,
収束は自力では無理でした.最後は,と金と歩,香車が
斜めに並んで綺麗ですね.
池田俊哉さん:
田島氏看寿賞作(2015.10)を思わせる金知恵の輪+角の動きと龍鋸の組み合わせ。
一歩を手にしてからの収束もなかなかに難しい
占魚亭さん:
金知恵の輪+竜鋸。角の位置調整に味あり。
市橋宗士さん:
(盤面配置と手数を見ただけで、ごめんなさい、時間不足、棋力不足です。)

解説を読んでお楽しみください。


研究展示室No.8 解答・感想:7名 全員正解(下記)

  池田俊哉さん  S.Kimuraさん  キリギリスさん  小山邦明さん  占魚亭さん
  津久井康雄さん  山下誠さん

当選者は、展示室で発表しています。