協力自玉詰(ばか自殺詰)は、後手玉に王手をかけながら、先手玉が詰んでいる局面を作るというルールですが、先手玉を詰めるのに、なぜ後手の玉に王手をかけなければいけないのか、不思議に思った方もいるかもしれません。
筆者がチェスのselfmateの詰将棋版として自玉詰(自殺詰)を初めて発表したのが詰パラ1971年9月号でのこと。 実はこのときは後手玉に王手をかけるということはルールとしては考えていませんでした。 しかし、自玉詰では協力自玉詰とは違い後手は先手の玉を詰まさないように抵抗するので、王手でもして後手の手を限定しないと実現できず、結果的に作品では後手玉に王手をかけ続けています。このときほとんど説明しなかったのが悪かったのか、後手玉に王手をかけるのがいつのまにかルールとなり、協力自玉詰でもこのルールが踏襲されています。
協力系のルールは、目指すものがわかればそこに到達する手順を考えればよいので、詰上りを想定するのが有力な解法です。 後手の駒は玉と銀しかないので、この2枚で12の玉を詰めるのは難しそう。
となれば合駒で何か強力な駒(飛や金など)を発生させるのがよさそうです。 23銀から空き王手すれば23や24に合駒させることができます。 その合駒を活用して詰ますことを考えると・・・23飛合から13飛という順が浮かんできませんか。
23から13に動かすには13銀成と捨てるしかなさそう。 となれば玉は14ですね。 あとは手順を実際に構築してみましょう。
23銀、24玉、34銀不成、23飛合、25銀、15玉、24銀、14玉、
13銀成、同飛 まで10手
作者 「攻方全着手銀が狙いです。4連続で動いた銀が最後に消えて解後感は悪くないと思います。」
銀の大活躍。 最後は消えてフィナーレ。 協力系で10手もの手数は難しそうに見えたか、解答は15名中6名に留まりましたが、狙いがわかれば解ける可能性が高そうなので、ヒントを出しながらなら入門用にも使えそうなおもしろい作品でした。
それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。
- 山下誠さん:
- 2二飛を動かそうとするとうまくいかない。
- 占魚亭さん:
- 両王手にならない位置に逃げる2手目がポイント。
- たくぼんさん:
- 攻方銀の軌跡をシンプルに魅せてくれる良い作品ですね
- 小山邦明さん:
- 玉の11への逃げ込みを阻止するのは飛しかないと思いましたが、持駒の銀を使って「飛の合駒」を発生させた後、最後にその飛車に取られて収束とはすばらしい手順でした(難問でした)。
- 池田俊哉さん:
- いつもおもちゃ箱のカピタン展示室は身構えてしまうが、今回は自王を詰ますのに飛が必要、と分かりやすい。 銀の動きが良いですね
- S.Kimuraさん:
- 解く時間が無くなってしまったのでfmzaに解いてもらいました.
自玉を詰ませる駒の出し方が思い浮かびませんでした.
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