解説・全短評
前回に続き58玉型の金問題。
一見普通の金問題に見えるので、まずは定跡通り16手進めてみたくなりますね。
解答A : 96金、84玉、87香、86飛合、85金、同飛、同香、同玉、
86飛、75玉、56飛、84玉、87香、85角合、同香、同玉、
67角、84玉、86飛以下
「大道棋の詰上りは駒余りでも良いのですが何か・・・すっきり感に欠ける!」
17手目67角はおもしろい詰筋ですが、76桂(香)の捨て合で逃れ。
17手目からはほかにもいろいろな詰め筋がありますが、どれも失敗。
本作では16手定跡自体がワナなのです。
正解は9手目86飛のところで88(89)香と変化します。
58玉型なれば成立する詰め筋です。
76玉と逃げる手は86飛から87馬で詰むので、前回と同様87香の中合で抵抗。
これを前回のように同香と取るのは、76玉、86飛、77玉、79香、78香合で逃れ。
前回の問題では香が品切れだったので、この筋が成立したのですね。
本作では88香、87香合としたあと86飛と定跡手順に戻すのが正解です。
解答B : 96金、84玉、87香、86飛合、85金、同飛、同香、同玉、
88香、87香合、86飛、75玉、56飛、84玉、87香以下
「可成りの難しさに圧倒されました(約三日間考慮)」
定跡手順とくらべて87香で香が1枚余分に取れるので、何とかなるという読み。
ところが、ここでもまた新手の妙防が用意されていました。56飛の空き王手に対して86角の捨て合です。
同馬、84玉となって、16手定跡から86馬と行ったのとよく似た形になりました。
8筋の香を活用したいところですが、85馬と捨てて87香と走るのはちょっと急ぎすぎ。
86桂とか捨て合で奉納。
62角から53角成を狙うのがいい手です。
73香とか平凡な合駒では、今度こそ85馬から87香でアウト。
そこで53角を防いで73飛合の妙防。
同銀不成、同桂と進んで、今度こそ85馬。
大道棋屋さん「これはいい手だ。いや参りました。」とかいいながら涼しい顔で93玉と逃げます。
解答C : 96金、84玉、87香、86飛合、85金、同飛、同香、同玉、
88香、87香合、86飛、75玉、56飛、86角合、同馬、84玉、
62角、73飛合、同銀生、同桂、85馬、93玉、71角成、82金合以下
「21手目85馬が勝負手です。超難解で手順に自信がありません。」
82玉と逃げられないように71角成は自然な手ですが、82桂合とされると桂が94に利いてくるので、あとが続きません。
ここは94馬と続けて押し売りするのが正解。
82玉と逃げられてダメそうですが、83馬、同玉、87香以下で捕まります(棋譜ファイル参照)。
仕方なく94同玉に95歩と叩いて好調な攻め。
解答D : 96金、84玉、87香、86飛合、85金、同飛、同香、同玉、
88香、87香合、86飛、75玉、56飛、86角合、同馬、84玉、
62角、73飛合、同銀生、同桂、85馬、93玉、94馬、同玉、
95歩、84玉、87香以下
「駒余らずになりました。」
95歩に84玉は73桂がピンされた状態になるので、いったん93玉と逃げて71角成、84玉と桂のピンをはずすのが巧妙な受け手です。
さあ、そこで待望の87香。 まいったか。
解答E : 96金、84玉、87香、86飛合、85金、同飛、同香、同玉、
88香、87香合、86飛、75玉、56飛、86角合、同馬、84玉、
62角、73飛合、同銀生、同桂、85馬、93玉、94馬、同玉、
95歩、93玉、71角成、84玉、87香、85角合、同香、95玉、
96香、85玉、86飛打以下47手
「合駒の機会が多いのでその都度変化読みが多岐に亘りたいへんでした。
終図まで大駒4枚で追う展開となり、飛2枚で都詰とは素晴しいものでした。」
87香に85香合や85桂打では、94飛、75玉、76香、64玉、53馬まで。
85に銀金角の合は、同香、同桂、93銀(94金、93角)以下。
解答Eの順は86飛打のところ95飛、84玉、93馬までで詰むので変化別詰です。 惜しい。
85に合駒を打つのではなく85桂跳ねと逃げ道を空ける手も考えられますが、62馬と押さえれば簡単。
これでまいったかと思いきや、86銀中合という妙防がありました。
解答F : 96金、84玉、87香、86飛合、85金、同飛、同香、同玉、
88香、87香合、86飛、75玉、56飛、86角合、同馬、84玉、
62角、73飛合、同銀生、同桂、85馬、93玉、94馬、同玉、
95歩、93玉、71角成、84玉、87香、86銀合、94飛、75玉、
53角成、64香合、77香、同銀、74飛、同玉、75歩以下49手
「何時もありがとうございます。此問もお手数をおかけします。」
ほとんど解けているのですが、64香合だと、作意順のように78香以下63銀まで45手で詰むので、これも変化別詰。
正解は64金合で、このとき上記のように77香と攻めると同銀不成で逃れます。
78香と合駒を稼げば歩合ができないので香合として、あとはほぼ一本道で47手で詰み。
金問題として初めての順でありながら、すさまじい合駒の嵐に、奉納者続出。 難問でした。
本作、最初は52桂がなかったのですが、それだと31手目86同飛、85銀合、94飛、75玉、53馬、64金合、77香以下の余詰があり、この順を防いだものです
(77香に76角合、同香、66玉、88角、56玉、47銀、45玉、44馬までの最終手を防ぐ)。
実戦で出題するときは52桂がない方が形がいいですね。
それでは、見事正解されたみなさんの感想を。 解答到着順です。
- 永島勝利さん:
- 案外大変というので、16手定跡でないなと直感したら、案の定。
でも、香を質駒にしたままで進めるというのはクレバーな発想ですね。
(収束の最善が自信なし。もっと短く詰むのでしょうか?)
- 山下誠さん:
- 8六角合、7三飛合の辺りが面白いところ。9四馬以後は、最短手順を探すのに疲れました。あまり自信がありません。
- 森美憲さん:
- ややこしかった。
- 小林徹さん:
- 解けたと思いますが、駒が余る順は今一つ自信が持てませんね。
- 前田知弘さん:
- 56飛と開きたい配置ですが、これが罠とは。
最後の中合も見落とすところでした。
最後まで油断できない、これぞ大道棋。
- 小山邦明さん:
- 62角打からの局面が従来の金問題と異なるので、見通しが立たない中での手順探しでしたが、前作と同様、合駒のオンパレードとなり驚きました。
- 福村努さん:
- 手順前後(33手目より)
7八香 7七香合 5三馬 6四金合 7七香 以下同手順.
ここは手順前後が成立します。
- 占魚亭さん:
- 香を取るか飛車を打つかの11手目が分かれ道(前作の紛れ筋が作意に)。
合駒が多く、かなり苦戦しました。
- 竹中健一さん:
- 86角合させて強引に詰ますんですね。
これはまた新しくて面白いですね。
大道棋で七種合とかできそうな感じがしました
(もちろん、創ることはできないけど笑)
前に、ある人から七種合の金問題を見せてもらったことがあります。
- 鳥本敦史さん:
- 「もう驚かないぞ」の香打をクリアしたと思ったらホイホイと出てくる合駒と指しにくい手で大変でした。
もう1通、西野かなさんからは挑戦した感想が。
- 西野かなさん:
- とりあえずの抵抗を見せた、それだけに終わってしまいました。前回は、解答を失念しましたので、白紙でも解答します。
白紙解答も大歓迎です。 解けなかった方も是非感想をお寄せください。
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