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よもやま話大道棋全短評 大道棋7 加藤徹
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出題: 詰将棋パラダイス2011年7月号 大道棋よもやま話 第6回
結果発表: 詰将棋パラダイス2011年10月号 大道棋よもやま話 第8回

本作、さりげなく出題したのですが、正解者11名と前回の「詰んだらプロ」級並みの難問でした。
腕に覚えのある方は下記の解説を読む前に自力で挑戦してみてください。

(20行ほど空けます)





















詰パラでの結果発表時の解説

常識的な94銀は、84銀合!から72と、同玉、75香に桂の二段合で逃れ。

正解は82銀で、金問題としては未知の領域にはいる。84歩中合、74角合と大道棋らしい受けが続き、圧巻は77飛中合。

76歩を同飛と取ったとき逆王手になることを狙った中合だ。


解説・全短評

持駒銀ですが、形は金問題。 となれば、94銀、92玉、82と、同玉、85香で、さあどうする、というのが普通の攻め。

定跡では84飛の中合い。 これは同香、73玉、72飛まで。
ならば84金合かな。 これも同香、73玉、64金まで。
そうか、逆王手の84桂合? いや、同香、73玉、75香、74合、85桂までで詰んじゃいます。

定跡で84飛(金)と合駒するのは、83銀成を同飛(同金)と取るため。 この問題では83銀成を同玉と取っても84馬とできない(96香と玉を取られます)ので、飛合をする必要がないのです。

それなら84歩合でOK? 同香なら73玉で、75香に74角合の逆王手で逃れ。 確かに同香なら詰みませんが、中合を取らずに72とと捨てる手があります。 72と、同玉、74香、81玉(73合は同香成、同玉、84馬以下)、84香、82歩合、同香成、同玉、73馬以下の詰み。

ここまで読める方はかなり強い方。 これで詰んだと手を出すとさあ大変。

94銀、92玉、82と、同玉、85香、84銀合!

えっ、そんな受けがあるの? 金問題で銀合なんてみたことがないけど・・・
同香は歩合と同様73玉、75香、74角合の逆王手で逃れ。 72と、同玉、74香と攻めてみましょう。
73歩合は、同香成、同銀、83銀成、71玉、72歩、81玉、73成銀以下。 しかし、73桂合だと、手順中の72歩が打てません。

そうだ、75香と離して打てば(同銀なら62馬の一発だ)、73桂合に83銀成と行く手があるじゃないか。 同玉なら84香で簡単。 81玉と逃げても82成銀、同玉、84香でなんとかなりそう。 じゃあやってみましょう。

72と、同玉、75香、74桂合、同香、73桂合

なんと、桂の二段合。 手はいろいろあって続くものの、これで逃れています。

おいおい、不詰はまずいんじゃないの、という貴方、もちろん本作は詰みますよ。 ここまでは誘い手の逃れ手順の説明です。

正解は82銀! 金問題らしからぬ初手ですが、92玉なら91銀成、同玉に93香から73馬があるので案外有望な筋なんです。
83玉の逃げに84香は74玉でダメ、73銀成も93玉でダメということで、73と。

  82銀!、83玉、73と、92玉、91銀成、同玉、82と、同玉、85香、

82銀と打てば、ここまではほぼ一本道で、85香に合駒の選択。
83合は、飛角金なら取って詰み、銀桂歩なら72とと捨てて詰み。 ちょっと長いけど難しいところはありません。
そこで大道棋らしく、84歩の中合。 83香は91玉と逃げられるので、84歩中合は取る一手。
84同香、73玉、75香、74角合のおなじみの逆王手がとんできます(他の合は72とから94馬)。

  84歩合、同香、73玉、75香、74角合、同香、同玉、

65に逃げられてはいけないので、83角。 あとの手順をみるとわかりますが、これは限定打で92角では詰みません。
75玉に78(79)香と離して打つのが好手。 66玉に77馬を見ています。

  83角、75玉、78香、

ここが本作の山場。76歩合などは、85馬、66玉、76馬まで。
77に中合ですが、これも77歩合などは、76歩、同玉、77馬があります。
これを防ぐには77金合か77飛合。 しかし金合は、76歩、同金、85馬、66玉、76馬まで。
飛合なら76歩、同飛が逆王手になります。

  77飛合76歩、同飛成、

逆王手だからと76同香は、同玉なら78飛で詰みますが、66玉とかわされて逃れ。
86馬と逆々王手で凌ぎます。
84玉で切れたか、という局面ですが、94角成と捨てて76馬と龍を取るのが最後の好手。
このために角打ちは83からでないといけなかったのでした。

  86馬、84玉、94角成、同玉、76馬、93玉、95飛、82玉、72と、同玉、
  94馬、82玉、72馬 まで35手

94馬のところは92飛成以下などいろいろな詰みがあります。

本作、もともとの図は57とがなく持駒金で、94金以下19手が作意だったんですが、利波さんに見ていただいたら、「持駒を銀にすると82銀の紛れができておもしろいんじゃない」との指摘。 その図は82銀でも詰んでしまったものの、こちらの順も発展できそう。
というわけで、94銀は詰まなくして、82銀以下を作意として成立させたのが本作です。

それでは解答者のみなさんの感想を。

永島勝利さん:
初手94銀、92玉、82と、同玉、85香、84銀、72と、同玉、79香、74桂、同香、73桂の筋が詰まないのが釈然とせず、何度も考えましたが、無理なようですね。82銀は余詰筋と感じたので、真剣に考えていなかったのですが、仕方なく読んだところ、意外にも本筋で、スリリングな展開が待っていました。
前田知弘さん:
性格がひねくれているせいか、8二銀から読みたくなってしまう。
▲8二と△同玉で、一目不詰みですが、これが詰むとは。
▲9四銀△9二玉▲8二と△同玉▲8五香△8四銀▲7二と△同玉▲7五香は、桂の連打で詰まない。大道棋の醍醐味です。
凡骨生さん:
全体に一段下げ持ち駒を銀にし紛れを増やして、21手目76歩と打ち同飛成の逆王手を誘うあたりは、いつもながらの好改作です。
岡崎行晃さん:
A82銀・・・76馬、84玉、85馬、93玉、95飛、83玉、74馬、82玉、92馬マデ35手詰
B82銀・・・76馬、93玉、95飛、82玉、72と、同玉、94馬、82玉、72馬マデ35手詰
10手目のとき84銀合で以下19手の29手詰(余り駒なし)の時は正解と思った?
<総評>AとBの二つの解答ですが、28手目で84玉と93玉の二つの逃げ方がある。
いずれも同手数ですが、A→余詰(歩1余る)B→余りなし
28手目93玉のところは84金でも同手数ですが、こちらは余詰が多数あるので93玉を作意にしています。
福村努さん:
キズ(33手目より)
@9二飛成 8二歩合 9四馬 迄33手詰.
A6五馬以下でも詰.
B8五馬以下でも詰.
竹中健一さん:
94銀から入るものだと思い込んでいて、相当苦労しました。
評価:A

ドキドキ展示室の2問も難しかったです。
あのような追い方は読むのが面倒で。。。
普通の筋じゃないんですね、勉強になりました!
佐藤司さん:
またしても「ダルマさん」です。悔しいですが、これが実力です。
今川健一さん:
初手に94銀打、・・・84銀合でハイ1回目の奉納。
本筋で84桂合と思ったら歩合、詰んだぞで、今度は77飛合。
詰めるまでに「マッタ」は幾度?
こんな難題、大道で詰む筈がない。

よもやま話 大道棋7 解答:13名 正解11名

正解者、当選者は詰将棋パラダイス(通称詰パラ)2011年10月号をご参照ください。

詰パラの入手方法 ===> 購読法・取扱い書店 (詰将棋パラダイス