73金と入ると香歩問題でよく見る形に。
香歩問題から変化した類型は数多くあり、なし6類型もその一つです。
香と金のバッテリーにした初形なので、73金以外に93金や香を取る74金といった有力な手が生じているのが特長です。
さて、本作は73金、93金、74金、どこに動くのが良いのか。
実は一番最初に考える73金が正解です。
先に93金や74金ではダメなことを確認しておきましょう。
93金、72玉、83香成、71玉、82金までという誘い手には83への中合。
それも82金捨てから83桂成があるので83金合が絶対です。
これに対して、同香不成は72玉で、73玉から64玉と飛を取られてダメ。
63金と打ち込んでも61飛が控えているので失敗。
82金、同金、同香成と精算するのも、1枚足らず。
ちょっと工夫して92金と捨てるのは71玉とかわされ、83桂不成は72玉ですし、74飛と香を取るのも同金なら82金ですが、73銀合や73とで逃れ。
初手74金に対してはいろいろ受けのある形。でも平凡に71玉と逃げられるくらいで続きません。
ということで正解は73金。
93金と同様、82金捨てがあるので83への中合は金が必要。
香歩問題をご存じの方なら、その前に84桂の中合が要るんじゃないの、と思った方もいるかもしれません。
73金、84桂合、同香、83金合、同香、92玉、82香成、93玉、83桂成、94玉、74飛、95玉で逃げられたっぽいですが、
85金、同玉、87香、86合、84成桂、95玉、94成桂、85玉、77桂まで21手でぴったり。
ところがこれは作者のワナ。
実戦では30手台のヒントがないので、ひっかかる人もいるかもしれません。
香歩問題と違って72歩がないのだから、すぐに83金合でいいのではと思ったあなた。
71歩成の代わりに72金捨てというするどい手があるのです。
91玉とかわすのは、83桂不成、92玉、91桂成、93玉、84金までのおなじみの順があるので、72金は同とと取って61飛成と飛を入手できます。
71合駒には、91飛、同玉、83桂不成、92玉(82玉は71桂成以下)、72龍の筋があり、金合以外だった場合はこの筋で19手以下で詰み。
金合の場合は91飛、同玉、71龍、同と、92金で簡単です。
ということで、73金には84への中合が必要ですが、桂合は前述のごとく詰むので、
84歩合から83金合の二段中合が正解です。
今度は72金と攻めても、同と、61飛成、71歩合、83桂、92玉、72龍、93玉と脱出されてダメ。
なんと、84桂合のときと同様、金の中合を単に取るのがよい攻めでした。
73金、84歩合、同香、83金合、同香不成、92玉、82香成、93玉、
83桂成、94玉、74飛、95玉、85金、同玉、87香、86銀合、
86の合は、あとの手順をみるとわかるように、95に利かせる必要があるので銀か角。
角合も銀合と同様の手順で詰みます。
84成桂、95玉、75飛、84玉、74金、94玉、95歩、同銀、
同飛、同玉、84銀、94玉、83銀不成、95玉、94銀成、同玉、
84金、95玉、85金 まで35手
83銀不成から94銀成のところは93銀成から94成銀でも同じ。
93銀成を同玉も同手数でこれも正解です。
角合だった場合は93角成、同玉になるわけですね。
作者「なし6では一番先に読まれるであろう初手73金の筋です。
93金も74金もすぐに切れる形なので客寄せ向きか?
比較的シンプルな形でよく纏まったと思います。
収束ちょっとしたキズありますが許容範囲と思います。」
収束のキズは大道棋としては問題ない範囲ですね。
唯一気になるのが62との配置。
62金では5手目72金でも詰んでしまうので仕方ないとはいえ、お客さんに警戒心を起こさせるので大道棋では避けたいところです。
それはともあれ、集客度も89と高く、形も手順もよくまとまった好作です。
それでははみなさんの感想を。 解答到着順です。
- 山下誠さん:
- 8七香と打ってここからが本番。
銀合と角合の違いが分からなかった。
- 松崎一郎さん:
- 出だしの歩と金の中合二連発に大同棋らしさを感じる。
- 占魚亭さん:
- 香歩問題風の序に面白味。
軽快な手順で解後感もいい。
- S.Kimuraさん:
- 玉を85まで逃がすとは思いませんでした.
- 小林巧さん:
- 素直に73金から、後は潜られないように注意して85金〜87香で盤石の体制、安心安全の手順。
- 小山邦明さん:
- 2手目の84歩中合から、途中までは大道棋によくある玉に逃げ切られるパターンですが、
85金から87香が実戦でも役立ちそうな好手で玉を押し返す事ができました。
74香を飛で取る事でこの収束にしたアイデアはすばらしいです。
- inokosatoshiさん:
- 最後までうまく手が続く好作。
62との配置が、62金だと…余詰め? 違いが発見できませんでした。
62金だと、5手目72金、同と、61飛成、71銀合、91飛、同玉、71龍、81銀合、92歩以下27手の余詰があります。
- 池田俊哉さん:
- 初手93金は83金合でダメ、初手73金も同様かと思うと83金合に対して72金の妙手で詰む。
上部へ追い出してからは87香で捕まるが銀合を逆用してきれいな収束へつながるのが良い
- 金少桂さん:
- 13手目で金を使ってしまうのが不安感があって踏み込みにくい手順。
- 嵐田保夫さん:
- 二手目単に8三金合の変化の方が詰将棋らしいが裏の裏をかいた感じか。
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