81玉型の銀問題。
本作の特徴的なのは65銀66桂の配置で、これによりどこかで74角を取る筋が生じています。
この配置はいろいろな筋が作れるので、2004年頃に何作か作ったのですが、だいたいが長手数で収束のキズも多く、
発表したのは詰パラ2006年5月の43手(棋譜ファイル)ぐらいです
(65金66桂型ではドキ展No.2があります)。
今回、10手台の客寄せがなかったので引っ張り出してきましたが、この筋の本格的な作品を鳥本敦史さんが発表(詰パラ2021年4月)しているので、
ご存じの方はすぐにわかったかもしれません。
まずは誘い手の解説。 銀問題に詳しい方は読み飛ばしてください。
初級者向けの誘い手は、82銀、92玉、73銀不成、93玉、82飛成までの5手詰。
これは52角と飛を取られて失敗。
中級者向けには、82銀、92玉、91銀成、93玉、75馬、84合、92飛成まで7手詰の順が用意されています。
84歩と移動合されて、92飛成を同角で失敗。
74角の各筋を止めようと、54馬も有力。 63歩合などなら、最初の5手詰の順で詰んでしまいます。
そこで大道棋屋さんは63銀合と抵抗。
これなら52角と飛を取れなくなっても、今度は52銀と取れるというわけです。
しかし、63銀合なら同馬、同角で持駒の銀が2枚になって、いかにも詰みそう。
82銀、92玉に81銀打まで?
いや、いつのまにか角が利いてきて同角と取られます。
更に同銀成、93玉、75角と追撃しても、84飛の移動合で94に逃げ道ができて失敗。
普通の順では74で角を取る展開になかなかなりませんね。
なんとか角を取ろうと、72銀、92玉、83銀成、同玉、74銀はどうでしょうか。
94金型ならこれで詰みそうですが、94飛型なので同飛と取り返されて流石にダメそう。
正解は、66の桂で74角を取る順です。
それには玉を82に呼ぶ必要がありますが、いきなり82飛成では同玉、74桂、同飛で全然ダメ。
初手71馬と捨ててから72銀とするのが、玉を82に呼ぶ巧妙な手順です。
この順が読めた方なら、あとの展開はそう難しくはないでしょう。
71馬、同玉、72銀、82玉、74桂、同飛、71角、73玉、
83銀成、同玉、82飛成、94玉、93龍 まで13手歩余る
それでははみなさんの感想を。 解答到着順です。
- 市原誠さん:
- 気持ちいい手順でした!
82飛成まで13手解。 54馬以下上記で解説した順と思いますが、84飛の移動合がありました。
- 山下誠さん:
- 初手8二銀から行くと飛車を抜かれて奉納。
- 松崎一郎さん:
- 初手馬捨てに驚くも後はリズミカル。
- 占魚亭さん:
- 素直に角取りを目指す。
- S.Kimuraさん:
- 角を取る構想が浮かびませんでした.
55の歩は詰みに関係なさそうですが・・
55歩は余詰防ぎの駒で、実戦では省いても問題ありません。
- 蛇塚の坂本さん:
- 敵飛を利用した綺麗な手順。
93龍まで17手解。
83銀成のところで、62角成〜71馬の4手を挿入した迂回手順と思いますが、もちろんこの順も正解です。
- 小林巧さん:
- 一応、手続きとして82銀か71角成か悩むことにしている。
82銀は、それらしい形になって手読みは楽しいがややこしく詰まない。
71角成は、銀の位置替え打ちから71角と新たに作った拠点を軸に全軍躍動。
大道棋とおもえぬ爽やかさでした。
- 下町忍者さん:
- 随所に大道棋の味わいを感じた作品でした。
82角成まで13手解。
82銀以下84歩移動合の上述の順のあと、82飛成から74桂と角を取りましたが、そこで72玉と逃げられます。
- 小山邦明さん:
- 66桂配置なので74桂で角を入手できる手順を考えてみたらうまくいきました。
- inokosatoshiさん:
- 83銀成が実戦的な好手
- 池田俊哉さん:
- 54馬以下に誘われるが63銀合〜75角に84飛移動合で逃れるのが94飛配置の効果。
74桂から角を奪うとその効きが収束に生きる
- 金少桂さん:
- 74角を上手く取る方法を考える。
それにしても初手馬捨てとは意表を衝かれた。
- 嵐田保夫さん:
- 初手5四馬とか欲張ろうとすると駄目でズドンといくのがいいのは正しく人生は一局の将棋なりといった感じ。
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