大道詰将棋はよく似た問題でお客さんの錯覚を狙うことが多く、一番問題数が多いのが持駒香歩の香歩問題です。ついで持駒銀の銀問題、その次に多いのが金問題で、本作もその一つになります。
金問題の誘い手は、96金、84玉、87香までの3手詰。
少し強い人なら、それには86に中合があるな、と気づくかもしれません。
でも、85金、同玉、86馬、84玉、85馬までだ、と思って手を出すと奉納。
86の中合がポイントで、ここは85金を取れるように86飛合とするのが金問題の定跡になっています
(86金合は、85金、同金、同香、同玉、86金、84玉、85香まで)。
86飛合とすれば、
96金、84玉、87香、86飛合、85金、同飛、同香、同玉、
までは必然。
ここからは86飛、75玉、77香で詰み?
いや、まだ76香の捨て合があります。
といっても、同飛、84玉、74飛以下で簡単。
と思って手を出した人も実は奉納。
本作では78玉の配置があるので、86飛合でなく86桂合の逆王手で逃れるのです。
それではいったい正解は。
なんと驚愕の86馬!
金問題史上初めての初手で、金問題に詳しい人ほど指しにくい手かも。
この手が思いつけた人なら、あとはそう難しくないでしょう。
86馬!、同玉、87香、75玉、77香、76角合、同香、同玉、
77金、75玉、97角、86桂合、同角、84玉、76(96)桂、85玉、
53角成、96玉、86馬 まで19手
作者 「初手が狙い。これしかない手ですが。
途中逆王手の桂合も入ってマズマズかと。
非限定箇所ありますが内容から言って不問と思います。」
いかにも普通の金問題に見えて、裏筋の86馬。
その後も大道棋らしい合駒を交えてきれいにまとめているのは流石。
初手86馬の第1号作品として金問題の歴史に残る作品ですね。
それでははみなさんの感想を。 解答到着順です。
- はむきちさん:
- 金1問題の普通の順で解いたら逆王手がかかってしまいました。
- 市原誠さん:
- 馬が大活躍!
最後95玉と逃げて86金まで19手解。 変同ですので正解です。
- 蛇塚の坂本さん:
- 初手8六馬は意外性有り。
- 山下誠さん:
- 何度も8六桂の罠に嵌まりそうになる。
- 松崎一郎さん:
- 金を早めに使ってしまうことに不安感あり。
- 小山邦明さん:
- 通常の金問題だと思って、96金、94玉に97香とすると、86桂の逆王手で 同香は75玉で奉納ですね。
- ひろぽんさん:
- 双玉は難しい
96香まで19手解。 双玉なので、86桂合の逆王手があるのでした。 残念。
- 占魚亭さん:
- 初手にびっくり。初手と最終手が同一着手な所もいいですね。
- おかもとさん:
- 初手、見事にだまされました。
- N. Yamaさん:
- 合駒、逃げ方が何通りもあり、難しかったです。
- 池田俊哉さん:
- 78王の存在感が強く、通常の金問題手順では76桂合で不詰
とはいえ初手86馬のインパクトは強く、小品であっても作品価値はある
- S.Kimuraさん:
- 初手が見えませんでした.86桂の逆王手に苦しめられました.
- 金少桂さん:
- 78王配置で86桂中合が逆王手になるため、定跡通りの攻防にはならないと思ったが、まさか初手馬捨て!
この初手だけでも凄いが、その後も大道棋らしい合駒を読まされる。
初手96金で奉納がお二人。 いったんはかかった人も多く、作者大成功。
|