ドキドキ展示室　Ｎｏ．１０１　鳥本敦史さん

出題時のコメント：

金４類型　１０手台

金４類型の有力な詰め筋は７４角の両王手か・６３角成の空き王手。 まずは７４角から試してみましょう。

７４角、９４玉、８５金、同香、同角、８３玉、
ここから８４香、同玉、６３角成といくか、すぐに６３角成といくか二つの詰筋があります。
８４香、同玉、６３角上成には、
１）９４玉なら７２角成、同金、同馬、８６金、８４玉、８５金まで。
２）８５歩と捨て合するのは、同馬、８３玉、７５馬、８４歩合、同香、９４玉、９５歩以下。
ということで歩を渡さないよう
３）８５桂合、同馬、８３玉、７５馬、８４桂合
とするのが妙防で、以下も手は続きますが逃れています。
すぐに６３角上成の場合は８４歩（桂）合で、同香に同玉なら８６香以下詰みますが、９４玉とかわされると手はあるものの続きません。

では、初手から６３角上成とすればどう受けますか。
１）９４玉なら８５金、同香、同馬、８３玉、８４香まで
２）８５飛の中合が定番の受け（８５歩などでは８４金で簡単）ですが、同香、９４玉、７２角成以下。
これで詰んだかと思いきや、
３）単に８４歩合とされると、同香、同玉、８５金、８３玉とされて打歩詰で逃れ。

どちらも際どくのがれているようです。 ほかに手はあるのでしょうか。
９６角とか７６角と引く手はどうか。 これも８４歩合、同香、同玉、８５金、８３玉で打歩詰。

でも、これはいい線いっていたのです。 正解は初手６７角（５８・４９でも可）と引く手。 ７６角との違いは何なのか、手順を進めてみましょう。

　　６７角、８４歩合、同香、同玉、７５銀、同玉、

７５銀捨てが妙手。 玉を広くしそうで指しにくい手ですね。 ７６角ではなく６７角と引いた効果で、ここで７６金とすることができます。

　　７６金、６４玉、５４金、７４玉、９２角成、８３歩合、

７６金に８４玉は８５金ですし、７４玉も５６角で簡単。 ６４玉には５４金、９２角成と包囲網を作って、一挙に狭くなります。

　　７５歩、８４玉、８５金　まで１５手

作者「初手がやってみたかった手で非限定ですが許容範囲かと思います。
あとは追い詰め。客寄せにいいかも。
（柿木だと設定によっては２手目８５歩合、１７手歩余りと答えてきますが無駄合でしょう）」

初手６７角引きは意外性十分で、金４類型に新境地を開いたおもしろい問題。
７４角や６３角成がかなり際どいこともあって、実戦価値も高いと思います。

それではみなさんの感想を。 解答到着順です。

塚崎彰仁さん：

大道特有な筋に引っ掛かり、正解かどうか怪しいっす！

８５馬まで１３手の解。 ７４角の筋に誘われてしまいましたか。

市原誠さん：

途中、金の捨て駒が入ったのは、気持ち良かった！！！

銀の捨て駒かな。

山下誠さん：

初手、角を７六に引かなければ大丈夫。

引くにしても、まずは７６角から考えそう。

占魚亭さん：

初手、引く手だったとは！

小山邦明さん：

角を67方面に引くとは思わなかったので、不詰の連発で解くまでに相当時間がかかりました。

２手目８５歩合の１７手解。 同香に９４玉が９５歩、同玉、８６金、９４玉、８２香成以下１１手で詰むので、結果的に無駄合になりますが、 大道棋的にはある手で、これも正解です。 ８５桂合なら、とかいろいろ考えられますね。

金少桂さん：

恐るべき、攻めの裏筋。 短手数大道棋はこれが怖い。
作者から４作の初手が全部違うというヒントを貰っていなければ、この初手は見つけられなかったと思う。
（No.103,104が先に解けていたので最有力の初手74角と63角上成を消去できた。）

S.Kimuraさん：

柿木将棋IXと詰将棋対戦しましたが，角を2つ下がることが思い浮かばず，歯が立ちませんでした．

みなさん、金４類型初のこの初手の発見に苦戦した模様。 まさに攻めの裏筋ですね。

蛇塚の坂本さん：

これでは、５一桂が、意味を成さないのと中合いもまだ詳しく調べてません。
今回は、正解を見て勉強します。

８４金馬まで１３手の解。 解説を見てご確認ください。
なお、５１桂がないと、初手７４角の筋で詰みます。

池田俊哉さん：

No.100と同様72角成が効かない形なので、63角成の筋かと思ったが62金では続かない。 初手角引きは今までにない手筋か
角引き位置は非限定（67以遠？）だろうが、大道棋っぽいと言えばそうなのかも

この非限定は大道棋では気にならないところ。

ドキドキ展示室Ｎｏ．１０１　解答：９名　正解７名（下記）

　　池田俊哉さん　　市原誠さん　　S.Kimuraさん　　金少桂さん
　　小山邦明さん　　占魚亭さん　　山下誠さん

当選者は、全題の解答発表のあと、展示室で発表します。