スマホ詰パラで活躍、詰パラ本誌でも2017年8月号で初入選した大西さん、 「大道棋に惹かれて詰将棋鑑賞/創作を始めた」 ということで、展示室では大道棋で初登場です。
本作は、61龍を61歩62桂にした同一手順の図(左右反転)が大道棋実戦局にあります(詰パラ1966年6月マラソンで出題)が、
奇策縦横にも未収録でほとんど知られてないと思われますので、入門用大道棋として価値ありと判断して出題しました。
大道棋に興味を持つ人をもっと増やしたいという作者の思いも含めて、作者に解説を書いていただきました。
作者解説
大道棋に惹かれて詰将棋鑑賞/創作を始めた者として、一般の将棋ファンの中から大道棋に興味を持つ方が増えていってほしいと願っておりますが、
一方で最も基本的な大道棋とされる香歩問題15手詰(図1)でさえ初心者には難しく、敬遠される向きが多いのが実態と思います。
そこでさらに易しい入門用大道棋を提供したいと考え、今回の作品(図2)を創作いたしました。
簡単ながら、それなりの誘い筋は用意しております。
以下、大道棋入門者方向けの解説となりますこと、初めにお断りしておきます。

実際に初心者を対象として大道棋への勧誘活動を行う際には、まず前座として7三銀型(図3)について少し考えて貰った上で、中合の原理について説明するようにしています。
説明ポイントは下記の通り。
まず、初手▲6三桂打を龍で取る手は7手で詰むことを確認して貰う。
従って初手▲6三桂打には▽8一玉となるが、これに対し▲8三香としてしまっては▽9二玉で不詰。
従って8四以遠に香を打つことになる。
これに対し何も合駒せず▽9二玉は、▲8三桂成以下、早詰。
そこで玉方の立場としては、8三に何かの駒を中合し攻方の香車を呼び込んだ上で▽9二玉にかわすことを考えたい。
香合、金合、飛合では▲8三香不成が成立してしまうので、他の駒(歩、桂、銀、角)が有力。
しかし、今度は▲8二銀成捨てが成立。
結局、図3の局面では中合によって詰むまでの手数を2手伸ばすことはできるものの、逃れには至らない。

以上を解説し、いよいよ本題(図2)の出番となります。
初手▲8三桂打は、一見、香車の使いどころが難しく、大概の初心者の方は▲6三桂打、▽8一玉、▲8四香と打ち、上記と同じ手順を踏襲して参ります。
しかしながらこれこそが誘い筋であり、▽8三金合(限定)が典型的ながら絶妙の凌ぎ筋となってしまい詰みません。
以下、▲8二金は▽同金以下逃れ、▲8三香不成も▽9二玉で逃れとなります。
そこで別の詰み筋が必要となりますが、実は▲8三桂打〜▲9一桂成という佳打がありました。
▽同玉に対し▲9三香〜▲9二香成で、金の横への利きを活用し▲8三桂成以下、詰みへと導きます。
玉方としても、この正解手順に対しては粘りようもありません。
本題は簡単すぎるきらいがございますが、一方で大道棋としての最低限の要素は含んでおり、入門用大道棋としては使い道があるのではと考えております。
以上、拙い解説におつきあい賜り、誠にありがとうございました。
(大西智之)
83桂打、81玉、91桂成、同玉、93香、81玉、92香成、同玉、
83桂成、81玉、82金(成桂) まで11手
それではみなさんの感想を。解答到着順です。
- 蛇塚の坂本さん:
- 桂打ちから端に移動させる手が、面白い。
- 山下誠さん:
- 初手、右から桂を打つと金の中合が待っているという仕掛け。
- 小山邦明さん:
- 8筋の香打に83金合の受けの妙手を知らないと奉納してしまいそう。
61龍は、初手63桂打から、83金の中合の時の71桂成に、同龍と取るための配置だと思いますが、飛や金の方が自然な感じがします。
63桂打、同龍の変化をあえて作ることで、より指しやすくしたのでしょうね。
実際の駒では初心者は龍と馬の区別がしにくいので飛の方がいいかも。
実は71桂成を同龍と取れなくても、84桂83金の連続中合で逃れるので61歩でもいいわけですが、入門用ということでシンプルにしたのでしょう。
- 大平さん:
- なんとかこれだけは解けました笑
面白かったです。
- 鳥本敦史さん:
- ヒント(?)通りの簡単大道棋。発展性はどうかな。
- 長谷繁蔵さん:
- 63桂打から入って一本取られた
- 市橋宗士さん:
- 初入選おめでとうございます。
この簡素な初形にして、十手台、思わず手を出してしまいました。
打っては成り捨てる、(連続の)捌きの手筋、リズミカルですね。
多分大丈夫だと思うんですが、なんせ「大道」、罠に嵌まっているかも。
(1番手は、このレベルにしてください)
大道棋は難解作の投稿が多いので、こういう入門用の問題は貴重ですね。
作家の皆さん投稿をよろしくお願いします。
- S.Kimuraさん:
- 10手台だったので,柿木将棋と詰将棋対戦をしました.
初手63桂打で同龍を期待しましたが,81玉と逃げられダメでした.
そこで,83桂打ですが,持駒が香1枚しかなく,82香だと戦力不足に.
そこで91桂成に気づき,後は簡単でした.
柿木将棋の詰将棋対戦は大道棋屋さんが相手をしてくれるみたいでいいですね。
- 占魚亭さん:
- これはいい入門作。機会があったら使ってみたいです。
- 高田明浩さん:
- 大道初心者向けの手順で良し。
- 詰将棋おやぢさん:
- 詰将棋の超初心者です。入門用を頑張って挑戦しました。
正解かどうかはわかりませんが初心者にはちょうど良い感じの難しさです。
これからは時々応募したいと思います。
- 池田俊哉さん:
- 91に誘った形を見れば一目なのに、初手63桂打にハマる。
普通に83飛合で詰まなかった
83飛合では同香から94飛で詰み。金合限定です。
- 時たま解き卵さん:
- 63桂打から入って一苦労。桂の重ね打は不利感があるが、83だと不利感が増大する。
- ハマGさん:
- 桂打即捨て、香打即捨て、痛快です
太平さん、詰将棋おやぢさん、時たま解き卵さんと、初解答が3名も。
ありがとうございます。
本作だけ解答の方も多く、入門用大道棋として大成功でした。 |