次ヘ
次ヘ
詰将棋おもちゃ箱ドキドキストリート
ドキドキ展示室 No.64 鳥本敦史さん
ドキドキストリート
ドキドキストリート

棋譜ファイル(柿木将棋kif形式)

出題時のコメント:

銀2類型 20手台


ドキドキ展示室No.64 鳥本敦史 81玉型の銀問題も代表的な類型で、約300題の問題があります。 本作のように6段目に歩が並んでいるのもよくある形です。 本作で普通とちょっと違うのは91の駒が香ではなく桂であること、そして55銀が配置されていることです。 91桂も55銀も銀2類型ではたまにある配置ですが、この組み合わせは本作が初めて。 さて、どんな手順が紡がれるのでしょうか。

銀2類型の詰め筋は82銀と54馬から始まることが多く、ほかにも71馬や92銀から始まる問題もあって、誘い手たっぷり。

初級者向けのメインの誘い手はこれ。
  82銀、92玉、73銀不成、93玉、82飛成まで
空き王手に52歩合で奉納。この順が正解になることはまずありません。

空き王手がだめなら両王手すれば、というのが次の筋。
  82銀、92玉、91銀成、93玉、75馬、84香合、92飛成まで
普通は84香合のところで84歩と突いて74角の利きを92に通すのが妙防です。
ところが本作は91桂なので、75馬のところで先に85桂、同角としておけば75馬に84歩でも92飛成まで。
これで詰みだ、と手を出すと、なんと91銀成を涼しい顔で同玉と取られて「アッ」。
そう、55銀のために64馬とできないのです。

74角が52に利いてるなら、54馬、63合とさせれば74角の利きを消せるんじゃ。
  54馬、63歩合、82銀、92玉、73銀不成、93玉、82飛成まで
歩合じゃ確かにこの順で詰み。 そこで大道棋屋さんは63銀合の妙防を繰り出してきます。

でも、銀合なら取って簡単では。
  54馬、63銀合、同馬、同角、82銀、92玉、81銀打まで
ところが、74にいた角が63に移動して81に利いて来てるんです。 だから、81銀打には同角

71馬と捨てるのがカッコイイ手。それから82銀と打てば92に逃げられる心配はないね。
  71馬、同玉、82銀、61玉、52飛成まで
これは74角の利きを見逃した初級者の読み。 当然同角で奉納。
  71馬、同玉、82銀、61玉、52桂(銀)成、同角、同飛成まで
74角が利いてても、52の利きはこっちの方が多いよね、という中級者の読み。
しかし、同角とは取ってくれず、72玉とかわされます。 53成桂(銀)とすると、またまた52歩合

なかなか手強いですね。 正解は63銀合を取って81銀打の筋にありました。 同角と取られても同銀と取り返して続くんですね。 同玉では63角なので93玉と逃げる一手。 91が香や歩の場合は同銀成として82飛成を狙うのが普通ですが、91が桂なので、81銀不成から92飛成といく筋が可能になっていることに注目。

  54馬、63銀合、同馬、同角、82銀、92玉、81銀打、同角
  同銀不成、93玉、92飛成、84玉、94龍、同玉、85角、93玉、

94龍と切ってしまうのが強手。 ここからなんと、くるくるが始まります。 なお85角に84玉は、すぐに94飛で2手短くなります。

  92飛、84玉、94飛成、73玉、74龍、82玉、72龍、93玉、
  92銀成、84玉、74(75)龍 まで27手

作者 「目新しい手は特にありませんが収束ちょっと楽しい。」

91桂+55銀の組み合わせで、82銀、92玉、91銀成、93玉、85桂の誘い手を見せたところはいいですね。 流石にドキ展の解答者は優秀で、この順の解答はありませんでした。

81角を取るところまでは良くある筋ですが、そこからは初めての展開で、楽しい手順でした。

それではみなさんの感想を。解答到着順です。

山下誠さん:
8一銀打が意表の攻め方で、この銀が最後までよく働きました。
蛇塚の坂本さん:
最後に銀と桂の活躍面白い。

74龍まで25手解。 16手目84玉と逃げて94飛、73玉、74飛、62玉、52桂成以下の解でしょうか。 惜しい。

キリギリスさん:
初手〜10手目まで必然で以下もあまり迷わず解けました。
S.Kimuraさん:
6段目の3枚の歩に玉を追い立てるという方針で,銀と角を清算したのは良かったものの,再び7筋から逃げられて,少し慌てました.
長谷繁蔵さん:
85角の変化に苦戦
小山邦明さん:
上部には歩が3枚並んでいるので安心して追いかけられる。
波多野賢太郎さん:
六段目の3枚の歩を見て、何となく5四馬の筋かなと思いました。 簡単に詰みそうでよく手が続き、紛れも多くて面白い型だと思いました。
金少桂さん:
素直な清算手順が意外と見えにくかった。飛車の回転のところ、回る方向を間違えると大失敗。
54馬63銀合に72銀が強烈かつきわどい紛れ。こちらの筋でも1局作れそう(前例はあるのでしょうか?)。

55銀を見て72銀の筋を考えるとは流石ですね。 作者が意識していたかはわかりませんが、54馬、63銀合、72銀、92玉、63銀成、82桂合で逃れという、マニア向けの誘い手?

54馬、63銀合、72銀の銀問題は過去1作だけ。 安江久男さんの初入選作品(詰パラ1969年9月)です。 72銀の新手に惑わされたのか誤解18名無解2名で正解わずか4名という結果に。 ただし、柿木将棋によると5手目63銀成のところ63銀不成の余詰筋があるようで、この筋も新作のネタになるかもしれませんね。

隅の老人Bさん:
初手とそれに応ずる63銀合が山。
口で言うのは易しいが、大道なら、これは見送り。
占魚亭さん:
飛車の動きがいい。
池田俊哉さん:
63銀合を逆用して81銀成と角を奪う。後半83歩を軸とした回転が趣向っぽくなりちょっと楽しい

ドキドキ展示室No.64 解答:11名 正解10名(下記)

  池田俊哉さん  S.Kimuraさん  キリギリスさん  金少桂さん  小山邦明さん
  隅の老人Bさん  占魚亭さん  長谷繁蔵さん  波多野賢太郎さん  山下誠さん

当選者は、全題の解答発表のあと、展示室で発表します。