大道詰将棋は詰将棋パラダイスの原点(詰将棋パラダイスは大道詰将棋を研究する紳棋会報が発展して創刊されました)。
昭和25年4月の創刊以来続いていた大道棋欄が、投稿作激減を理由に休校とアナウンスされたのは2008年6月のことでした
(大道棋教室が休校?を参照)。
このたび、うれしいことに、詰パラ2016年11月号から大道棋教室が再開することになりました。 そこで、9月の展示室では、お祝いに、その担当者あっちゃんこと鳥本敦史さんの大道棋個展を開催。
鳥本さんは2008年に休校になったときの大道棋教室の担当でもあり、詰パラやドキドキ展示室でたくさんの大道棋を発表しています。 鳥本さんの大道棋は、作者のブログ、あっちゃんずぶろぐ3で見ることができます。
個展では4つの類型の5題を出題。
大道棋を熟知している鳥本さんの作品だけあって、5題いずれも形が良く誘い手もあり、集客度は81、95、76、61、76と実戦でも十分出題できそうな問題ばかりです。
最初の作品は客寄せになし13類型の13手の問題。
なし13は私が創作した類型ですが、いろいろな詰筋があって発展性が高いので、ほかの人の改作も多く、30題以上の問題があります。
代表的な誘い手は84龍と切って、同玉に64飛または86飛。
簡単に詰みそうに見えますが、64飛には74角合、86飛にも85角合と絶妙の捨て合があります。
角を入手して大駒3枚ですから何とかなりそうですが、実はこれらは誘い手で、際どく詰みません。
客寄せ問題は短手数でいずれは詰まされることを想定して出題するわけですが、客が集まる前にすぐに詰まされてはいけません。
そのための手法としてよく使われるのが、メインの誘い手以外のところに詰手順を作ること。
本作でいえば、一番目に付く84龍切りが誘い手で、正解はもう一つの詰め筋、96歩にあります。
96歩、94玉、84龍、同歩、95歩、83玉、
96歩としてから84龍と切れば、同玉なら64飛でも85飛でも簡単なので、同歩の一手。
そこで更に95歩と突き出すのが味のいい手です。
75桂、92玉、74馬、82玉、92飛、71玉、83(63)桂不成 まで13手
作者 「なし13問題。この類型はおもちゃ箱の解答募集では出題されていないようなので入門用としてどうでしょうか?」
初手84龍の誘い手である程度稼いで客を集めたら、「ほかにも王手がありそう」とか96歩に誘導すれば、手なりで詰むので詰める人がでてきそう。
客寄せ問題にぴったりですね。
それではみなさんの感想を。解答到着順です。
- 市橋宗士さん:
- いきなり竜を取っても詰まないところが大道棋なんですよね。本当においしそうなのに。
一応詰んだのですが、盤に並べて確認したんですが自信がありません。
玉方の銀・桂・歩の配置の意味がよくわかっていないからです。
どう指しても詰みそうなんですが、意表の受けがあったりして実は不詰めなんて・・・ まあ、だから面白いんですが。
他作品も20手台とそんなに長くない手数ですが、いかんせん変化が多すぎます。
また解けたら応募します。
来月の解説・作者の意図をよく読んで鑑賞したいと思います。
81桂がないと74馬に81玉で詰みませんし、61銀が61歩などでは92飛で83桂成以下でも詰み。
76歩がないと84龍、同玉、74飛、85玉、75飛、86玉、96馬まで。
- 陽気なわらしべ長者さん:
- いい感じであっさりと気分良くそして気分爽快で解けました!
- 山下誠さん:
- まずは客寄せというところですか。
- 蛇塚の坂本さん:
- 最終8三桂不成とどちか迷いました。歩の威力発揮でした。
最終手は非限定、どちらでもOKです。
- キリギリスさん:
- 初手84竜でも詰みそうに見える。
- S.Kimuraさん:
- 初手龍取りから入り,何度考えても飛車打ちで簡単に詰むと思ったら,角合で逃れていることに気付いて,愕然としました.
- 小山邦明さん:
- 75桂ハネがあるので83玉の逃げは怖くない。
- 波多野賢太郎さん:
- この配置なら9六歩ですね。でも、すぐ龍を取っても詰みそうに見えるのがやっぱり良いですね。
- 金少桂さん:
- 手数の割に苦戦。
手数の短い問題は一番の誘い手(本類型なら初手84龍)は紛れにして、他のより見えにくい入り方にすると良い問題になりますね。
- 隅の老人Bさん:
- 64飛打、74角合! 4手で投了、ハイ、幾ら?
1手50円なら200円。
私が見たことがある大道棋屋さんは、川崎の高木さんは1回200円、京橋の黒田さんは1回300円と良心的でした。
1手いくらだったら、恐くて手が出せませんね。
- 攻めダルマンさん:
- 突き歩の感触よしです。
- 占魚亭さん:
- 桂の二段跳ね、お見事。
- 池田俊哉さん:
- 84龍同玉の場面で9筋の歩の位置が重要。初手で突いた歩を突き越して玉を下段に追いやる
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