オーソドックスな金問題。 ８９の桂がキーになる配置で、これをいつどのように活用するのかがポイントです。
とりあえず、定跡通り入ってみましょう。 金問題が初めての方は、大道棋類型辞典の金１問題の項をごらんください。
９６金、８４玉、８７香、８６飛合、８５金、同飛、同香、同玉、
ここで７７桂と跳ねることができますが、同香成でも７６玉でも続きそうにありません。 桂の活用は保留してもう少し定跡手順を続けましょう。
８６飛、７５玉、５６飛、８４玉、８７（８８）香、８５角合、同香、同玉、
８６馬、９６馬、８６飛などいろいろ手がある局面です。 本作では、ここが８９桂を活用するチャンス！
同香成なら、９６馬、７５玉（８４玉は８６飛、７５玉、５３角、６４合、８５馬まで）、９７角として、８４玉と逃げれば８６飛、７５玉、８５馬、６４玉、５６飛まで。
８６桂の捨合は同馬以下捕まります。 取れないとなれば、いかにも正解っぽいですね。
７７桂、８４玉、
６２角から７３でばらすのが良くある手段。 ６５桂で銀が取れるので何とかなりそうです。 ところが、６２角、７３歩合、同銀不成、同桂、同角成と攻めてみると、大道棋屋さん、すまして９３玉！ それなら、８５桂、９２玉、９３歩、８１玉、５１飛成で簡単と思いきや、「お客さん、二歩はいけませんね。」で奉納。
そうか、９８歩はこのためだったのか。
９３に逃げられないように、９３角と捨てて７３銀とするのが珍しい攻め方。 今度は銀を取ることができます。
９３角、同桂、７３銀不成、同玉、６５桂、７２玉、
６５桂に８４玉は７３銀、８２玉は６４馬があって簡単。 ７２玉が正解です。 以下は５２飛成と龍を作って、よくある攻め。 最後は大道棋らしくいろいろな詰め方がありますが、仕方ないところでしょう。
５２飛成、６２歩合、７３銀、８１玉、８２銀成、同玉、６２龍、７２飛合、
６４馬、８１玉、７２龍、同玉、７３馬、７１玉、７２歩、８１玉、９１飛 まで４１手
作者 「今回は初めての金問題の改作に挑戦してみました。比較的簡素な形なので類似作があるかもしれません。
改作のポイント
・89桂の２段活用
・93角が意外と盲点
問題点
・62角の筋を消すための98歩の配置
・35手目の61龍の余詰（作為に似た迂回手順）
・終盤５手から色々な詰手順あり
金問題の改作の感想
・誘手と作為が同じであるため複数の誘手を組み込めない
・金問題は基本の配置が大きいため簡素なままでの余詰の対策が難しい
・少し手を加えると想定外の詰みが発生したりする
集客度、動駒率の良い改作はなかなか難しそうです。」
金問題の改作は私も何作か作りましたが、新しい筋はいろいろ考えられるものの、形を広げないできれいにまとめるのは難しいですね。 本作は９８歩はやや苦しい配置ですが４筋に収まって集客度はまずまず。
普通に６２角では詰まないところなど、実戦価値もありそうです。
それでは解答者のみなさんの感想を。解答到着順です。
- 占魚亭さん：
- 桂を活用する手順が素晴らしいですね。
８九桂の形は何局かありますが、桂を活用するのは初めて見ました。
私の改作にも８９桂が二段跳ねする作品があります。
- 小山邦明さん：
- 77桂ハネに同香成の変化が面白かった。
収束はいろいろあって最善手が分かりませんでした。
- 池田俊哉さん：
- 65銀に狙いを定めた桂の二段跳び。ただ銀を取ってからがすっきりしないが、これで良いのかな...
- 長谷繁蔵さん： （ギブアップ）
- 収束８１桂を取って９７桂跳びと活用したが、８４玉（９５玉詰む）８６飛７５玉で失敗。９５玉は８５飛９６玉８８桂迄なんですが。・・・
８６馬、８４玉、６２角、７３歩、同角成、同桂、８５歩の筋でしょうか。 残念ながらこれも「惜しかったね」
- 隅の老人Ｂさん：
- 19手目、86飛と指して千日手もよう。棋将屋さん、何と言うかな？
何回でも繰り返せますね。一手いくらだったら大変かも。
- S.Kimuraさん：
- 13手目あたりから分からなくなって，柿木将棋に教えてもらいながら解きました．
93角は自力で気付くのは難しかったです．
最後に26手目の合駒が余ってしまい正解なのか不安です．
- 嵐田保夫さん：
- 堂々巡りし苦戦したが、１７手目７七桂が成立するのが解り活路を開いた。直後の９三角が意表を突いて印象に残る好手。
データベースで検索してみたら、「７７桂、８４玉、９３角」は全詰将棋を通して初めてでした。
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