大駒3枚対香3枚のおもしろい形。 岡村幸重さんの創作した類型で、秘手五百番の第31番〜第33番に収録されています。 原型は本作の63歩と77桂がない形(第33番)でしょうか。
この類型は、岡村さんが数題作成したのみで、本格的な改作は利波さんの今回の作品が初めてと思われます。 63歩、77桂の追加だけで、集客度は86と、かなり高い集客力を持つ初形。
初心者向きの誘い手は「86飛、92玉、94龍まで」しかありませんが、71龍や64角といった中上級向けの誘い手もあり、意外に奥が深い問題です。
1) 86飛、92玉、94龍まで?
--- 86飛、84桂合の中合があります。
84歩合なら、同飛、92玉、93歩、同玉、83飛成までで簡単なのですが。
2) 71龍、同玉、53角成、82玉、89香、83歩合、71馬、92玉、96飛まで?
--- 89香に92玉や93玉とかわして逃れ。
3) 64角、同歩、71龍以下ちょっと長いけれども詰み?
- Aさん:
- 82龍まで21手詰
まさか角で王手とは。
不動駒なしで機能性十分の大道棋。
--- きれいに詰む順があるのですが、64角に92玉と逃げて、96飛、93歩合、91角成、同玉、93飛成、92桂合で逃れ
では正解は? 最初の86飛の順でした。
86飛、84桂合、同飛、92玉、94飛、82玉、
84桂合に同龍もちょっと魅力的。 同龍、72玉、81龍、62玉、54桂とすれば詰みそうです。
しかし81龍のとき61玉と逃げられてアウト。 73桂、52玉、56飛と追ってもつかまりません。
さて、84飛と94飛を行ったり来たりは千日手。 なんとか打開しなければなりません。
原型の問題では、ここで91飛成、同玉、95香、93歩合といった流れになるのですが、本作では63歩のため64角ができないので、この順は逃れ。 それに代わって作者が用意した手順は
93角(飛)成、同香、同飛(角)成、同玉、
93での清算でした。
85桂打、82玉、83香、91玉、81香成、同玉、
83龍、82金(飛)合、93桂、91玉、92香、同金(飛)、
81龍(桂成)まで23手
ここで85桂打とできるのが77桂配置の効果で、以下はおなじみの形で収束します。
- 作者:
- 最近荒谷光一氏の大道棋実戦の話しを読んだのですが、青森では余り有名でないパターンの作品も出題されていたみたいで、そのネタを少し改作しています。紛れもあって実戦に使えると思います。
マイナーな類型ですが、形よく改作でき、64角の誘い手も増えているので、元の図より実戦価値が高そうです。
それでは解答者のみなさんの感想を。解答到着順です。
- 大森常一さん:
- 中合いが一つ入るだけで、こんなに手数が伸びるとは。
- 長谷繁蔵さん:
- 85桂跳びじゃないよ
- 凡骨生さん:
- 普通作のようですが84桂中合に大道棋の片鱗がみられる。
- 躑躅さん:
- 手なりで詰む感じ。
- しろねこさん:
- これも難しい配置。
作るのに大変苦労した様子。
- u-makuさん:
- 面白い配置に桂の中合まで飛び出してさすがうまいです。
- 隅の老人Bさん:
- 簡単に詰んで、おかしい?、中合発見。
香の単打、後の纏めも巧かった。
ただし、ドッキリ感は無かったね。
うっかり84香と打つと 92玉で「あれっ」
- 大貧民さん:
- 七手目は手順前後というよりも余詰では? 実戦ならかまわないと思いますが、出題には不向きと思う。
ドキドキ展示室は大道詰将棋として出題しているので、本作程度の手順前後や非限定は問題ありません。
もっとも駒交換の手順前後は普通の詰将棋でも余詰というよりキズ扱いですね。
- 嵐田保夫さん:
- 大道棋風な味がいい。
- 広瀬稔さん:
- 86飛は、92玉で詰まないと思ったけどよく見ると一手詰めですね。
- S.Kimuraさん:
- 最初,11手目に85桂と跳ねていたため最後に桂馬が余って悩みました.
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