大道詰将棋(大道棋)は、形よく、簡単に詰みそうな手順があるのに、受方の妙防で際どく逃れるのが魅力。
簡単に解かれては商売にならないので、正解手順は普通難しいのですが、本作のように短手数の問題もよくあります。 大道棋屋は、最初にこのような問題を出してお客さんに解かせ、短手数で詰むことを見せつけます。
そして、それからおもむろに(一見簡単そうな)難しい問題を出してくるわけです。
大道棋は持駒により、香歩問題、銀問題、金問題などと呼ばれます。 本作は銀問題。 銀問題もいろいろな類型があり、本作は81玉型の銀問題の一つ。
大道棋類型辞典では銀2の類型で、誘い手を解説しています。
この型の基本的な誘い手は、82銀、92玉、73銀不成、93玉、82飛成まで。
・・・ 73銀不成のとき52角と飛車を抜かれてアウト。74角の利きをうっかりしやすい。
それでは、82銀、92玉、91銀成ではどうか。 同玉なら64馬で簡単、93玉なら75馬から92飛成。
・・・ 75馬のとき84歩上の移動合で逃れ。 74角が92に利いてきます。
飛を取られないように、54馬、63合、82銀、92玉、73銀不成とすれば。
・・・ 54馬に63銀合で、82銀、92玉、73銀不成、52銀でダメ。
63銀合なら、取って82銀、92玉、81銀打まで?
・・・ 63銀合、同馬、同角、82銀、92玉、81銀打、同角! 74の角が63に移動して81に利いてきます。
81同角でも、同銀成と取って、93玉に75角、84合、82飛成まで?
・・・ 今度は75角に84龍と移動合で逃れ。
いやはや、簡潔な形なのに、たくさん誘い手がありますね。
さて正解は、82銀でも54馬でもなく91歩成。 同龍で82銀が打てなくなって困るように見えますが、ここで71馬の妙手を見つけられれば解決。
91歩成、同龍、71馬、同玉、73香、61玉、72飛成、51玉、42銀 まで9手
本作は客寄せ問題で短手数でしたが、この類型の問題は約250題もあり、一筋縄ではいかないことが多いのです。 ちなみに受けも難しい問題が多く、ポッと出の大道棋屋さんはよく間違えて詰められてしまったとか。
それでは解答者のみなさんの感想を。解答到着順です。
- 山崎健さん:
- なつかしの「名作詰将棋」表紙作と2枚しか違わないのに、まったく別手順。これぞ大道棋のだいご味。すばらしいです。
81玉型銀問題の基本形ですね(将棋タウンの短編傑作詰将棋集第4問を参照)。 僅かな配置の差で手順がガラリと変わるのも大道棋の魅力。 双子問題コレクション(作品一覧)で楽しめます。
- 中澤照夫さん:
- 71馬が英断の1手。
- 渡辺さん:
- この形から一桁手数で4筋の手が出るとは!
この意外な詰み方はいかにも大道棋ですね。
- 石川和彦さん:
- 初手54馬or82銀から75馬の大道棋的紛れがあるが、作意は至って普通作品。
- 長谷繁蔵さん:
- 意外な展開
- しろねこさん:
- 初手が分かれば後は簡単です。
9一歩成と香を取ることが大事です。
- やまかんさん:
- 気持ちいい馬の飛び込み。
- Daiki596さん:
- 7一馬になかなか気づかず、手こずりました。
- 池田俊哉さん:
- 9一に龍を呼んで守備が固まったかに見えたところ、7一馬から7三香で一気に決める
- 増田智彬さん:
- 54馬は63銀でどうしてもダメ。82銀〜91銀成〜75馬は84歩であれ?
ようやっと91歩成と指して詰ますことが出来ました。2回引っ掛かってしまいました(笑)
- たくぼんさん:
- 逆王手を心配しなくていいのは気楽です。
- 隅の老人Bさん:
- 初手、いろいろ考えて最後に91歩成。
9手じゃ、あんまりドキドキしない。
- タクさん:
- あまり大道棋は解いたことがないのですが、手数が短いので挑戦しました。
開き王手に誘われると苦戦しますね。
- 占魚亭さん:
- 初手8二銀の筋にはまりました。
- S.Kimuraさん:
- 一桁手数なら上に出てこないだろうと考え,71馬を中心に考えたら解けました.
ドキ展は数が少ないのでもっと出題されると嬉しいですね
今月の展示室はドキドキ大道詰将棋特集。 たっぷりお楽しみください。
- 嵐田保夫さん:
- 先入観を突いていて一風面白い。9手詰でも5四馬とかにパッと目が行ってしまう。
- 諏訪冬葉さん:
- 1桁のドキドキ、これはやるしかない
歩の意味付けがこれ(香取り)くらいしか浮かばなかったので一本道でした
|