おもちゃ箱やスマホ詰パラで、各種煙詰を開拓している本間晨一さん、松本浩一(柏木)さん。
    本作はそのお二人の協力により生まれました。 
     
    歩なし煙の短手数記録を無防備で実現。
    37手は理論上の最短手数です。 
     
    お二人より解説もいただきました。 
    
     
    作品解説  本間晨一 
     
    今年1月21日 おもちゃ箱の掲示板に私(本間晨一)が、
    「三井の晩鐘」を投稿しました(右図参照)。
    「三井の晩鐘」は、伊藤看寿の煙詰の収束手順を応用し、くるくる風に桂成捨て、金捨て、龍昇りの繰り返しで
    金桂香を煙らせた作品です。
    これは、飛角金桂香の無防備煙詰で、理論的最短手数29手詰の記録作です。 
     
    詰手順:  
    ▲8八龍    △6七玉    ▲6六角成  △同 玉    ▲7七龍    △6五玉  
    ▲5五金    △同 玉    ▲6六龍    △5四玉    ▲5三桂成  △同 玉  
    ▲4四金    △同 玉    ▲5五龍    △4三玉    ▲4二桂成  △同 玉  
    ▲3三金    △同 玉    ▲4四龍    △3二玉    ▲3一桂成  △同 玉  
    ▲2二金    △同 玉    ▲3三龍    △1二玉    ▲2二龍 
    まで29手詰 
     
    「三井の晩鐘」棋譜ファイル(柿木将棋kif形式) 
     
    「三井の晩鐘」に銀を追加して 飛角金銀桂香煙詰(歩なし煙詰)が作図できないか、いろいろ考えてみましたが、
    かなり困難と感じ、時間的制約もあり、掲示板に発表することができませんでした。
    掲示板のあとがきでは、
    「・・・作品をご覧になった皆様には、煙詰の未開拓の分野への挑戦や、
    もっと素晴らしい作品を創作されることを願っています。」
    と書きました。 
     
    これに、早速応えてくださったのが松本浩一さんです。
    「三井の晩鐘」をベースに改作を試みました。
    私が困難と感じていた銀を試行錯誤の末に嵌め込んで、歩なし煙詰に発展させることに成功しました。
    小駒の成駒なしの無防備できれいな初形になっています。
    また従来の歩なし煙詰の短手数の記録を2手更新した理論的最短手数37手詰の記録作でもあります。 
     
    ここで松本浩一さんご自身による作品解説をご紹介します。 
     
    松本浩一さんの作品解説 
    先日、本間晨一様がおもちゃ箱掲示板に「三井の晩鐘」を発表されました。
    無防備銀歩無し煙をくるくる手順で最短手順として表現した傑作で、
    少し前に無防備歩無し煙の最短手順完成を目指してはこんがらがって数度挫折した後に諦めていた小生は、
    金桂香をあっという間に且つ平易に消して仕舞う手順に暫し呆然となりました。 
     
    翌日、我に返りひょっとすると傍目八目、この残りの面積なら銀を足せるかも知れぬと考え、途中からの逆算を模索して見ました。 
     
    香-成桂-金の消去手順は、「成桂-金」を「金-銀」に置換するともう半行程増やせました。
    残りの銀を始末出来るか模索して見た所、偶然も手伝い旨く行きました。
     
     
    飛角桂が残っており悩みましたが、龍を端に追遣って後に拙作「月日星」での桂消去を反転して組込める事に気付き、
    何とか様になりました。
    否、なって仕舞いましたとでも申しましょうか。 
     
    (松本浩一さんの作品解説  終り) 
     
    詰手順は、全体的に容易で 難しい変化や紛れはありません。
    序に消去される龍、馬、桂の配置は、続く銀の消去を可能にする舞台づくりのための苦心の配置になっています。
    前半部分のハイライトは銀の連続消去ですが、6三金の消去をからめ、松本浩一さんの工夫が生かされています。
    銀の消去後は、後半部分に無理なく繋がります。 
     
    後半部分の主体は「三井の晩鐘」と同様に、くるくる風に桂成捨て、金捨て、龍昇りの繰り返しで 金桂香を煙らせます。
    この煙手順は、軽快で楽しんでいただけるものと思います。
    最終手から2手目の1二玉は、2一玉とする方がおられるかもしれませんが、
    煙詰ということで好意的に1二玉にしていただけると思っています。 
     
    日本三名鐘の一つで近江八景の一つでもある「三井の晩鐘」の三井寺には、もう一つ「弁慶の引摺鐘」があります。
    その鐘は、昔弁慶が剛力で三井寺から比叡山延暦寺へ引摺上げたという伝説で有名です。
    今回飛角金桂香煙詰「三井の晩鐘」から、さらに高みの飛角金銀桂香煙詰(歩なし煙詰)に引き上げたことから、
    命名は「弁慶の引摺鐘」としました。 
     
    最後になりますが、おもちゃ箱の掲示板に「三井の晩鐘」発表したことから「弁慶の引摺鐘」が誕生しました。
    まるでひょうたんから駒が出たようなものです。
    今まで面識が無かった者同士でも、このような詰将棋のコラボレーションができるのだという事例になりました。
    貴重な交流の場(おもちゃ箱掲示板)を提供していただきましたTETSUさんに感謝申し上げます。 
     
    以上 
     
    本間さん、松本さん、解説ありがとうございました。 
     
    それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。 
    
      - 山下誠さん:
      
 - 歩なし全駒煙の短手数記録?手順はくるくる風で楽しい。
    
  
    
      - 長谷繁蔵さん:
      
 - 易しかった。16手目65玉で一瞬ドキッと・・・。
    
  
    16手目65玉は66銀以下。 
    
      - 松本浩一さん:
      
 - 本間様には無理な御願をした上に大分御手間を掛けさせて仕舞いました。
      改めて御礼申上げます。
 
      流れる様に駒が消えて行く、強引な接木をする前の「三井の晩鐘」も是非御堪能下さい。  
    
      - おかもとさん:
      
 - 無防備歩なし煙の最短記録ですね。
      金桂香のブロックがきれいに消えて楽しかったです。
    
  
    
      - 占魚亭さん:
      
 - 66銀からの捌きが楽しかったです。
    
  
    
      - S.Kimuraさん:
      
 - 引摺鐘ということなので,弁慶が玉で,引き摺られた鐘は龍でしょうかね.
 
      並みいる敵をすべて排除して,目的地にたどり着いたようです. 
      ただ,引き摺った後に,弁慶は鐘を谷底へ投げ捨てたようですが,この後,玉は龍を99に投げ捨てるのですかね.
      
    
      - Pathfinderさん:
      
 - 最短手数でこの条件、見事です。
    
  
    
      - 小山邦明さん:
      
 - 最初の4手がうまく入った「歩以外の全駒使用の煙詰」の短手数記録。
 
      龍で斜めに追うには、銀金で斜めの筋に玉を呼び寄せないといけないという事ですね。
      
    
      - ハマGさん:
      
 - 歩なし煙詰ですね。理論最小値制覇でしょう。
    
  
    
      - 池田俊哉さん:
      
 - 歩なし無防備けむりの最短手数?
      斜め追いの趣向は良いが、12香が12玉を限定しているとはいえ、取られるだけ?なのは少し残念
    
  
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