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詰将棋おもちゃ箱記録に挑戦!

記録展示室 No.103 金少桂さん

記録に挑戦!
記録に挑戦!
棋譜ファイル(柿木将棋kif形式)
出題時のコメント:
・・・の長手数記録 60手台

記録展示室No.103 金少桂

解き始めるとすぐに見当が付くと思いますが、 本作は全着手香の長手数記録作品(63手)です。

この種の手順系の記録作品は、以前はほとんど意識されてなく、創作する人もいませんでした。 2001年におもちゃ箱が開設し、 記録に挑戦!コーナーができました。 ここで全着手歩から全着手玉まで11作の長手数記録を募集し、 一挙に特別出題したのが2001年10月のこと。 全着手xの記録作の歴史はこのとき始まったといえるでしょう。

これまでの全着手香の長手数記録作は、このとき発表された猫田いわしさんの51手。 二つの筋で香打香合を繰り返す手順は TETSUのおもちゃ箱No.10が元ネタです。 玉が二段目から八段目まで二つの筋を移動する作品で、ほぼ限界と思われたのか、 14年以上これを更新する作品は出現しませんでした。

金少桂さんは「一段目スタートにすれば手数が伸ばせる」という発想から創作し、 なんと12手も更新することに成功しました。

作者 「現在の全着手香の記録作は玉が二段目スタートですが、 一段目スタートにすれば手数が伸ばせるなと思っていました。 一段目スタートの場合、香の成生限定(逃げ方が変わるので限定しないと非限定というより余詰寄りになる) が課題だったのですが、三段目中合を発見したことで解決でき、 しかも二段目に呼び出すのに6手かかるようになったので、思っていたよりもさらに手数が伸ばせました。」

具体的に、どのように手数を伸ばしたのか、手順を見ていきましょう。 初形で全駒使用で、受方の持駒はないことにご注意ください。

  41成、同玉、51成、同玉、
  5953香合、同不成、42玉、52成、同玉、
  5954香合、同61玉

香2枚を成って、59香の遠打。 59以外から打ったのでは単に6筋に逃げられて、香打香合で迫っても途中で5筋の香を取られて詰みません。 これに対し、52香合は同香成同玉で2手短くなるので53香の中合が正解。 8手目42玉は41玉でも同じ。 41玉の場合、43香42香合同香成同玉とする迂回手順も成立します。 これは作品のキズなので67手の解答も正解です。 11手目再度の59香に対しても54香の中合。 ここ53香合では同香成で61に逃げるタイミングがなくなり、2手短くなります。

  6463香合、同不成、72玉、62成、同玉、
  64、63香合、同成、同玉、

この2回の香打ちは5筋に逃げられないので、69から打たなくてもOK。 63香の中合で2手伸ばすのも先ほどと同様です。 53、54、63のいずれかの中合の見落としか、61手の解答もかなりあり、これは残念ながら不正解です。

  69、64香合、同、54玉、59、55香合、同、64玉、

このあたりからは逃げ方がいろいろありますが、 最終手59香または69香まで63手になるように逃げればいずれも正解です。

  69、65香合、同、55玉、59、56香合、同、65玉、
  69、66香合、同、56玉、59、57香合、同、66玉、
  69、67香合、同、57玉、59、58香合、同、67玉、
  69、68香合、同、58玉、59、68玉、69 まで63手

途中からはこれまでの記録作と同様になるとはいえ、序盤の中合3回で12手も更新したのはお見事でした。

2001年10月特別出題の11作は、これで 全着手と金全着手馬 の2作を除き記録が更新されたことになります。

それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。

長谷繁蔵さん:
香対香合。三筋は成れるのでややこしかった
逃げ方間違えているかも。半分ギブアップ
61手になったので答書く。自信なし。
山下誠さん:
事実上の持ち駒制限の配置で、香車が大活躍する。 双方槍を手にした肉弾戦を堪能した。
占魚亭さん:
凄い! これは素晴らしい手順ですね!
おかもとさん:
この作品は、柿木将棋9では解けなかったけど、 GPSfish+将棋所が解いてくれたので、たぶんこれでいいんだろうと。 この序は難しいですね。

合駒と変同が多いので柿木将棋は苦手なのかも。

h&iさん:
香打香合を繰り返しながら、王様が徐々に進んでゆく様は、楽しいの一言。 (最終手は69香迄と思いますが、序盤の玉の逃げ方が複雑で手数は自信ありません。)
S.Kimuraさん:
柿木将棋に解いてもらって,全手順香車であることは分かったのですが, どうしてこのような手順になるのか,全く理解できませんでした. 解説を楽しみにしています.
小林巧さん:
粋狂なる詰棋人が創りたる薫りたつ享宴
酔狂なる詰め人、此れに戯れ遊ぶ。
めくりめく香の応酬、この饗宴に酔うべし。
隅の老人Bさん:
この記録も判断が出来ます。でも、この趣向も始めて解きました。
波多野賢太郎さん:
これは自信ありません。 玉方の最善が分からず、最初は59手になってしまいました。 香の中合で2手延びるのかなと…。ここまで香の着手が続くのは本当に凄いですね。
池田俊哉さん:
攻方全手順香の最長手数。 59-69香の二枚並べの詰めあがりに向けて、玉が如何にして上がらずに済ませるかを考える問題。 パズルチックな雰囲気と言ってもあまり正解の自信はない...
小山邦明さん:
玉の動きがややこしくて自信なし。
嵐田保夫さん:
どう見ても詰みそうもないが、よく見ると双方持駒無し。 となれば歩のない将棋は負け将棋、香打香合の筋しかないが、この応接が一筋縄ではない。 手数合ってると思うが(苦笑)。
ハマGさん:
攻方全着手香。手数がちょっと自信ありません。

長谷さん、波多野さん、小山さん、嵐田さん、ハマGさんは61手解。 惜しい。


記録展示室No.103 解答:14名 正解9名(下記)

  池田俊哉さん  S.Kimuraさん  h&iさん  おかもとさん
  キリギリスさん  小林巧さん  隅の老人Bさん  占魚亭さん
  山下誠さん

当選者は、展示室で発表しています。