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詰将棋おもちゃ箱記録に挑戦!

記録展示室 No.99 詰ガエルさん

記録に挑戦!
記録に挑戦!
棋譜ファイル(柿木将棋kif形式)
出題時のコメント:
・・・の長手数記録 10手台

記録展示室No.99 詰ガエル

初手は54銀成しか王手がなく、同玉は63銀成、65玉、64飛まで簡単なので同銀の一手。 次も47銀を動かして空き王手するしかありません。 この辺で勘のいい方はピンと来たと思います。 そう、本作は全手順銀の長手数記録作品(11手)です。 これまでの記録は金少桂さんの9手。 本作はそれを2手更新しました。

  54成、同、56、47合、
  45、同、63不成、54合、
  同成、同、45 まで11手

全手順系の長手数記録は手順の制約が非常に大きいため、妙手を入れる余地があまりありません。 そのため、解くのは難しくないことが多く、本作も受方の持駒が歩しかないことに気づけば、 そう悩まずに解けたのではないかと思います。

しかし、全手順系は限界まで駒繰りを工夫する必要があるため、創作は2手更新でもとても大変、 作者の腕の見せ所です。

作者 「この手順は理論的な考察によって見つけました。 配置には多少の自由があったので、変化紛れが少なくなるように仕上げてみました。」

記録を多くの人に味わってもらうには、変化紛れが少なくなるように仕上げたというのは納得できる方向性です。 それにしても、理論的な考察によって見つけたというのはとても興味深い。 ほかの全手順系記録作を狙う人にも参考になると思ったので、具体的にどのような考察をしたのか、 作者に伺ってみました。


全着手銀の11手詰は、次のように考えて作りました。

まず次の事実に注目しました。

「攻方の手によって銀の枚数(盤上もしくは攻方の持駒にある銀の枚数)は変化しない。
 受方の手によって銀の枚数は次のように変化する。
  ・(−1) 攻方の直接王手を同銀と取る手。
  ・(  0) 攻方の開き王手に対する打合以外の応手
  ・(+1) 攻方の開き王手に対する打合


最終局面における銀の枚数は必ず2枚以上になるので、 11手詰を作るには、次の条件のうちいずれかは絶対に満たされる必要があることが分かります。

 (A)攻方の開き王手に対する打合以外の応手が3回以上。
 (B)攻方の開き王手に対する打合以外の応手と、攻方の開き王手に対する打合がそれぞれ1回以上。
 (C)攻方の開き王手に対する打合が2回以上。

(A)(B)については、あまりうまく行かなかったので、今回は(C)で作りました。 この場合、開き王手の線駒が詰上がりに生き残ることを考え、初形銀4枚、詰め上がり銀3枚で作ることにしました。
初形銀4枚で2手目銀合はあり得ないので、打合(銀合)をするタイミングの候補は 4手目、6手目、8手目、10手目の4ヶ所があります。 このうち2回打合をするのでパターンの数は全部で6(=C)パターンです。

このぐらいまで考察を深めておけば、パターンは殆ど限られてくるので、 例えば本局のような図を得るのは難しくないと思います。

理論的にというのは少々大げさかもしれないですが、 本作の手順は、当てずっぽうや山勘で見つけた訳ではないということを強調しておきたいと思ったので、 「理論的な考察によって見つけました」とコメントしました。


これまでの記録は、 「銀移動、同銀、銀移動、同銀、銀移動空き王手、銀合、同銀、同銀、銀打まで9手」というパターン。 本作のパターンは、2手目のあとに銀移動空き王手、銀合の2手が挿入されていて、 これにより2手更新に成功しました。

上記の考察の有効性は、何より実際に本作で記録を更新したことで実証されています。 このような考察を深めていけば、いつの日にか各記録の理論的な最長手数も解明されるのかもしれませんね。

それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。

蛇塚の坂本さん:
銀と銀の攻防でこれ程までに極められるとは素晴らしいと思いました。
長谷繁蔵さん:
銀の応酬面白い
山下誠さん:
銀以外の着手を防ぐために細心の注意が払われていることに感心。 その結果、凄い初形が出現した。
占魚亭さん:
銀には銀で対抗。詰上りで45・47地点の銀の所属が逆転しているのが面白い所。
おかもとさん:
だいぶ無理をしたような初形だが、記録更新はご立派。
h&iさん:
玉方銀の動きが、扉を開け閉めしている様でユーモラスに感じました。
難解そうな初形でしたが、解いて良かったです。

初解答ありがとうございます。 すごい形でしたが、楽しんでいただけたようでよかった。

S.Kimuraさん:
逆王手に気を付ければ,簡単でした.

47銀合を同香とパクつくと逆王手が・・・

攻めダルマンさん:
苦しい配置なれどうまい。
小林巧さん:
銀尽くし。苦吟のギンではなく、吟遊のギンですね。
金少桂さん:
この系統の記録は8年前に私が初めて詰将棋を投稿したときのものなので懐かしくなりました。

最初は7手でしたね。 それが9手になって、ついに11手に。

隅の老人Bさん:
何の記録だろうな? これは判り易い。
波多野賢太郎さん:
単純な銀交換でなく、開き王手に銀合を入れて、これだけ銀の手が続くのが凄いと思いました。
池田俊哉さん:
全手順「銀」の最長手数か。成、合、重ね打、生と勢揃い
小山邦明さん:
銀の中合も入ってすばらしい。

飛車が利いているので、中合とはいわないかな。

Pathfinderさん:
全手順銀に驚き。銀合回数を増やすだけでなく、玉方銀の往復運動が趣向的で作品としても面白いと感じました。

記録を極めると趣向的になる?

嵐田保夫さん:
歩の利かない将棋は負け将棋。
ハマGさん:
全手順銀の最長手数記録、2手更新

記録展示室No.99 解答:18名 全員正解(下記)

  嵐田保夫さん  池田俊哉さん  S.Kimuraさん  h&iさん
  おかもとさん  キリギリスさん  金少桂さん  小林巧さん
  小山邦明さん  隅の老人Bさん  攻めダルマンさん  占魚亭さん
  Pathfinderさん  長谷繁蔵さん  波多野賢太郎さん  ハマGさん
  蛇塚の坂本さん  山下誠さん

当選者は、全題の解答発表のあと、展示室で発表します。