初形はちょっとごちゃごちゃして、何の趣向か分かりにくいですね。
舞台装置ができあがった10手目の局面を見てみましょう。
初形から、27龍、25玉、14銀不成、34玉、23銀引不成、45玉、56銀、54玉、65銀引、43玉と進んだ局面です。
舞台装置が完成するまでは逃げ方がいくつかあります。
2手目45玉は6手目に短縮して4手早い
6手目43玉は44歩と金が取れるので早い
この局面まで来ると、趣向の構造が見えてきます。
- 銀と龍を黄色の線に動かすことで、玉を青い線にそって動かすことができる。
- 94龍が龍ノコで近づくのが目的。
- 龍が1つ動くごとに玉を青線で移動させなければならない。
つまり本作は、1つ動くごとに銀知恵の輪風の玉移動を伴う龍ノコなのです。
ところで、この図で線がすべて斜めなのに気がつかれたでしょうか。
そう、本作は単におもしろい趣向作というだけではなく、全手順斜め移動の長手数記録作品(67手)でもあるのです。
旧記録作品(吉田京平さん57手)も龍ノコを利用していましたが、
本作では龍ノコの1サイクルを大幅に長くすることにより、全体としても10手更新することに成功しました。
さてそれでは手順を進めてみましょう。
27龍、25玉、14銀不成、34玉、23銀引不成、45玉、
56銀、54玉、65銀引、43玉、
32銀不成、34玉、23銀行不成、25玉、16龍、36玉、
47銀、45玉、56銀引、54玉、93金、64角、
65銀、45玉、56銀行、36玉、27龍、25玉、
14銀不成、34玉、23銀引不成、43玉、83龍、53角、
32銀不成、34玉、23銀行不成、25玉、16龍、36玉、
47銀、45玉、56銀引、54玉、74龍、64角、
65銀、45玉、56銀行、36玉、27龍、25玉、
14銀不成、34玉、23銀引不成、43玉、63龍、53角、
32銀不成、34玉、23銀行不成、25玉、16龍、36玉、
47銀、45玉、56銀引 まで67手
- 作者:
- 竜ノコ1サイクルの手数を伸ばせば、さらに記録更新の可能性があるのではないかと思いました。
そこで、上下横の3通りの竜ノコを試作してみましたが、横型の竜ノコの場合、
本作の84金・91香の配置が可能なので、最も手数が伸びると思います。
45歩の配置もちょっと工夫したつもりです。
龍ノコ×銀龍送りに更に序で手数を稼いで、記録更新。
記録作ということを抜きにしても趣向詰として楽しめる作品でした。
それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。
- 大森常一さん:
- 何周したかわかりません。玉とともに目も回りました。
- 長谷繁蔵さん:
- 43玉に44歩の変化で苦戦
44歩、同玉、54金、45玉、56銀、54玉、65銀引、43玉、32銀不成、44玉、93金、64金合、同龍以下。
- 凡骨生さん:
- 楽しい銀繰りの間にミニ龍鋸やソッポ金を織り込んだ作。
- 躑躅さん:
- とても楽しい作品でした。
全手順斜め移動の記録作でしょうか。
- 中澤照夫さん:
- 銀鎖で玉を追いながら龍鋸を近づける。
記録は何か?
手順の記録は形に見えないので分かりにくいですね。
- しろねこさん:
- 94竜の活躍で詰む。
玉を追いかける方法。
- 隅の老人Bさん:
- 67手の長丁場で一度も捨駒がない。
詰将棋で捨駒がないのは珍しい?
一般的には珍しいけど、くるくるではよくあるような。
- 利波さん:
- 何の記録作か解りませんが、楽しい趣向詰でした。
二手目45玉として63手で詰めるところでした、危ない危ない。
- 嵐田保夫さん:
- 必然手の連続だが、最長応手の選択に目が回る。
- 広瀬稔さん:
- 予想外の竜ノコで楽しい。よく見るとすべて斜め移動。
- 鈴木康夫さん:
- 竜鋸と銀送りのみごとな融合。菱形の玉の軌跡が美しい。
- S.Kimuraさん:
- 龍鋸になるとは思いませんでした.
初形では龍ノコが全く見えないので、意外性十分。
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