「竹生島」(551手)は黒川一郎さんの長手数作品。
まだ図巧百番「寿」(611手)が最長手数の作品だったころ、それに挑戦した作品です。
その特徴はとてもシンプルなこと。
「寿」が龍追いにはがし趣向と持駒変換を組み合わせた構成なのに対して、
「竹生島」は龍追いしながら置いてある駒を順に取っていくだけ。
それだけで「寿」に迫る手数を実現したのは、龍追いのコースが盤面全体を使い、とても長いことが大きな要因です。
本作は、「竹生島」の優秀な龍追いコースを利用して、
攻方龍の連続移動回数の記録を狙ったものです。
また、同時に、受方駒取りなしの長手数記録にもなっています。
「竹生島」では折り返しで毎回歩打が入るのですが、本作はそこを工夫して龍移動のみで折り返す構成にしています。
左下にある桂と成桂を順番に取って行き、桂が4枚入手できたところで収束に入る、
「竹生島」と同様にとてもシンプルな構成になっています。
初手から龍追いが始まります。
94龍、82玉、92龍、71玉、81龍、62玉、61龍、53玉、
63龍、42玉、43龍、31玉、41龍、22玉、11龍、32玉、 (折り返し)
21龍、42玉、41龍、53玉、43龍、62玉、63龍、71玉、
61龍、82玉、81龍、93玉、92龍、84玉、94龍、75玉、
85龍、66玉、76龍、57玉、67龍、48玉、58龍、37玉、
28龍、47玉、 (折り返し)
38龍、57玉、58龍、66玉、67龍、75玉、76龍、84玉、
85龍、93玉、
これでちょうど1往復して戻ってきました。
2回目: 94龍のところで95龍と95桂を取る
3回目: 94龍のところで96龍と96桂を取る
4回目: 76龍のところで77龍、84玉、88龍、93玉、97龍
と88成桂を取る
5回目: 67龍のところで68龍、75玉、79龍、84玉、88龍、
93玉、97龍と79成桂を取る
6回目: 28龍のところで28金と変化して収束に入る(下記)
28金、26玉、18桂、35玉、27桂、34玉、26桂打、25玉、
17桂、16玉、35桂 まで259手
- 作者:
- 攻方龍の連続移動の記録があいてるようなので作ってみました。
受方駒取りなしの記録にもなりそうです。
攻方龍の連続移動:124回
受方駒取りなし:259手
これまで展示室で発表した作品が
3作も看寿賞候補に上り、
「記録第一義でない創作も見せて欲しい」
「内容重視で作ったものをぜひ見せて欲しい」
「次は本当のオリジナルな作品を期待したい」
と選考委員から期待されている山崎さん。
看寿賞にふさわしいような重厚な作品を求められているようですが、山崎さんの持ち味は、
くるくるでも出題できそうなシンプルな作品で高級なテーマを鑑賞させるところにあると思うので、
その路線でどんどん創作されると良いと思います。
その中からいずれは本当にオリジナルな構想も生まれてくるのではないでしょうか。
それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。
- 凡骨生さん:
- 竜追いで桂剥がし収束の四桂打ちが楽しい
- 稲葉上さん:
- 無限往復運動の不安・・・53手目に C=(´。`;)ホッ
龍の動きを限定するための桂の配置がうまい、収束もいい。
- 中澤照夫さん:
- まず竹生島を鑑賞し、感銘を受けた。
竹生島の舞台を利用しているが、本作の主題は龍による連続王手。
数え間違いがなければ124回かな。
主題が終わってからは手短に4桂を並べて詰上がり。
- 嵐田保夫さん:
- 龍と玉の大運動会から最後は四桂の宣告。
- 最後のところ2八金が平凡な好手で2九桂に引っ掛かりそうになった。
水の流れるような作品で、難解さは無く手数を数えるのが一番大変で合ってるかどうか(笑)。
- 長谷繁蔵さん:
- 桂を何処で使うのかと思ったら四桂詰だった。
大きな声で数えているので知らない人が聞いたら何を数えているかと・・・
- 隅の老人Bさん:
- 記録は、応手の総てが王で、その回数の多さかな。
これも詰めてから、しばらく考えた。
全応手玉移動の記録は、同じ山崎さんの「馬×(馬+α)」(331手)です。
- メキドラさん:
- 3五桂迄269手 (どこかで迂回しているような気もしますが。)
数え間違い? 解けていると思われるので正解として扱いました。
- 鈴木康夫さん:
- 連続移動がこんなにシンプルに表現できるとは驚きです。
収束で28金は一番最後に考えました。
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