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詰将棋おもちゃ箱記録に挑戦!

記録展示室 No.19 岩田俊二さん

記録に挑戦!
記録に挑戦!
出題時のコメント:
「箱根細工。逆に考えていけば」 全手順横移動。 67手。

全手順横移動の長手数記録レースは激しいデッドヒートで、最後にテープを切ったのは全手順縦移動と同じく岩田俊二さんでした。 惜しかったのは本間晨一さん。 4手違いの63手と、それを改良した69手の作品の投稿がありましたが、 69手の作品には収束3手前からの余詰があり、岩田さんの作品を出題することになりました。 その後、本間さんより岩田さんと同手数の67手に改良した作品が届きましたので、後で紹介します。

全手順横移動の長手数記録としては、岩田さん、本間さんの67手の2作品を登録することとし、 本間さんの69手は参考作品として登録します。

さて、本作ですが、と金ベルトを使った雄大な金知恵の輪です。

作者:
箱根細工です。逆に考えていけば、簡単に解けます。

知恵の輪を解くキーが順番に連動していて、作者のことば通り箱根の秘密箱を思わせる精密なからくりです。 たしかに、詰上りから逆に考えていくと解きやすいのですが、 飛び道具があちこちにあるこの初形から詰上りを想像するのは案外難しいかもしれません。 まずは頭から考えていきましょう。

王手できる可能性のある飛び駒は、28香、29角、37飛、77馬、89香の5枚。 このうち、すぐに王手できるのは77馬と89香だけです。 77馬での王手は、65歩は77香成で、76馬は同香で、いずれも73が空いてしまうのでダメ。 また、87馬は香筋が止まってしまうのでダメ。 ということで、まずは玉を左に呼んで89香の王手。

  21と左、32玉、31と左、42玉、41と左、52玉、51と左、62玉、
  61と左、72玉、71と左、82玉、96金89と

金の動く場所は75、76、96の3箇所。 73香の香筋を押さえたいところですが、正解は96金。 そこココロはのちほど。

次は馬で王手するしかありません。 玉を右に移動させましょう。

  81と右、72玉、71と右、62玉、61と右、52玉、51と右、42玉、
  41と右、32玉、87馬54と

87馬の狙いは、同龍と取らせることで37飛を動けるようにすること。 受方も同龍とは取らず54との移動合で抵抗します。

  31と左、42玉、97馬同龍

さればと、さらに97馬と追撃。 64との移動合で逃げると、今度は98馬と香を取られてしまうので、同龍と取らざるをえません。
この87馬、97馬の王手を可能にするため、最初の金移動は75や76ではだめだったわけです。

これで37飛が動けるようになりました。 王手するには、また左への移動が必要です。

  41と左、52玉、51と左、62玉、61と左、72玉、71と左、82玉、
  87飛同龍

37飛が消去できたので、27金が動けるようになりました。 再び右に移動です。

  81と右、72玉、71と右、62玉、61と右、52玉、51と右、42玉、
  41と右、32玉、31と右、22玉、37金28と

これにより、29角の角筋が通ったことに気づかれたでしょうか。 ということは・・・

  21と左、32玉、31と左、42玉、41と左、52玉、51と左、62玉、
  61と左、72玉、71と左、82玉、81と左 まで67手

92歩に29角のヒモがついたので、81と左まで詰みとなりました。

整理して逆から考えると、

  1. 81と左まで詰めるには29角の利きを92まで通すことが必要
  2. そのためには28香で王手して同とと38と金を移動させることが必要
  3. そのためには37飛を消去することが必要
  4. そのためには馬を捨てて47龍を移動させることが必要
  5. そのためにはジャマな86金を移動させることが必要

ということになります。

極めて論理的な構成の作品で、手順はすべて限定されています。
全手順横移動という制約を感じさせない、完成度の高い現代版金知恵の輪といえるでしょう。

ここで、同じく67手に達した、本間晨一さんのタイ記録作を紹介します。

作者(本間さん):
全手順横移動の長手数のタイ記録(67手)。
双玉による逆王手の筋を利用し、6六角が移動できぬよう6八飛を配置することで手数を67手に更新できました。

全手順横移動では、と金ベルトでの金知恵の輪にするのはもはや定跡かも。
本間さんの作品では、金香のバッテリーを3組と2枚角を利用することで、同じく67手の記録を達成しました。
両方の作品を並べると、それぞれ工夫のあとが見えて興味深いものがあります。 是非ご鑑賞ください。

それでは、岩田さんの記録作についてのみなさんの感想を。 解答到着順です。

護堂浩之さん:
と金ベルトをフルに生かした印象はないが、カギの設定が、横着手だけという条件下ではうまく作っている
長谷繁蔵さん:
96金54と金意外 65歩なしヒントがヒントに
真Tさん:
まさに箱根細工。97馬が面白いと思いました。
中澤照夫さん:
65歩を突かないで如何に馬を処理するかが問題。最後に29角の利きを通すことに成功する。
シャンプーさん:
上のほうの『と』のアイディアもすごいですが、下のほうの香とかの配置が素晴らしいですね!
小峰耕希さん:
全手順横だと馬鋸は出来ない訳ですが、そこを蟹馬(?)でカバーしたのが巧い。
隅の老人Bさん:
謎解きとしても、巧みな出来映え。でも、新記録?前の記録作は知らないよ。

おかもとさんの調査によると詰将棋データベースでは、15手以上の全手順横移動の作品はないそうです。
くるくるNo.4で持駒の金を88におけば、全手順横移動15手になりますね。

コマンさん:
29の見通しを図るためのと金と玉の横移動がユーモラス。
山崎健さん:
柿木さんにお世話になってしまいました。手順を見て、おもわず、なるほど。
馬屋原剛さん:
初め65歩などという、とんでもない手で詰まそうとしてしまい焦りました。96金や54となど見え難い手もあり謎解きを楽しまさせてもらいました。
たくぼんさん:
7三香に目が行って7五金として結構悩みました。条件作にとどまらず構想もすばらしい。
鈴木康夫さん:
邪魔駒捌きの四連鎖!
諏訪冬葉さん:
手数があったんで間違ってないと思います(最初87馬を同飛としてかなり短くなってしまった)

記録展示室No.19 解答:16名 正解15名(下記)

  馬屋原剛さん  護堂浩之さん  コマンさん  小峰耕希さん
  シャンプーさん  鈴木康夫さん  隅の老人Bさん  諏訪冬葉さん
  たくぼんさん  躑躅さん  中澤照夫さん  長谷繁蔵さん
  茂垣淳さん  真・Tさん  山崎健さん

当選者は、全題の解答発表のあと、展示室で発表します。